この記事でわかること:
① 旧「医療DX推進体制整備加算」が名称変更+点数一本化された全体像
② マイナ保険証利用率30%以上・電子処方箋の重複投薬チェックという必須要件
③ 既存店舗は届出不要かどうかの線引き
目次
まずは全体像(何が変わった?)
「医療DX推進体制整備加算」が名前を変えて点数8点に一本化。マイナ保険証30%が足切りラインです。
医療DXの推進状況を踏まえ、電子処方箋システム等を活用して質の高い調剤を行う体制を評価する加算です。旧「医療DX推進体制整備加算」から「電子的調剤情報連携体制整備加算」へ名称変更されました。
| 項目 | 旧(改定前) | 新(令和8年度〜) |
|---|---|---|
| 名称 | 医療DX推進体制整備加算 | 電子的調剤情報連携体制整備加算 |
| 点数 | 10点・8点・6点の3区分 | 8点(一本化) |
| 算定頻度 | 月1回 | 月1回(変更なし) |
| マイナ保険証利用率 | 区分により異なる | 一律30%以上が必須 |
| 電子処方箋 | 導入(経過措置あり) | 重複投薬等チェック機能の活用が必須 |
▶ 点数のポイント
月1回 8点。患者1人につき同一月に2回以上調剤しても、算定は月1回のみです。なお特別調剤基本料Bを算定する薬局は算定できません。
システム体制の要件(必須)
オン資・電子処方箋・重複チェック・電子薬歴の4点セットが土台です。
- オンライン請求・資格確認:オンライン請求を行い、オン資システムで患者の診療・薬剤情報を取得し、調剤や服薬指導に活用できる体制
- 電子処方箋への対応:①電子処方箋を受け付けて調剤する体制、②調剤結果を速やかに電子処方箋管理サービスに登録する体制
- 重複投薬等のチェック:有効成分の重複や不適切な組合せの有無を、電子処方箋管理サービスの機能等で確認する体制(今回の新要件)
- 調剤録等の電子管理:電磁的記録による調剤録・薬剤服用歴の管理体制
▶ 「電子処方箋の体制」とは
重複投与・併用禁忌チェックを含む基本機能に対応した電子処方箋を受け付けられる体制を指します。算定にあたっては、厚労省のチェックリストでマスタ設定等の安全運用の点検を完了し、ポータルサイトで報告しておく必要があります。
マイナ保険証利用率・その他の体制要件
マイナ保険証30%以上が足切り。加えてセキュリティ・健康相談・掲示が必要です。
マイナ保険証利用率
- 算定する月の3か月前(又はその前月・前々月)の件数ベースで、マイナ保険証利用率が30%以上であること。
⚠ 30%は「足切りライン」
旧加算のような利用率による段階評価は廃止され、30%を1回でも下回ると算定不可になります。季節変動で割り込まないよう、40%程度の余裕を持って維持するのが実務上は安全です。
その他の体制要件
- サイバーセキュリティ対策:「薬局におけるサイバーセキュリティ対策チェックリスト」等を活用し、セキュリティ全般に適切に対応する体制
- 健康管理相談:マイナポータルの医療情報等に基づき、患者からの健康管理の相談に応じる体制
掲示・ウェブサイトへの掲載
以下を薬局内の見やすい場所に掲示し、原則としてウェブサイトにも掲載します(自社ホームページ等を持たない場合はウェブ掲載は免除)。
- オン資システムで診療・薬剤情報を取得し調剤等に活用していること
- マイナ保険証の利用促進等、医療DXで質の高い医療を提供できるよう取り組んでいること
- 電子処方箋や電子カルテ情報共有サービスを活用するなど、医療DXの取組を実施していること
⚠ 経過措置(電子カルテ情報共有サービス)
電子カルテ情報共有サービスの活用要件は、国による全国運用が始まるまでの当面の間、基準を満たすものとみなされます。ただし運用開始後は速やかに導入するよう努める必要があります。
店舗での対応ポイントと届出
既存の届出済み店舗は再届出不要。新規・未届出のみ様式87の3の6で届出します。
現場でやること
- システム運用・セキュリティ確認:レセコンや電子薬歴が電子処方箋管理サービスと連携し、重複投薬等をシステム上でチェックできる設定・運用になっているか。サイバーセキュリティ対策チェックリストに基づく体制確認も必要。
- マイナ保険証利用率の維持:30%以上を継続できるよう、患者への利用勧奨を継続する。
- 院内掲示とホームページの更新:新要件に対応した掲示物の更新と、自社サイトへの掲載対応。
届出(特例あり)
▶ 既存店舗は再届出不要
令和8年(2026年)5月31日時点で、すでに旧「医療DX推進体制整備加算」の施設基準を届け出ている薬局は、改めての届出は不要です(疑義解釈で明言)。名称変更だけで算定を続けられます。
- 新規・未届出店舗:新たに算定を開始する場合は様式87の3の6で地方厚生局へ届出。
現場での確認チェックリスト
自分の薬局でまず確認すること
- ☐ マイナ保険証利用率が30%以上か(季節変動を見込み余裕を持って維持しているか)
- ☐ 電子処方箋管理サービスで重複投薬等チェックがシステム上できる設定になっているか
- ☐ 電子処方箋の安全運用チェックリストの点検が完了・報告済みか
- ☐ サイバーセキュリティ対策チェックリストに基づく体制が整っているか
- ☐ 新要件に対応した院内掲示・ホームページ掲載が更新されているか
- ☐ 旧加算を5/31時点で届出済みか(済なら再届出不要/未届出なら様式87の3の6)
本記事は2026年度(令和8年度)調剤報酬改定の答申資料・厚生労働省「令和8年度診療報酬改定の概要【調剤】」・疑義解釈等をもとに、新人薬剤師・調剤事務向けに要点を整理したものです。
※ 算定の最終的な可否は、厚生労働省の点数表・施設基準の原文、最新の疑義解釈、および地方厚生(支)局の判断によります。実務での適用にあたっては必ず原文・最新情報をご確認ください。

