こんにちは、『薬Talk』編集長、薬剤師Noriです!
本サイトは、薬剤師をはじめとする医療従事者向けの情報提供サイトです。記載内容は告示・通知・添付文書などの原文を確認したうえでまとめています。一般の方が医薬品の使用を判断される際は、必ず医師・薬剤師にご相談ください。
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【2026年8月 追記】本記事の公開後、4剤目のオレキシン受容体拮抗薬ボルズィ(ボルノレキサント)が発売されました(2025年11月27日)。半減期2.13時間・tmax 0.5時間と、既存3剤とは性格が大きく異なります。詳しくはボルズィ(ボルノレキサント)はどう違うのか|半減期2.13時間、オレキシン受容体拮抗薬4剤を数値で比較をご覧ください。
薬局で「ロゼレムとベルソムラは何が違う?」「デエビゴとクービビックはどう選ぶ?」と聞かれる4剤です。作用機序ではメラトニン受容体作動薬(ロゼレム)とオレキシン受容体拮抗薬(ベルソムラ・デエビゴ・クービビック)の2つに分かれますが、併用禁忌の有無で分けると、組み合わせが変わります。
この記事は、4剤の添付文書(2026年10月時点の最新版)から、効能・禁忌・併用禁忌・併用時の用量・薬物動態の数字だけを並べました。「どれがよく効くか」は添付文書には書かれていないので、書いていません。クービビック単独の解説はこちらです。

効能・用量・規制区分:ロゼレムだけ「入眠困難の改善」
| 薬剤 | 作用機序(18.1) | 4. 効能又は効果 | 6. 用法及び用量 | 規制区分 |
|---|---|---|---|---|
| ロゼレム(ラメルテオン) | メラトニンMT1・MT2受容体アゴニスト | 不眠症における入眠困難の改善 | 1回8mgを就寝前 | 習慣性医薬品の表示なし(2026年9月改訂で処方箋医薬品の指定解除) |
| ベルソムラ(スボレキサント) | オレキシンOX1・OX2受容体拮抗薬 | 不眠症 | 1日1回20mg、高齢者15mgを就寝直前 | 習慣性医薬品 |
| デエビゴ(レンボレキサント) | オレキシンOX1・OX2受容体拮抗薬 | 不眠症 | 1日1回5mgを就寝直前(10mgまで) | 習慣性医薬品 |
| クービビック(ダリドレキサント) | オレキシンOX1R・OX2R拮抗薬 | 不眠症 | 1日1回50mgを就寝直前(25mgも可) | 習慣性医薬品 |
効能の書き方から違います。ロゼレムは「入眠困難の改善」に限られ、8.2で投与開始2週間後を目処に入眠困難に対する有効性及び安全性を評価するよう求めています。オレキシン受容体拮抗薬3剤の効能は「不眠症」で、規制区分は3剤とも習慣性医薬品です。
一方で、4剤とも8.1に「本剤の影響が翌朝以後に及び」眠気や注意力の低下が起こることがあるため、自動車の運転などに従事させないよう注意することと書かれています。「翌朝に残りにくい薬」として運転の注意を省くことは、どの薬でもできません。
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※ 本記事の制度・添付文書に関する記載はすべて原文を確認しており、広告主の影響を受けていません。
禁忌と併用禁忌:デエビゴだけ併用禁忌がない
| 薬剤 | 2. 禁忌(患者の背景) | 10.1 併用禁忌 |
|---|---|---|
| ロゼレム(ラメルテオン) | 過敏症の既往/高度な肝機能障害 | フルボキサミン(ルボックス、デプロメール)——CYP1A2を強く阻害し、本剤の最高血中濃度・AUCが顕著に上昇 |
| ベルソムラ(スボレキサント) | 過敏症の既往 | イトラコナゾール、ポサコナゾール、ボリコナゾール、クラリスロマイシン、ボノサップ、ラベキュア、リトナビル、パキロビッド、ゾコーバ、セリチニブ、ツカチニブ、ロナファルニブ——CYP3Aを強く阻害 |
| デエビゴ(レンボレキサント) | 過敏症の既往/重度の肝機能障害 | なし(10.1の項が設けられていない) |
| クービビック(ダリドレキサント) | 過敏症の既往/重度の肝機能障害(Child-Pugh分類C) | イトラコナゾール、クラリスロマイシン、ボリコナゾール、ポサコナゾール、リトナビル含有製剤(カレトラ、ノービア、パキロビッド)、コビシスタット含有製剤、セリチニブ、ゾコーバ——CYP3Aを強く阻害 |
ロゼレムはフルボキサミンが併用禁忌です。精神科の処方と重なる組み合わせなので、ここは必ず見てください。10.2ではキノロン系抗菌薬などのCYP1A2阻害剤、フルコナゾールなどのCYP2C9阻害剤、マクロライド系抗菌薬などのCYP3A4阻害剤も併用注意に挙がっています。
