調剤基本料 ~2026年度調剤報酬改定~ をやさしく解説

制度改正
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「賃上げ対応で点数は底上げ。でも門前・敷地内・密集薬局には逆風」の改定です。

2026年度改定のテーマは面分業の推進です。特定の医療機関に処方箋が偏っている薬局(いわゆる門前薬局)を抑え、地域全体を「面」で支える薬局を評価する方向に整理されました。

点数自体は物価高・賃上げ対応で上がっていますが、立地に依存した薬局には減算・要件強化がかかっています。

区分改定前改定後主な変更点
調剤基本料145点47点+2点
調剤基本料229点30点+1点
調剤基本料3イ24点25点+1点
調剤基本料3ロ19点20点+1点
調剤基本料3ハ35点37点+2点
特別調剤基本料A5点5点据え置き(要件は強化)
特別調剤基本料B3点3点変更なし

集中率85%超の受付回数基準が引き下げ

調剤基本料2などで使う「集中率85%超」の受付回数の基準が、2,000回超 → 1,800回超に下がりました。これまで2は関係ないと思っていた薬局でも、受付回数次第で2に該当する可能性があります。

1〜3が軒並み点数UP。3ロ・ハの「300店舗以上」要件が消えました。

調剤基本料は、ざっくり言うと「その薬局がどれだけ特定の医療機関に依存しているか/グループとしてどれだけ大きいか」で区分が決まります。依存度が低く独立性が高いほど高い点数(=基本料1の47点)です。

これまで調剤基本料3ロ・ハの判定には「同一グループの薬局が300店舗以上」という条件がありましたが、今回これが削除され、処方箋受付回数だけで区分するように整理されました。

  • 3イ:同一グループ 月3.5万回超〜40万回 かつ 集中率85%超
  • 3ロ:同一グループ 月40万回超 かつ 集中率85%超
  • 3ハ:同一グループ 月40万回超 かつ 集中率85%以下

本改定でたびたび出てくる「都市部」は、東京23区と政令指定都市を指します。具体的には、札幌・仙台・さいたま・千葉・東京23区・横浜・川崎・相模原・新潟・静岡・浜松・名古屋・京都・大阪・堺・神戸・岡山・広島・北九州・福岡・熊本の各市です。

点数は5点で据え置き。ただし「逃げ道」だった除外規定が次々ふさがれました。

特別調剤基本料Aは、医療機関と不動産取引などの特別な関係があり、その医療機関からの処方箋割合が高いいわゆる「同一敷地内薬局」を対象とした区分です。点数は5点(改定前から変更なし)ですが、対象範囲が広がりました。

同一建物内に診療所がある場合の除外規定が撤廃されました。

これまでは、特別な関係があっても「薬局と同じ建物の中に診療所がある」ケースは対象外(通常の基本料)でした。改定後は、特別な関係があり集中率が5割超なら、同じ建物に診療所があっても特別調剤基本料A(5点)になります。

経過措置あり

令和8年(2026年)3月4日時点ですでに同一建物内に診療所があり、その後も新たな特別な関係を作らず現状維持している既存薬局は、当面の間この対象としない(従来どおり)扱いです。

薬局と同じ敷地内に「オンライン診療受診施設(オンライン診療ブース等)」を設置する場合も、原則として特別調剤基本料A(5点)の対象になりました。

  • 例外:医療計画上の「無医地区」「準無医地区」にある薬局は対象外。

逆に救済されたケースもあります。次の3つをすべて満たせば、特別調剤基本料Aではなく調剤基本料1(47点)を算定できるようになりました。

  • 地方公共団体が所有する土地・建物にある診療所と、同一の土地・建物に所在
  • その診療所が、へき地医療に必要な診療所として都道府県知事に認められている
  • 薬局から水平距離4km以内に他の保険薬局がない

