調剤時残薬調整加算・薬学的有害事象等防止加算とは|7日分ルールと6日分以下の例外を通知原文から整理【2026年度改定】

調剤時残薬調整加算・薬学的有害事象等防止加算とは 7日分ルールと6日分以下の例外を通知原文から整理2026年度改定 調剤報酬・制度改正
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執筆:Nori(薬Talk編集長・薬剤師)/調剤薬局勤務26年。管理薬剤師を経て、現在はチェーン薬局の本社部門で店舗運営支援を担当しています。

本サイトは、薬剤師をはじめとする医療従事者向けの情報提供サイトです。記載内容は告示・通知・添付文書などの原文を確認したうえでまとめています。一般の方が医薬品の使用を判断される際は、必ず医師・薬剤師にご相談ください。
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※ 本記事は令和8年3月5日 保医発0305第6号(0619訂正後)別添3、および疑義解釈資料(その7・令和8年5月29日)の記載に基づきます。

令和8年度改定で、残薬対策まわりに加算が2つ新設されました。調剤管理料の加算です。

  • 調剤時残薬調整加算(イ・ロ・ハ 50点/ニ 30点)
  • 薬学的有害事象等防止加算(イ・ロ・ハ 50点/ニ 30点)

点数だけ見れば単純です。しかし要件がかなり細かく、しかも「やってはいけない算定」が明記されています。ここを読まずに運用すると、算定できないだけでなく、指導で指摘される可能性があります。

通知と疑義解釈の原文から、実務で判断できる形に整理します。

2つの加算の違い(まずここを分ける)

名前が似ていて混同しやすいのですが、対象がきれいに分かれています。

調剤時残薬調整加算薬学的有害事象等防止加算
対象残薬が確認された患者処方医に確認すべき点
残薬に係るものを除く)がある患者
きっかけ残薬の調整重複投薬の確認等に基づく照会
残薬調整に係るものを除く
結果7日分以上相当の調剤日数の変更処方の変更
共通の前提調剤管理料を算定する患者であること

「残薬なら前者、残薬以外なら後者」と覚えておけば、まず間違えません。両方の要件に「残薬に係るものを除く」「残薬調整に係るものを除く」と書き分けられているのは、二重算定を防ぐためです。

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※ 本記事の制度・添付文書に関する記載はすべて原文を確認しており、広告主の影響を受けていません。

点数の区分(イ〜ニ)

両加算とも同じ構造です。

区分内容点数
在宅患者へ処方箋を交付する前に処方内容を処方医に相談し、処方に係る提案が反映された処方箋を受け付けた場合50点
在宅患者に対して実施した場合(イを除く)50点
かかりつけ薬剤師により実施された場合(イ・ロを除く)50点
イからハまで以外の場合30点

注目したいのはです。処方箋を受け取ってから疑義照会するのではなく、交付される前に処方提案する——これが最も評価されている形です。在宅で医師と日常的にやり取りしている薬局なら、意識して形にする価値があります。

そしてかかりつけ薬剤師(服薬管理指導料1のイ・2のイ)が実施した場合は50点、それ以外は30点です。かかりつけ薬剤師の記録を残しているかどうかで、1件あたり20点の差が出ます。

調剤時残薬調整加算の要件

原則:7日分以上の調剤日数変更

残薬の外形状態・保管状況その他の残薬の状況が確認された患者について、処方医に照会を行い、7日分以上相当の調剤日数の変更が行われた場合に、処方箋受付1回につき算定します。

「機械的に行ってはならない」

通知には、はっきりこう書かれています。

   調剤日数の変更は、患者が次回受診日等を考慮して意図的に残薬を生じさせているのかなど、残薬調整の必要性を患者又はその家族等に確認してから行うこととし、単に7日分以上の残薬があったことをもって機械的に行ってはならない。

患者が意図的に残薬を作っている場合があります。次回受診日がずれる見込みだから多めに持っておきたい、といったケースです。そこを確認せずに減らすと、患者が困ります。加算のために調整する、という運用にならないための歯止めだと読みました。

6日分以下でも算定できる場合がある

ここは見落とされやすい部分です。7日分未満でも算定できる道があります。

薬剤師が患者の服薬状況等により必要性があると判断し、処方医への照会の結果に基づき6日分以下相当の変更を行う場合、その必要性を調剤報酬明細書に記載することで算定可能です。

ただし条件があります。

  • 次回受診日(調剤日)を患者又は家族等に確認する
  • 7日分を超えないにもかかわらず調整する必要性を患者又は家族等に説明する
  • これらの概要を薬歴に記録する

疑義解釈(その7)では、6日分以下が認められる具体例が示されています。

  • 添付文書において服用期間が定められている薬剤について、これまでの処方日数と新たに受け付けた処方箋の処方日数を通算すると、添付文書で定められた服用期間を超えてしまうことが見込まれる場合
  • 次回の診察時の検査結果等により処方内容の変更が見込まれる場合

いずれも薬学的な理由があるケースです。「少しでも減らせば算定できる」という話ではありません。

算定できない場合(明記されています)

  • 認知機能に問題が無い患者等について、継続的に同じような内容の処方箋の発行を受けているため、残薬が7日分を超えるまで待つことが合理的な状況で、6日分以下相当の変更を行う場合
  • 処方医が同意していることのみをもって6日分以下相当の変更を行う場合

