かかりつけ薬剤師指導料が廃止|服薬管理指導料イ・ロの分岐と新設加算2種を通知原文から整理【2026年度改定】

調剤報酬・制度改正
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執筆:Nori(薬Talk編集長・薬剤師)/調剤薬局勤務26年。管理薬剤師を経て、現在はチェーン薬局の本社部門で店舗運営支援を担当しています。

※ 本記事は令和8年3月5日 保医発0305第6号(0619訂正後)別添3 調剤報酬点数表に関する事項の記載に基づきます。算定要件の解釈は疑義解釈等により明確化される場合があります。

令和8年度改定で、かかりつけ薬剤師の評価は作り直されたと言っていい変わり方をしました。

かかりつけ薬剤師指導料(76点)は削除。かかりつけ薬剤師包括管理料も廃止。代わりに服薬管理指導料が「イ/ロ」に分かれ、新設の加算2種が算定できる構造になりました。

ここで最初に押さえるべき、いちばん誤解されやすい点を書きます。服薬管理指導料のイとロは、点数が同じです。1のイも1のロも45点、2のイも2のロも59点。では何のために分けたのか——新設加算の算定資格を決めるためです。

「点数が同じなら区別しなくていい」と運用すると、加算が算定できません。ここが今回の改定の要です。

1. 改定前後の対比

項目改定前改定後
かかりつけ薬剤師指導料76点削除
かかりつけ薬剤師包括管理料廃止
服薬管理指導料145点45点/ロ 45点
※要件に「手帳を提示した」が追加
服薬管理指導料259点59点/ロ 59点
(新設)かかりつけ薬剤師フォローアップ加算50点(3月に1回)
(新設)かかりつけ薬剤師訪問加算230点(6月に1回)

2. 服薬管理指導料の区分(通知の定義そのまま)

区分対象患者
1のイ3月以内に再度処方箋を持参し、手帳を提示した患者で、かかりつけ薬剤師が服薬指導したもの
1のロ①3月以内・手帳提示の患者のうち、かかりつけ薬剤師が勤務する薬局でかかりつけ薬剤師以外が服薬指導したもの
②3月以内・手帳提示の患者のうち、かかりつけ薬剤師を持たないもの
2のイかかりつけ薬剤師が継続的・一元的に服薬管理している患者のうち
3月を超えて再度処方箋を持参した患者
②3月以内に持参したが手帳を提示しないもの
2のロ初めて処方箋を持参した患者等、上記のいずれにも該当しないもの

窓口での判断はこの順で行うと迷いません。

  1. かかりつけ薬剤師の同意を取得している患者か?
    いいえ → 1のロ(3月以内・手帳提示)または 2のロ
  2. 3月以内の再来局で、手帳を提示したか?
    はい → かかりつけ薬剤師が対応すれば 1のイ、他の薬剤師なら 1のロ
    いいえ(3月超、または手帳なし)→ 2のイ

なお、調剤基本料の注2に規定する保険薬局では、イ・ロを問わず算定できません。

3. かかりつけ薬剤師フォローアップ加算(50点・3月に1回)

ここが実務でいちばん取りこぼしやすい加算です。最初に、よくある誤解を潰しておきます。

「患者から求められないと算定できない」は誤りです

通知の記載はこうです。

   かかりつけ薬剤師フォローアップ加算は、患者若しくはその家族等の求めに応じて又はかかりつけ薬剤師が必要性を認めた場合において、前回の調剤後から、当該患者が再度処方箋を持参するまでの間に、かかりつけ薬剤師が電話等により、服薬状況及び残薬状況等の継続的な確認並びに必要な指導等を個別に実施していた場合に、再度処方箋を受け付けたときに、3月に1回に限り算定する。

「又はかかりつけ薬剤師が必要性を認めた場合」が入っています。薬剤師の判断で実施した場合も算定対象です。

改定の概要資料には「患者又はその家族等の求めに応じて」としか書かれていません。概要資料だけを読んで運用を決めると、算定できる場面を取りこぼします。通知の原文に当たるべき典型例です。

対象患者は2つの条件を両方満たすこと

服薬管理指導料「1のイ」又は「2のイ」を算定していること
直近6月以内に、外来服薬支援料1/服用薬剤調整支援料1若しくは2/調剤管理料の調剤時残薬調整加算若しくは薬学的有害事象等防止加算 を算定していること

