令和8年度(2026年度)調剤報酬改定 まとめ|削除・新設・変更の全体像と対応の優先順位

令和8年度(2026年度)調剤報酬改定 まとめ 削除・新設・変更の全体像と対応の優先順位 調剤報酬・制度改正
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執筆:Nori(薬Talk編集長・薬剤師)/調剤薬局勤務26年。管理薬剤師を経て、現在はチェーン薬局の本社部門で店舗運営支援を担当しています。

※ 本記事は令和8年度診療報酬改定の告示・留意事項通知・疑義解釈に基づき、2026年8月時点で整理したものです。今後の疑義解釈等により運用が明確化された場合は更新します。

令和8年度(2026年度)調剤報酬改定は、部分的な手直しではありませんでした。評価の骨格そのものが組み替えられています。

かかりつけ薬剤師指導料が消え、後発医薬品調剤体制加算が消え、調剤管理料は4区分から2区分へ。一方で残薬調整の加算が新設され、服用薬剤調整支援料2は10倍近い点数になりました。

本記事は、改定全体の地図です。何がどう変わったかを一覧で押さえ、詳しく知りたい項目は個別記事へ進めるように構成しました。

診療報酬全体は+3.09%(令和8年度・9年度の2年度平均。令和8年度+2.41%、令和9年度+3.77%)。うち賃上げ分が+1.70%、物価対応分が+0.76%です。薬価は▲0.86%。

調剤の改定率は+0.08%。全体が上がる中では控えめで、項目間の配分が大きく動いた改定と見るのが実態に近いと思います。

項目改定前解説
かかりつけ薬剤師指導料76点詳しく見る
かかりつけ薬剤師包括管理料詳しく見る
後発医薬品調剤体制加算1〜321/28/30点詳しく見る
調剤管理加算3点詳しく見る
医療情報取得加算詳しく見る
在宅患者オンライン薬剤管理指導料
在宅患者緊急オンライン薬剤管理指導料
各59点詳しく見る

いずれも「廃止して終わり」ではなく、別の形に組み替えられています。後発品加算は地域支援・医薬品供給対応体制加算の基礎要件へ、オンラインの点数は服薬管理指導料4へ、調剤管理加算は服用薬剤調整支援料2へ——という具合です。

項目点数解説
かかりつけ薬剤師フォローアップ加算50点(3月に1回)詳しく見る
かかりつけ薬剤師訪問加算230点(6月に1回)詳しく見る
調剤時残薬調整加算イ・ロ・ハ 50点/ニ 30点詳しく見る
薬学的有害事象等防止加算イ・ロ・ハ 50点/ニ 30点詳しく見る
門前薬局等立地依存減算▲15点詳しく見る
バイオ後続品調剤体制加算詳しく見る
調剤物価対応料詳しく見る
訪問薬剤管理医師同時指導料150点詳しく見る
複数名薬剤管理指導訪問料300点詳しく見る
項目変更内容解説
調剤管理料4区分 → 2区分(28日分以上60点/27日分以下10点)。15〜27日分は▲40点詳しく見る
服薬管理指導料イ/ロに分岐(かかりつけ薬剤師か否か)。手帳提示が区分を分ける詳しく見る
服用薬剤調整支援料290〜110点 → 1,000点適用は令和9年6月1日詳しく見る
地域支援体制加算地域支援・医薬品供給対応体制加算へ改称・再編(1〜5)詳しく見る
調剤基本料基本料1が47点へ引上げ。都市部の新区分。グループ300薬局基準は廃止詳しく見る
医療DX関係電子的調剤情報連携体制整備加算へ改称、評価区分を一本化詳しく見る
オンライン服薬指導服薬管理指導料4(イ〜ニ)に一本化詳しく見る
選定療養夜間休日における調剤の選定療養化詳しく見る
吸入薬指導加算評価対象にインフルエンザの吸入薬を追加詳しく見る
経腸栄養剤保険適用の厳格化詳しく見る
調剤ベースアップ評価料賃上げ対応の継続詳しく見る
無菌製剤処理加算増点対象を6歳未満 → 15歳未満に拡大

個別の項目を並べると細かいのですが、通して見ると3つの軸に整理できます。

軸1:立地から機能へ

改定資料には、率直な現状認識が書かれています。『患者のための薬局ビジョン』の策定から10年、処方箋集中率が高い薬局の割合はむしろ増加しました(集中率85%以上の薬局は2015年32.5%→2024年39.3%)。

そこで門前薬局等立地依存減算が新設され、調剤基本料1・3ハは引き上げられました。集中率が低い薬局を評価し、門前・モール型の新規出店を抑えるという方向です。

軸2:包括的評価から実績評価へ

かかりつけ薬剤師指導料は「かかりつけであること」への評価でした。それが廃止され、「実際に何をしたか」への評価に置き換わりました。

  • 電話等でフォローした → フォローアップ加算50点
  • 患家を訪問して残薬を整理し医療機関へ報告した → 訪問加算230点
  • 残薬を調整した → 調剤時残薬調整加算50点
  • ポリファーマシーに介入した → 服用薬剤調整支援料2で1,000点

同じ方向は地域支援・医薬品供給対応体制加算の実績要件にも現れています。新設された加算の算定実績が、そのまま体制加算の要件になるという連動構造です。

軸3:対物から対人へ(さらに一段)

調剤管理料の2区分化で、日数に応じた細かい積み上げがなくなりました。一方、対人業務の評価は大幅に厚くなっています。

象徴的なのが服用薬剤調整支援料2の1,000点です。検査値を収集し、各薬剤の効果と有害事象を評価し、調整後の観察計画まで立てる——そこまでやる業務に、桁の違う点数を付けたということです。

すべてが令和8年6月から始まるわけではありません。ここを間違えると誤請求になります。

項目適用・経過措置
服用薬剤調整支援料2(1,000点)令和9年6月1日から適用。それまでは算定できない
後発品85%要件令和8年3月31日時点で後発品加算を届出済の薬局は、令和9年5月31日まで満たすものとみなす
門前薬局等立地依存減算令和8年5月31日時点で保険指定済の薬局は当面適用しない
調剤基本料2(都市部の新区分)既存薬局(令和8年5月31日までに開設し継続して受付1,800回以下)には当面適用しない
調剤室16平方メートル要件令和8年6月以降に開設・改築・増築する場合のみ適用

令和9年5〜6月に、まとめて期限が来ます。後発品85%と服用薬剤調整支援料2の研修——この2つは今から動かないと間に合いません。

全部を一度に対応するのは現実的ではありません。影響の大きさで並べると、次の順になると考えています。

  1. 後発品割合が85%未満の店舗の洗い出し——期限が明確で、落ちたときの影響が最大(加算2〜5がまるごと消える)
  2. かかりつけ薬剤師の体制整備——新設加算2種の前提であり、体制加算の実績要件④にもなる。改定の中心に位置している
  3. 調剤管理料の影響額の把握——処方日数の分布次第で減収幅が変わる。数字を押さえないと原因分析ができない
  4. 残薬調整・有害事象防止加算の運用づくり——体制加算の実績要件③にもなる
  5. 服用薬剤調整支援料2の準備——研修と検査値入手の経路。令和9年6月に向けて

調剤基本料・体制加算

薬学管理料

在宅・オンライン

その他

※ 算定要件の解釈は今後の疑義解釈等により変わる場合があります。実際の請求・届出にあたっては、告示・通知・疑義解釈の最新の内容をご確認のうえ、貴施設の責任においてご判断ください。

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