経口補水液、正しく使えていますか?薬剤師がやさしく解説します

脱水
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こんにちは。薬Talk編集長、薬剤師のNoriです。

暑くなると、「熱中症対策にポカリを飲んでます!」という声をよく聞きます。でも、実はその飲み物、本当に必要な場面で使われていないことが意外と多いんです。

特に「経口補水液」は、普通の水分補給とは違う“脱水のときの医療用飲料”。その使い方やタイミングを間違えると、体にとって負担になることもあるんです。

この記事では、経口補水液の基礎知識から飲むべきタイミング、製品ごとの違い、よくある誤解まで、薬剤師の視点でやさしくまとめていきます。


経口補水液(Oral Rehydration Solution)は、水分とともに失われやすいナトリウム・カリウムなどの電解質を適切なバランスで補える飲料です。

たとえば、「OS-1(オーエスワン)」や「アクアソリタ」などがそれにあたります。

スポーツドリンクよりも塩分濃度が高く、糖分はやや控えめ。そのため味に少しクセがありますが、水分を体内に効率よく吸収できるように設計されているのが特徴です。


以下のような脱水が疑われる場面では、経口補水液の出番です。

  • 発熱・嘔吐・下痢で水分が失われたとき
  • 炎天下で長時間過ごしたあと(屋外作業・スポーツ)
  • 高齢者が「ふらつき」や「口の乾き」を感じたとき
  • 二日酔いで頭痛や倦怠感がある朝

※喉が渇いたと感じた時点で、体はすでに軽度の脱水状態です。


✅ 飲み方のポイント

  • 一気に飲まず、数口ずつゆっくり摂取
  • 嘔吐や下痢時は、5〜10分おきに少量を継続的に補給

⚠️ 飲んではいけないケース

  • 腎機能に問題がある方(ナトリウム排泄ができない場合)
  • 水分制限がある持病の方(心不全など)

心配な場合は医師や薬剤師に相談してください。


商品名特徴備考
OS-1(大塚製薬)医療用に近い組成、脱水対策の定番ドラッグストアや病院で取り扱いあり
アクアソリタマイルドな味、飲みやすさ重視小児や高齢者にも適している
アクエリアス経口補水液甘みがあるが組成はしっかり、手に入りやすいコンビニ・スーパーで入手可
経口補水液W(明治)クセが少なく飲みやすい継続摂取しやすいタイプ
自作ORS水+塩+砂糖で作成可能(WHO推奨比率)計量を正確に行わないと効果が不安定

❌「予防目的で毎日飲んでる」

→ 電解質や糖分の過剰摂取により、むくみ・血圧上昇・吐き気などが出る可能性があります。

❌「スポーツドリンクの代わりに飲んでる」

→ 経口補水液はあくまで**“脱水の治療”用**。日常の水分補給には向いていません。

❌「運動前に飲めば安心」

→ 予防ではなく、「脱水になってしまったとき」に使うべきです。


以前、薬局で20代の男性から「毎日OS-1を飲んでいたら気分が悪くなった」と相談されました。

話を聞くと、特に脱水の症状はなく、冷房の効いた環境でデスクワーク中心。
つまり必要のない場面で経口補水液を常用していたのです。

飲むのをやめて普通の水や麦茶に戻したところ、数日で改善。
こうした誤解は、少なくありません。


経口補水液は、**医薬品ではありませんが、用途を誤ると体に影響を及ぼす“医療的な飲み物”**です。
熱中症の対策としても重要な位置づけですが、「飲むべきときに、正しく使う」ことが大切です。


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