この記事でわかること:
① 対象疾患にインフルエンザが追加された一方、算定間隔は6か月に1回へ延長
② インフルエンザの場合は「実際に吸入させる」ことが必須という指導方法の違い
③ お薬手帳での報告が可能になった点と、それでも疑義照会が必要なケース
目次
まずは全体像(何が変わった?)
点数は30点のまま。対象は広がったが、算定できる頻度は半分に減りました。
吸入薬を使用する患者に、手技の指導や文書等による情報提供を行った場合に算定する加算です。インフルエンザ患者にも慢性疾患と同様の指導や曝露対策が行われている実態を踏まえ、対象疾患が拡大されました。
| 項目 | 改定前 | 改定後(令和8年度) | 変化 |
|---|---|---|---|
| 点数 | 30点 | 30点 | 変更なし |
| 算定間隔 | 3か月に1回 | 6か月に1回 | 延長 |
| 対象疾患 | 喘息、慢性閉塞性肺疾患 | 喘息、COPD、インフルエンザ | 拡大 |
⚠ 対象は増えたが算定機会は減る
対象疾患が増えた分、ラッキーと思いきや、算定できる間隔が3か月→6か月に延びています。同じ患者に毎回算定できるわけではない点に注意してください。
算定要件(誰に・どう実施するか)
喘息・COPDは「デモ機での手技確認」、インフルエンザは「実際に吸入させる」。指導方法が疾患でまったく違います。
対象患者と実施の前提
- 吸入薬の投薬が行われている患者であること
- 保険医療機関の求めがあった場合、または患者・家族等の求めがあり医師の了解を得た場合に実施
- 当該患者の同意を得ること
疾患別の指導内容(ここが新人の混同ポイント)
喘息・COPDの場合:文書及び練習用吸入器(デモ機)等を用いて吸入手技を指導し、正しい手順で使用できているかを確認する(アレルギー総合ガイドライン等を参照)
インフルエンザの場合:保険薬剤師の看視の下、患者に実際に吸入させる
⚠ デモ機の説明だけでは要件を満たさない(インフルエンザ)
インフルエンザ治療薬(吸入薬)が処方された患者にも算定できますが、デモ機を使った説明だけではNGです。薬局で薬剤師が見ている前で実際に吸入させることが必須要件です。喘息・COPDとは指導方法そのものが違う点を現場で周知してください。
報告方法と算定制限
医療機関への報告は手帳でもOKになったが、疑義があれば必ず処方医へ照会します。
医療機関への情報提供
- 指導内容は保険医療機関に文書で提供する
- 今回の改定で明確化:お薬手帳による情報提供でも差し支えない
▶ 手帳記載でOKでも、疑義があれば照会は必須
指導結果から吸入薬の使用に疑義等がある場合は、手帳への記載だけで済ませず、処方医へ照会する必要があります。報告手段の緩和と、疑義照会の必要性は別の話として現場で切り分けてください。
算定制限
- 原則として「6か月に1回」に限り算定可能
- 例外:同じ患者に「他の吸入薬」が処方され、別個に必要な吸入指導等を新たに行った場合は、前回算定から6か月以内でも算定できる
併算定の制限
- この加算を算定する場合、服薬情報等提供料は併算定できない
- 服薬管理指導料4のロ・4のハ(オンライン服薬指導)を算定する場合は、この加算は算定できない
- 特別調剤基本料Aを算定する薬局で、不動産取引等の特別な関係を有する医療機関へ情報提供を行った場合は算定できない
現場での確認チェックリスト
自分の薬局でまず確認すること
- ☐ レセコンの算定履歴チェックを「3か月」から「6か月」に変更したか
- ☐ 「他の吸入薬が処方された場合は6か月以内でも算定可」という例外を現場で周知しているか
- ☐ インフルエンザ患者には「実際に吸入させる」運用ができているか(デモ機説明だけで終わっていないか)
- ☐ 手帳記載で済ませてよいケースと、疑義照会が必要なケースを区別できているか
- ☐ 服薬情報等提供料・オンライン服薬指導(4のロ・ハ)との併算定不可を把握しているか
本記事は2026年度(令和8年度)調剤報酬改定の答申資料等をもとに、新人薬剤師・調剤事務向けに要点を整理したものです。
※ 算定の最終的な可否は、厚生労働省の点数表・施設基準の原文、最新の疑義解釈、および地方厚生(支)局の判断によります。実務での適用にあたっては必ず原文・最新情報をご確認ください。