2つ目は重要です。「先生がいいと言ったから」では算定できません。薬剤師自身の薬学的判断が要件になっています。

また、減数調剤にあたって調剤日数又は数量を「0」とすることはできません。

処方箋様式が変わりました

今回の改定で、処方箋の「保険薬局が調剤時に残薬を確認した場合の対応」欄が見直されました。

  • □ 保険医療機関へ疑義照会した上で調剤
  • 調剤する薬剤を減量した上で、保険医療機関へ情報提供

後者にチェックがある処方箋では、照会なしで減数調剤を行い、事後に情報提供する運用ができます。この場合も、残薬の状況が確認された患者について7日分以上相当の減数調剤を行えば算定対象です(6日分以下の但し書きも同様に適用されます)。

処方箋を受け取ったら、この欄を必ず見る——窓口の運用に組み込んでおきたい変更です。

減数調剤したあとにやること

数量を減らした場合、次の4つが必要です。

  1. 原則、翌営業日までに、処方箋を発行した保険医療機関に情報提供する
    (患者の残薬の状況、その理由、実際に交付した投与量、患者への説明内容等)
  2. 患者に対して、次回受診時に処方医へ残薬の状況を報告することを促す
  3. 手帳を用いて服薬管理指導を行う場合は、当該手帳に記載する
  4. 処方医に連絡・確認した内容の要点、変更した医薬品の品目名と数量等を薬歴に記載する

1つ目には、実務が楽になる規定があります。

   なお、電子処方箋管理サービスのコメント機能に当該内容を記載することにより、処方医が当該情報を確認できる場合には、当該記載をもって処方医への情報提供に代えることができる。

電子処方箋を導入していれば、別途トレーシングレポートを送らなくてよいということです。翌営業日までにFAXを流す手間が消えます。電子処方箋の導入効果として、実務上かなり大きい部分だと思います。

薬学的有害事象等防止加算の要件

こちらは残薬以外の照会が対象です。

薬剤服用歴や、電磁的記録をもって作成された処方箋の仕組み(電子処方箋)を用いた重複投薬の確認等に基づき、処方医に照会した結果、処方に変更が行われた場合に算定します。

ポイントは「処方に変更が行われた場合」という結果要件です。照会しただけでは算定できません。

算定要件に電子処方箋の重複投薬チェックが明記されている点も見逃せません。制度が、電子処方箋を使った重複投薬の発見を評価する方向に動いています。

見落としやすい疑義解釈

疑義解釈(その7)に、調剤管理料の算定にも影響する内容があります。

   元の処方が28日分以上であり、減数調剤を行うことにより、実際の調剤する内服薬の投与日数が27日分以下となった場合、調剤管理料の1のイを算定すること。

「1のイ」は長期処方(28日分以上)の60点です。つまり、減数調剤によって実際の投与日数が27日分以下になっても、元の処方が28日分以上なら60点で算定します。実際に調剤した日数(27日分以下=10点)で算定するのではありません。

残薬調整をすると点数が下がる、という設計にはなっていません。ここが逆だと、残薬調整をためらう理由になってしまいます。算定を気にせず調整できるようにするための整理だと読めます。

店舗での運用チェックリスト

  • ◻️ 処方箋の「残薬を確認した場合の対応」欄を毎回確認している
  • ◻️ 残薬を確認したら、意図的なものかを患者に確認してから調整している
  • ◻️ 6日分以下で調整した場合、理由を調剤報酬明細書に記載している
  • ◻️ 6日分以下の場合、次回受診日の確認・患者への説明・薬歴記録の3点を行っている
  • ◻️ 「処方医が同意したから」だけで6日分以下の調整をしていない
  • ◻️ 減数調剤後、翌営業日までに医療機関へ情報提供している
    (電子処方箋のコメント機能で代替可)
  • ◻️ かかりつけ薬剤師が実施したかを記録している(50点/30点の分岐)
  • ◻️ 減数の結果、投与日数が27日分以下になったら調剤管理料1のイで算定している
  • ◻️ 在宅では処方箋交付前の処方提案(イ)を意識している

まとめ

  • 新設2加算は「残薬なら調剤時残薬調整加算/残薬以外なら薬学的有害事象等防止加算」で分かれる
  • 点数はどちらもイ・ロ・ハ 50点/ニ 30点かかりつけ薬剤師なら50点
  • 原則は7日分以上の変更だが、薬学的な理由があれば6日分以下でも算定可(明細書に記載)
  • 機械的な調整・処方医の同意のみによる調整は算定できない
  • 減数調剤後は翌営業日までに情報提供電子処方箋のコメント機能で代替できる
  • 減数で投与日数が27日分以下になったら、調剤管理料1のイで算定する

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出典

  • 厚生労働省「診療報酬の算定方法の一部改正に伴う実施上の留意事項について」(令和8年3月5日 保医発0305第6号・0619訂正後)別添3 調剤報酬点数表に関する事項
    https://www.mhlw.go.jp/content/12400000/001713883.pdf
  • 厚生労働省「令和8年度診療報酬改定の概要【調剤】」(保険局医療課)
    https://www.mhlw.go.jp/content/12400000/001717704.pdf
  • 厚生労働省「疑義解釈資料の送付について(その7)」(令和8年5月29日 保険局医療課事務連絡)

※ 算定要件の解釈は今後の疑義解釈等により変わる場合があります。実際の請求にあたっては、告示・通知・疑義解釈の最新の内容をご確認のうえ、貴施設の責任においてご判断ください。

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