オンライン服薬指導システムはどう選ぶ?|令和8年度改定の服薬管理指導料4から逆算する

薬局実務
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執筆:Nori(薬Talk編集長・薬剤師)/調剤薬局勤務26年。管理薬剤師を経て、現在はチェーン薬局の本社部門で店舗運営支援を担当しています。

※ 本記事は2026年8月時点の公開情報に基づきます。算定要件は疑義解釈等により運用が明確化される場合があります。最新の一次情報をご確認ください。

オンライン服薬指導のシステムを選ぶとき、各社の機能一覧を並べて比べていないでしょうか。私はそうしていました。そして、うまくいきませんでした。

順序が逆だったのだと思います。先に決まっているのは制度側の要件で、システムはそれを満たせるかどうかで選ぶものです。機能の多さで選ぶと、算定に必要な作業が手作業のまま残ります。

しかも令和8年度改定で、この領域は点数表の構造そのものが変わりました。本記事では、改定内容を確認したうえで、そこから逆算してシステムに必要な機能を整理します。

1. 令和8年度改定で何が変わったか

厚生労働省の改定概要資料では、この見直しは「調剤報酬の簡素化」として位置づけられています。

改定前改定後
在宅患者訪問薬剤管理指導料
 在宅患者オンライン薬剤管理指導料 59点
削除
在宅患者訪問薬剤管理指導料
 在宅患者緊急オンライン薬剤管理指導料 59点
削除
服薬管理指導料4(情報通信機器を用いた服薬指導を行った場合)に統合

在宅患者オンライン薬剤管理指導料は廃止され、服薬管理指導料4に一本化されました。在宅もそれ以外も、オンラインで服薬指導を行った場合は服薬管理指導料4で算定する構造になっています。

2. 服薬管理指導料4の4区分

区分対象患者点数
4のイ(イ) 3月以内に再度処方箋を持参した患者であって、手帳を提示したもの
(ロ) 介護老人福祉施設等の患者
45点
4のロ在宅で療養を行っている患者であって通院が困難なもの(ハの場合を除く)59点
4のハロのうち、患者の状態の急変等に伴い行った場合59点
4のニイからハまでの患者以外の患者
(初めて処方箋を提出した患者、3月を超えて再度提出した患者、3月以内だが手帳を提示していない患者)
59点

対面の服薬管理指導料と同じく、手帳の提示が区分を分ける点に注意してください。3月以内の再来局でも手帳の提示がなければ、イではなくニになります。

また、オンラインでも原則として手帳により薬剤服用歴等を確認することが求められています。留意事項通知には、患者が服用中の医薬品等について関係者が継続的・一元的に確認できるよう、必要な情報を手帳に添付または記載することも記載されています。

3. 制度要件から逆算する、システムに必要な機能

ここが本題です。留意事項通知が求めている作業を並べると、システムに何が必要かが自動的に決まります。

制度が求めること必要になる機能
原則として手帳により薬剤服用歴等を確認する電子お薬手帳との連携。オンラインでは紙の手帳を見られないため、ここが繋がっていないと要件を満たす運用が組めない
情報通信機器の運用費用・医薬品の配送費用を実費で別途徴収できる調剤報酬とは別建ての実費請求・決済の仕組み
薬剤を配送する場合は受領の確認を行う配送状況の記録・追跡
4のロでは、訪問診療を行った医師に対し、結果を文書で情報提供する報告文書の作成・送信
算定回数に上限がある(後述)算定回数の管理。手作業では事故が起きる

この5つのうち、特に見落とされやすいのが1つ目と2つ目です。

電子お薬手帳との連携

オンライン服薬指導では、患者の紙の手帳を手に取って確認することができません。手帳の確認が原則として求められている以上、電子お薬手帳と繋がっているかどうかは機能の優劣ではなく前提条件です。

厚生労働省が公開している電子版お薬手帳サービス一覧には、各サービスの「その他ガイドラインに定められた機能」として「オンライン服薬指導等に係るアプリや他のPHRとの連携が可能な機能」の記載があります。選定の際は、この一覧を突き合わせると確認が早いです。

実費徴収の扱い

留意事項通知には、次の記載があります。

   当該服薬指導を行う際の情報通信機器の運用に要する費用及び医薬品等を患者に配送する際に要する費用は、療養の給付と直接関係ないサービス等の費用として、社会通念上妥当な額の実費を別途徴収できる。