特別調剤基本料Aを算定する薬局では、加算面でも厳しい制限があります。

⚠ 加算が10分の1(10%)に減額されるもの

地域支援・医薬品供給対応体制加算(新設)/バイオ後続品調剤体制加算(新設)/在宅薬学総合体制加算1・2。

  • 特別な関係のある医療機関への情報提供では算定できないもの:服薬情報等提供料、かかりつけ薬剤師訪問加算、服用薬剤調整支援料2 など。

都市部の門前・密集薬局を狙い撃ちする▲15点。ただし対象は「2026年6月以降の新規開設薬局」だけ。

特定の医療機関に大きく依存する門前薬局の密集を是正し、面分業を進めるために新設された減算です。

項目内容
減算点数▲15点
単位処方箋受付1回につき
対象時期2026年6月1日以降に新規指定を受ける保険薬局

ここが最重要:既存薬局は当面対象外

2026年5月31日時点ですでに指定を受けている既存薬局は、当面の間この減算の対象外です。つまり実質、令和8年6月以降に新しく開く薬局向けのルールです。今動いている薬局がいきなり▲15点になるわけではありません。

(1) 都市部で集中率が高く、近隣に薬局が密集(イ・ロ・ハすべてに該当)

  • イ(地域・近隣):都市部(別表第三の一の地域)にあり、水平距離500m以内に他の保険薬局がある
  • ロ(集中率):特定の医療機関の処方箋集中率が85%超
  • ハ(密集度):次のいずれか
    • 200床以上の医療機関の敷地境界線から100m以内にあり、その区域・敷地内に他の薬局が2つ以上ある
    • 自局の周囲50m以内に他の薬局が2つ以上ある
    • 周囲50m以内の他薬局が②に該当する

(2) 集中率が高く、医療機関と同一敷地・建物内(イ・ロ両方に該当)

  • :処方箋集中率が85%超
  • :医療機関と同一の敷地内または建物内に所在

別表第三の一(対象となる都市部)

札幌・仙台・さいたま・千葉・東京23区・横浜・川崎・新潟・静岡・浜松・名古屋・京都・大阪・堺・神戸・岡山・広島・北九州・福岡・熊本。

「薬価ベースの妥結率5割超」かつ「期限内に報告」していれば、ひとまずセーフ。

未妥結減算は、医薬品の取引価格の交渉が進んでいない薬局に対し、調剤基本料を50%減算する厳しいルールです。新人のうちは「全品目を妥結していないとダメ」と誤解しがちですが、判定は薬局全体の薬価総額ベースです。

  • 4月1日〜9月末の半年間で、医療用医薬品の取引価格の妥結率が5割以下
  • 毎年10月1日〜11月末に、妥結率・流通改善の取組状況の報告(様式85)を地方厚生(支)局長へ提出しなかった

つまり:個別の品目で単品単価交渉が妥結していなくても、薬局全体の薬価総額ベースで妥結率が5割を超えていて、かつ期限内に報告を出していれば、未妥結減算の対象にはなりません。

報告したのに「単品単価交渉なし」だと別のペナルティ

報告は出していても単品単価交渉を行っていない場合は、未妥結減算とは別に地域支援・医薬品供給対応体制加算が算定不可になります。「報告すればOK」ではなく、中身の交渉も必要という点に注意してください。

状況結果
妥結率5割以下、または報告書未提出未妥結減算(基本料50%減)
報告はしたが単品単価交渉なし地域支援・医薬品供給対応体制加算が算定不可
妥結率5割超 + 期限内報告 + 単品単価交渉ありいずれの不利益もなし

自分の薬局でまず確認すること

  • ☐ 自局の調剤基本料区分が改定後に変わったか(集中率85%超の基準が1,800回超に下がった影響を受けないか)
  • ☐ 敷地内・同一建物内に診療所やオンライン診療施設がある場合、特別調剤基本料Aの対象に変わらないか
  • ☐ 2026年6月以降に新規開設・移転予定なら、門前薬局等立地依存減算(▲15点)の3要件に当たらないか
  • ☐ 医薬品の妥結率が5割を超えているか、様式85の報告期限(10〜11月)を押さえているか
  • ☐ 単品単価交渉を実施しているか(地域支援・医薬品供給対応体制加算の算定可否に直結)

本記事は2026年度(令和8年度)調剤報酬改定の答申資料等をもとに、新人薬剤師・調剤事務向けに要点を整理したものです。経過措置や除外規定は薬局の状況により扱いが変わります。

※ 算定の最終的な可否は、厚生労働省の点数表・施設基準の原文、および地方厚生(支)局の判断によります。実務での適用にあたっては必ず原文・最新の疑義解釈をご確認ください。

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