ただしイには除外規定があります。フォローアップ加算に係る業務を行ったことによって、その算定に係る問題(残薬等)が既に解消されている場合は対象外です。

期間の数え方(当日は含まない)

  • 「前回の調剤後」に調剤した当日は含まれません
  • 「再度処方箋を持参するまでの間」に持参する当日は含まれません
  • フォローアップの要因となった処方箋を発行した医療機関以外からの処方箋を持参した場合は含まれません

事前説明が必須です

あらかじめ患者又は家族等に説明し、了解を得ることが要件です。

  • 電話等で実施する聞き取り・指導等の内容
  • この加算により発生する患者の自己負担額

自己負担額の説明まで求められている点に注意してください。「あとで電話しますね」だけでは要件を満たしません。

一斉送信・チェック入力だけでは算定できません

電話のほか情報通信機器も使えますが、通知は次を明確に除外しています。

  • 一律の内容の電子メールの一斉送信など、一方的な情報発信のみ
  • アプリ上で患者が定型的な設問にチェック・入力するだけで完結する形式(個別具体的な確認・助言を伴わない場合)

双方向性のある方法で、個々の患者の状況に応じた確認・指導が必要です。服薬フォローのアプリを使っている薬局は、運用が「入力させるだけ」になっていないか確認したほうがいいと思います。

記録と、その後の対応

  • フォローアップした旨・日時・実施した聞き取りや指導等の内容を薬歴に記載
  • 速やかに医療機関へ伝えるべき体調変化等の情報を得た場合は、受診中の医療機関に情報提供し、必要に応じて受診勧奨を行う
  • 業務を行っても残薬等の問題が解消されないときは、みだりに繰り返さず、解消されなかった理由・背景を検証して改善策を講じる。検証内容と改善策も薬歴に記載する
  • 実施時期は前回調剤日ではなく、受診間隔等を考慮して薬学的に適切な時期に行う

「解消されないなら、繰り返す前に原因を検証しろ」という記載は、加算の趣旨をよく表しています。回数を稼ぐための業務にするな、ということだと読みました。

算定できない場合

  • 調剤後薬剤管理指導料、在宅患者訪問薬剤管理指導料、居宅療養管理指導費、介護予防居宅療養管理指導費 を算定している患者は同月内は算定不可
  • 複数の薬局で服薬管理指導料1のイ・2のイを算定していた場合は、いずれの薬局も算定不可
  • 特別調剤基本料Bを算定している薬局は算定不可

4. かかりつけ薬剤師訪問加算(230点・6月に1回)

患者又はその家族等の求めに応じて、患家に訪問して服用薬の管理方法の指導および残薬の整理等を行い、その結果を保険医療機関に情報提供した場合に算定します。

フォローアップ加算と違い、こちらは「患者側の求め」が必要です。通知に薬剤師の判断による実施の記載がありません。ここは2つの加算で条件が異なるので、混同しないよう注意してください。

また訪問しただけでは算定できません。医療機関への情報提供まで行って要件を満たします。

  • 対象患者:服薬管理指導料「1のイ」又は「2のイ」を算定している患者
  • 事前説明:訪問して実施する指導等の内容と、交通費を含む自己負担額
  • 交通費は実費
  • 記録:訪問した旨、患家における残薬状況、実施した指導等の内容を薬歴に記載

算定できないのは、外来服薬支援料1・施設連携加算・在宅患者訪問薬剤管理指導料・服薬情報等提供料・居宅療養管理指導費・介護予防居宅療養管理指導費 を算定している患者、複数薬局でかかりつけを重複している場合、特別調剤基本料Bの薬局などです。

5. 同意取得の手順と、手帳への記入4項目

同意取得の要件も整理されています。

  • 算定しようとする薬剤師本人が、かかりつけ薬剤師の業務内容・意義・役割を説明する(他の職員による説明では要件を満たしません)
  • 同意を取れるのは当該薬局に複数回来局している患者のみ
  • 同意を得たその処方箋受付時から算定できる