つまり、通信費と配送費は患者から実費で受け取れます。ただし「療養の給付と直接関係ないサービス等の費用」に該当するため、算定とは別の会計処理が必要になります。金額の設定根拠と、患者への事前説明も要ります。

この処理をシステム側で扱えるかどうかは、日々の実務負担に直結します。導入前に必ず確認してください。

4. 算定回数の上限(見落とし注意)

4のロ・ハには、複数の上限が重なっています。ここが最も事故が起きやすい部分です。

4のロ(在宅・通院困難)

  • 訪問薬剤管理指導を行っている保険薬局であることが前提
  • 訪問薬剤管理指導と同日に行う場合を除く
  • 在宅患者訪問薬剤管理指導料1〜3と合わせて月4回まで
    (末期の悪性腫瘍の患者、注射による麻薬の投与が必要な患者、中心静脈栄養法の対象患者は週2回かつ月8回
  • 保険薬剤師1人につき、在宅患者訪問薬剤管理指導料1〜3と合わせて週40回まで
  • 訪問診療を行った医師に対し、結果を文書で情報提供する
  • 在宅患者訪問薬剤管理指導料または4のロを月2回以上算定する場合は、週1回が限度(上記の例外患者を除く)

4のハ(状態の変化等に伴う場合)

  • 訪問薬剤管理指導と同日に行う場合を除く
  • 在宅患者緊急訪問薬剤管理指導料1・2と合わせて月4回まで
    (末期の悪性腫瘍の患者、注射による麻薬の投与が必要な患者は月8回
  • この場合、在宅患者緊急訪問薬剤管理指導料は算定できない

4のイ(介護老人福祉施設等の患者)

介護老人福祉施設等の患者に情報通信機器を用いた薬剤管理指導を行った場合、服薬管理指導料3と4のイを合わせて月4回までとされています。

これらを頭で管理するのは現実的ではありません。訪問とオンラインを併用する薬局ほど、算定回数の自動チェックがあるかどうかで安全性が変わります。

5. 選定時に確認すること

  1. 電子お薬手帳と連携できるか——どのサービスと繋がるかを具体名で確認する
  2. 自局のレセコン・電子薬歴と連携できるか——二重入力が発生しないか、実際の処方例で確認する
  3. 実費(通信費・配送費)の請求を扱えるか——調剤報酬とは別建ての会計になる
  4. 配送の受領確認を記録できるか
  5. 算定回数の上限を管理できるか——特に在宅を持つ薬局では必須
  6. 医師への情報提供文書を出力できるか——4のロでは要件
  7. 患者側の導入負担——高齢患者が多い薬局では、アプリのインストールが最大の障壁になる

最後の項目は軽視されがちですが、実際に使われるかどうかを決めるのはここです。機能が充実していても、患者が使えなければ算定機会は生まれません。

6. 制度が示す方向

今回の見直しは「簡素化」と位置づけられていますが、実務から見るとオンライン服薬指導が特別なものではなくなったということだと考えています。

在宅専用の点数として切り出されていたものが、通常の服薬管理指導料の中の一区分に収まりました。対面かオンラインかは手段の違いであって、行うべき薬学的管理は同じ——構造がそう語っています。

だからこそ、システムに求めるべきは「オンラインができること」ではなく、対面と同じ質の薬学的管理を、対面と同じ手間で行えることだと思います。

まとめ

  • 令和8年度改定で在宅患者オンライン薬剤管理指導料は廃止服薬管理指導料4に一本化
  • 4区分は イ45点/ロ59点/ハ59点/ニ59点。手帳の提示が区分を分ける
  • オンラインでも手帳による確認が原則。電子お薬手帳との連携は機能ではなく前提
  • 通信費・配送費は実費で別途徴収できるが、算定とは別の会計処理になる
  • 4のロ・ハは算定回数の上限が重なる。システムでの管理を前提にしたほうが安全

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出典

※ 算定要件の解釈は疑義解釈等により明確化される場合があります。実際の請求にあたっては、告示・通知・疑義解釈の最新の内容をご確認のうえ、貴施設の責任においてご判断ください。

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