医薬品供給不足時の患者紹介・分譲実績(地域支援・医薬品供給対応体制加算1の施設基準) ~2026年度調剤報酬改定~ をやさしく解説

制度改正
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「他局への案内」と「他社への分譲実績」は、どちらも地域支援・医薬品供給対応体制加算1の施設基準です。

医薬品の供給不安等により、患者が持参した処方箋の医薬品が自局で入手困難な場合、「他の薬局への案内(事前の在庫確認を含む)」または「処方医への照会」を含む適切な対応を行う体制を持つことが、地域支援・医薬品供給対応体制加算1の施設基準として求められています。

この記事では、現場で対応が必要になる2つの実務「①他局への患者案内」と「②他社への医薬品分譲実績づくり」を、それぞれ具体的な手順で解説します。

必ず事前に在庫確認の電話をしてから、国が指定する案内書(別紙様式4-2)を使って案内します。

  • 他局へ案内する前に、必ず事前に案内先の保険薬局へ連絡して在庫状況を確認する
  • 患者への案内には、国が指定する統一様式「案内書(別紙様式4-2)」を用いることが規定されている
  • 近隣の保険薬局に電話等で連絡し、欠品している医薬品の在庫状況を確認する
  • 患者が確実に薬を受け取れるよう、在庫の確保を依頼する

在庫を確保できた薬局(紹介先)へ案内するため、案内書を作成します。記入項目は大きく2つに分かれます。

案内書の基本情報欄:案内日、自局(紹介元)の所在地・名称・電話番号・FAX番号、対応した保険薬剤師氏名と署名、患者名、在庫がない医薬品名、処方元保険医療機関、紹介先保険薬局の名称

紹介先への連絡事項欄(切り離さず患者に渡す部分):紹介先保険薬局の名称、電話相談日時、相談対応者氏名、在庫確認医薬品名、自薬局で調剤ができない理由(例:メーカー出荷調整のため)

  • 処方箋の有効期限内に、指定した紹介先の保険薬局へ行くこと
  • 紹介先の窓口で、渡した案内書を必ず提示すること
  • 必要に応じて、患者の承諾を得て紹介先へ処方箋をFAXすることも可能

受け取った案内書は、破棄も患者への返却もせず、必ず2年間保存します。

他局で在庫がなく、事前の在庫確認を経て案内されてきた患者を受け入れた場合、書類の保管義務が発生します。これは加算要件として特に重要なポイントです。

  • 患者が持参した「案内書(別紙様式4-2)」を、処方箋と一緒に必ず受け取る
  • 事前の電話確認の通りに調剤を行い、患者へお渡しする

受け取った案内書(別紙様式4-2)を受け取った保険薬局(紹介先)は、これを2年間保存しなければならないと明確に義務付けられています。破棄したり患者に返却したりしてはいけません。

「他の保険薬局(同一グループを除く)への分譲実績」が必須要件。グループ内の異動はノーカウントです。

地域支援・医薬品供給対応体制加算1では、「他の保険薬局(同一グループを除く)に医薬品を分譲した実績があること」が要件の1つになっています。

自社の他店舗など、同一グループ内での医薬品の移動は「分譲実績」として認められません。必ず「グループ外の他社薬局」または「クリニック・病院等の医療機関」への分譲が対象です。

  • 近隣の他法人薬局やクリニックに対し、医薬品が不足した際にお互いに融通し合えるルートを開拓・確認する

初めて分譲のやり取りをする相手先とは、必ず事前に(または初回譲渡時に)「薬局開設許可証」または「保険医療機関指定通知書」のコピーを交換し、店舗で保管します。個人の身分証(運転免許証等)のコピーは不要です。

  • 他社薬局から分譲依頼があった場合、速やかに対応し分譲を実施する
  • 自局の在庫に余裕がある品目を、事前に近隣薬局へ共有しておくのも有効
パターン分譲実績として認められる?
自局 → 他社薬局・医療機関へ譲渡
他社薬局 → 自局へ譲受×
自局 → 同一グループの他店舗へ譲渡×
  • 分譲を行った際は、必ず実績を証明する書類を作成し、2年間保存する(厚生局の個別指導等で提示を求められる)
  • 譲渡書を相手薬局へ交付し、控えに相手(譲受人)の受領印または署名をもらう

▶ 分譲伝票(譲渡書)の必須記載事項(薬機法に基づく)

譲渡年月日/譲受人(分譲先)の名称・所在地・電話番号/譲渡人(自局)の名称・所在地・電話番号/品名(医薬品名)/数量(単位も明記)/ロット番号(製造番号)及び使用期限。

直近1年間の実績が必要。譲り受けはカウントされず、医療機関への分譲は対象になります。

Q. 過去(数年前)の実績でも要件を満たす?

A. いいえ、満たしません。「直近1年間において、他の保険薬局に医薬品を分譲した実績があること」と明確に定められています。6月1日算定開始に向けた5月届出では、原則として前年6月1日から本年5月31日(または届出日)までの直近1年間の実績が審査対象です。

Q. 他社から分譲してもらう(譲り受ける)実績でも要件を満たす?

A. いいえ、満たしません。要件は「他の保険薬局に医薬品を分譲した実績」であり、自局から他局へ薬を渡した実績が必要です。

Q. 近隣のクリニックや病院への分譲実績でも要件を満たす?

A. はい、満たします。疑義解釈により「保険医療機関への分譲も含まれる」ことが明示されています。門前クリニック等へ分譲した実績も、譲渡書等の証跡があればカウント対象です。

自分の薬局でまず確認すること

  • ☐ 在庫不足時に「他局案内」または「処方医への照会」を行う体制と運用ルールが店舗にあるか
  • ☐ 他局への案内は、事前の在庫確認の電話をしてから案内書(別紙様式4-2)で行っているか
  • ☐ 他局から案内された患者の案内書を受け取り、2年間保存できる仕組みがあるか
  • ☐ 同一グループ外(他社薬局・医療機関)への分譲実績が直近1年で1回以上あるか
  • ☐ 分譲時の証跡書類(譲渡年月日・相手先情報・品名・数量・ロット番号・使用期限)を漏れなく記録できているか
  • ☐ 初回取引先とは薬局開設許可証等のコピーを交換・保管しているか

本記事は2026年度(令和8年度)調剤報酬改定における地域支援・医薬品供給対応体制加算1の施設基準・疑義解釈等をもとに、新人薬剤師・調剤事務向けに要点を整理したものです。

※ 算定の最終的な可否は、厚生労働省の施設基準の原文、最新の疑義解釈、および地方厚生(支)局の判断によります。実務での適用にあたっては必ず原文・最新情報をご確認ください。様式番号・保存期間等の細目は最新の通知をご確認ください。

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