同意取得時、患者の手帳の次の①〜④の事項および薬剤師の氏名の近傍に「かかりつけ」の文字を記入します。

患者の氏名、生年月日、連絡先等 患者に関する記録
患者のアレルギー歴、副作用歴等 薬物療法の基礎となる記録
患者の主な既往歴等 疾患に関する記録
患者が日常的に利用する保険薬局の名称、保険薬局又は保険薬剤師の連絡先等

あわせて次の対応が必要です。

  • そのページのコピー等を薬局で保管する
  • 薬剤服用歴等にその旨を記載する
  • 他の薬局のかかりつけ薬剤師名が書かれている手帳に上書きしてはいけません
  • 患者の選択で変更する場合、薬剤服用歴にもその旨を記載する

そして1人の患者に対して、1か所の薬局の1人の薬剤師のみが1のイ・2のイを算定でき、同一月内は同一薬剤師で算定します。

やむを得ず他の薬剤師が対応した場合は1のロ/2のロで算定し、得た情報はかかりつけ薬剤師と共有します。

6. 施設基準

薬剤師本人の要件(すべて必要)

勤務経験届出時点で保険薬剤師として3年以上の保険薬局勤務経験
(保険医療機関での薬剤師経験が1年以上ある場合、1年を上限に通算可)
勤務時間当該薬局に週31時間以上勤務
(育児・介護休業等で所定労働時間が短縮された場合は週24時間以上かつ週4日以上
在籍期間届出時点で当該薬局に継続して6か月以上在籍
(産前産後・育児・介護休業から復職する場合(休業前と同一薬局に限る)は休業前の在籍期間を合算可)
研修認定薬剤師認定制度認証機構が認証している研修認定制度等の研修認定を取得
地域活動医療に係る地域活動の取組に参画

薬局側の要件(届出時点で両方必要)

(1) 以下のいずれか

  • 週31時間以上勤務する保険薬剤師(派遣を含む。産前産後・育児・介護休業中は除く)について、継続在籍かつ週31時間以上勤務している期間が平均して1年以上
  • 管理薬剤師が当該薬局に継続して3年以上在籍

(2) パーテーション等で区切られた独立したカウンターを有するなど、患者のプライバシーに配慮していること

(1)はア・イどちらか一方で足ります。管理薬剤師が3年以上在籍している店舗はイで満たせるので、アの平均在籍年数を計算する必要はありません。届出作業を無駄に増やさないためのポイントです。

時短勤務者が算定する場合

育児・介護休業法第16条の8で定める期間に、勤務時間が週31時間に満たない薬剤師が算定する場合は、同意取得時に勤務時間が通常より短いこと、および開局時間外の相談を他の薬剤師が対応する場合はその旨を説明します。

7. 明日から変えること

  • ◻️ 服薬管理指導料1を算定する際、手帳の提示を確認している
  • ◻️ かかりつけ薬剤師が対応したかを記録し、イ/ロを分けている(点数は同じでも加算の可否が変わる)
  • ◻️ 同意取得は薬剤師本人が、複数回来局している患者に対して行っている
  • ◻️ 手帳の①〜④欄を確認し、未記載なら聴取して記入または記入を指導している
  • ◻️ フォローアップ加算:薬剤師の判断で実施した場合も算定できることを共有した
  • ◻️ フォローアップ加算:事前に内容と自己負担額を説明し、了解を得ている
  • ◻️ フォローアップ加算:双方向で実施し、日時と内容を薬歴に記載している
  • ◻️ 訪問加算:医療機関への情報提供まで実施している
  • ◻️ 届出:薬局側要件(1)をア・イどちらで満たすか確定した

まとめ

  • かかりつけ薬剤師指導料(76点)は削除。包括管理料も廃止
  • 服薬管理指導料がイ/ロに分岐点数は同じだが、新設加算の算定資格が変わる
  • フォローアップ加算50点は薬剤師の判断による実施でも算定できる(概要資料の記載だけでは読み取れない)
  • 訪問加算230点は患者側の求めが必要で、医療機関への情報提供までが要件
  • 薬局側の施設基準(1)は管理薬剤師の3年以上在籍で満たせる場合がある

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出典

※ 算定要件の解釈は疑義解釈等により明確化される場合があります。実際の請求にあたっては、告示・通知・疑義解釈の最新の内容をご確認のうえ、貴施設の責任においてご判断ください。

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