ベルソムラとクービビックは、CYP3Aを強く阻害する薬が「併用注意」ではなく「併用禁忌」です。クラリスロマイシン、ピロリ除菌のボノサップ・ラベキュア(ベルソムラ)、パキロビッド、ゾコーバ——薬局で日常的に出る薬が並びます。
デエビゴは4剤で唯一、10.1 併用禁忌の項がありません。2025年11月に発売された4剤目のオレキシン受容体拮抗薬ボルズィも、CYP3Aを強く阻害する薬が併用禁忌(2.3)なので、オレキシン受容体拮抗薬の中でもデエビゴだけです。ただし「禁忌でない=気にしなくてよい」ではありません。次の節の用量規定があります。
CYP3A阻害薬を併用するときの用量:添付文書7.の規定
| 併用する薬 | ベルソムラ | デエビゴ | クービビック |
|---|---|---|---|
| CYP3Aを強く阻害する薬 (クラリスロマイシン、イトラコナゾール等) | 併用禁忌(10.1) | 投与の可否を判断し、併用する場合は1日1回2.5mg(7.4) | 併用禁忌(10.1) |
| CYP3Aを中程度に阻害する薬 (ジルチアゼム、ベラパミル、フルコナゾール等) | 1日1回10mgへの減量を考慮(7.4) | 投与の可否を判断し、併用する場合は1日1回2.5mg(7.4) | 投与の可否を判断し、投与する場合は1日1回25mg(7.4) |
デエビゴの7.4は、中程度と強力の阻害薬をまとめて「本剤投与の可否を判断すること。なお、併用する場合は1日1回2.5mgとすること」としています。クラリスロマイシンが出たとき、ベルソムラ・クービビックなら疑義照会(禁忌)、デエビゴなら2.5mgかどうかの確認——同じ併用でも、確認する中身が違います。ジルチアゼムやベラパミルのように長く続く併用薬では、ベルソムラの「減量を考慮」とクービビックの「25mg」の違いも効いてきます。

薬物動態の数字(添付文書16.1)
| 薬剤 | 試験の条件 | Tmax | t1/2 |
|---|---|---|---|
| ロゼレム(ラメルテオン) | 健康成人に8mgを空腹時に単回投与 | 0.75時間(中央値) | 0.94時間(未変化体)/1.94時間(主代謝物M-Ⅱ) |
| ベルソムラ(スボレキサント) | 日本人健康成人に40mg(承認用量を超える量)を空腹時に単回投与 | 1.5時間(中央値) | 10.0時間 |
| デエビゴ(レンボレキサント) | 日本人健康成人男性に2.5mg・10mgを14日間反復投与(14日目) | 1.3〜1.5時間(中央値) | 47.4〜50.6時間 |
| クービビック(ダリドレキサント) | 日本人健康非高齢者に25mg・50mgを4日間投与 | 0.75〜1.42時間 | 6.16〜6.92時間(高齢者は8.87〜11.66時間) |
試験の条件(用量・単回か反復か・対象者)がそろっていないので、数字の大小で「効き目の速さ」や「持ち越しにくさ」を比べることはできません。添付文書にあるのは上の数字と、前の節の8.1(4剤とも翌朝以後への影響に注意)です。
食事については、4剤とも「食事と同時又は食直後の服用は避けること」と書かれています(ロゼレム・ベルソムラ・クービビックは7.2、デエビゴは7.3)。ロゼレムの理由は血中濃度の低下、オレキシン受容体拮抗薬3剤の理由は「入眠効果の発現が遅れるおそれ」です。
まとめ
・効能:ロゼレムだけが「入眠困難の改善」。オレキシン受容体拮抗薬3剤は「不眠症」で、習慣性医薬品
・併用禁忌:ロゼレム=フルボキサミン/ベルソムラ・クービビック=CYP3Aを強く阻害する薬/デエビゴ=なし(ただしCYP3A阻害薬との併用は2.5mg)
・中程度のCYP3A阻害薬:ベルソムラ10mgへの減量を考慮、デエビゴ2.5mg、クービビック25mg
・4剤とも:就寝の直前に服用、食事と同時・食直後は避ける、翌朝以後の眠気に注意(運転させない)
引用・参考資料
ロゼレム錠8mg 添付文書(武田薬品工業、2026年9月改訂 第4版)
ベルソムラ錠10mg・15mg・20mg 添付文書(MSD、2026年8月改訂 第6版)
デエビゴ錠2.5mg・5mg・10mg 添付文書(エーザイ、2025年12月改訂 第4版)
クービビック錠25mg・50mg 添付文書(ネクセラファーマジャパン、2026年10月改訂 第5版)
ボルズィ錠2.5mg・5mg・10mg 添付文書(2025年11月改訂 第2版)
いずれもPMDA 医療用医薬品情報検索で確認


