コルヒチンは1日1.5mgまでになりました|「3〜4mgを6〜8回」が消えた2026年6月2日の用法変更

コルヒチンの痛風発作の緩解が2026年6月2日に1日1.5mgまでに変更。旧用法の1日3〜4mgを6〜8回分割は消えた 医薬品
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コルヒチンの用法・用量が変わりました。2026年6月2日です。

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長いこと添付文書に載っていた「1日3〜4mgを6〜8回に分割」という書き方が、消えました。いまは1日1.5mgまでです。

「急に変わった」と感じた方が多いと思います。調べてみると、急ではありませんでした。16年かけて3段階で降りてきて、最後の1段だけが急だったのです。

1.5mg痛風発作の緩解 1日上限0.5mg錠でちょうど3錠
32026年の改訂回数2月・3月・6月
16最初の警鐘からの年数2010年6月1日

何が変わったのか

2026年6月2日の改訂指示(医薬薬審発0602第1号・医薬安発0602第1号)の新旧対照が、いちばん分かりやすいです。

改訂前改訂後
痛風発作の緩解1日3〜4mg6〜8回に分割経口投与する。なお、年齢、症状により適宜増減する1回0.5〜1.0mgを1日1回又は2回経口投与する。ただし、1日の総投与量は1.5mgを超えないこと
痛風発作の予防1日0.5〜1mg、発作予感時には1回0.5mg ——変更なし
家族性地中海熱1日0.5mgを1〜2回、最大1.5mgまで ——変更なし
出典:2026年6月2日 医薬薬審発0602第1号・医薬安発0602第1号 別紙1

変わったのは「痛風発作の緩解」だけです。予防と家族性地中海熱は、もともと1.5mgの枠に収まっていたので手が入っていません。

そして上限だけでなく、飲み方も変わりました。「6〜8回に分割」が「1日1回又は2回」になっています。

旧:1回0.5mgを3〜4時間ごと、発作が緩解するまで(最大1日3〜4mg=6〜8錠)

新:1回0.5〜1.0mgを1日1〜2回(最大1日1.5mg=3錠)

——1日あたりの錠数が、最大8錠から3錠になりました。

コルヒチンの1日上限の変遷。2010年は1.8mgまでが望ましい、2026年2月に警告新設で1.5mg、2026年6月に用法用量そのものが1.5mgに
痛風発作の緩解における1日量の上限と、警告の書きぶりの変化

実は3段階で降りてきていました

改訂指示を古いほうから並べると、流れが見えます。

第1段:2010年6月1日——「1.8mgまでが望ましい」

[用法・用量に関連する使用上の注意]の項を新たに設け、「投与量の増加に伴い、下痢等の胃腸障害の発現が増加するため、痛風発作の緩解には通常、成人にはコルヒチンとして1日1.8mgまでの投与にとどめることが望ましい。」を追記し(略)

このとき同時に、CYP3A4を強く阻害する薬剤・P糖蛋白阻害薬との併用が禁忌になり、後で出てくる海外試験の結果も[その他の注意]に入りました。

ただし——用法・用量そのものは「1日3〜4mgを6〜8回に分割」のまま残りました。注意書きで「1.8mgまでにとどめるのが望ましい」と言いながら、公式の用量は3〜4mg。このねじれが16年続いたことになります。

第2段:2026年2月24日——警告の新設と、1.8mg→1.5mg

ここで大きく動きました。警告の項が新設されます。

本剤の1日量1.5mgを超える高用量を投与した患者及び重度腎機能障害患者において、重篤な中毒症状(胃腸障害、血液障害、腎障害、肝障害等)を発現し、死亡に至った症例が報告されている。1日量1.5mgを超える高用量の投与、又は重度腎機能障害患者への投与は、臨床上やむを得ない場合を除き避けること。

数字がここで1.8mgから1.5mgに変わっています。同時に、旧記載にあった「1回0.5mgを投与し、疼痛発作が緩解するまで3〜4時間ごとに投与する」という文も削られ、「1回量、1日量及び投与期間は国内の最新のガイドラインを参考にすること」に置き換わりました。

第3段:2026年6月2日——用法・用量そのものを書き換え

そして冒頭の改訂です。ここでようやく用法・用量の本文が1.5mgになりました。

この通知の番号に注目してください。「医薬薬審発」と「医薬安発」の連名です。2月・3月の改訂は医薬安発(安全対策)だけでした。

用法・用量は承認事項なので、書き換えるには審査部門が関わります。連名になっているのは、今回が「注意書きの変更」ではなく「承認内容の変更」だからです。

なぜ1.5mgなのか

理由は2つあります。

① 増やしても効きは変わらず、下痢だけ増えた

添付文書の「15.1 臨床使用に基づく情報」に、根拠が載っています。

海外の臨床試験において、コルヒチン低用量(1.8mg/日)群と高用量(4.8mg/日)群の疼痛発作に関する有効性を比較したところ、両群に差がなかった。また高用量群の方が下痢等の胃腸系有害事象の発現は高かった。

2.7倍飲んでも、効きは同じ。増えたのは副作用だけでした。この試験は2010年のもので、同じ年の改訂で[その他の注意]に載っています。

コルヒチンは治療域が狭く、中毒量との差が小さい薬です。しかも警告にあるとおり血液透析で除去できません。「効かないから増やす」が最も危険な薬のひとつ、ということになります。

処置:脱水に対する補液、電解質補正、血球減少、感染症、凝固異常に対する対症療法、血圧、呼吸管理を行う。なお、本剤は強制利尿や血液透析では除去されない。

② 1.5mgは0.5mg錠でちょうど3錠

もうひとつは、単純な話です。

試験で使われた低用量は1.8mg/日でした。ところが日本のコルヒチン錠は0.5mg錠しかありません。1.8mgは3.6錠で、割り切れません。

用量0.5mg錠なら
1.8mg(試験の低用量)3.6錠割り切れない
1.5mg(現行の上限)3錠ちょうど
2.0mg4錠1.8mgを超える

1.8mgを超えない、錠剤で割り切れる、いちばん大きい数字が1.5mgです。なぜ1.5mgという数字を選んだかは改訂指示に書かれていませんが、0.5mg錠3錠という区切りは、現場で運用するうえで意味があります。

なお、1回量が「0.5〜1.0mg」になったのもここに効いています。1錠か2錠。それを1日1〜2回。合計で3錠まで。

いちばん大事な変化は、数字ではありません

警告の文言を、2月と6月で並べてみます。

時期警告の書きぶり
2010年6月〜1日1.8mgまでの投与にとどめることが望ましい(用法・用量は1日3〜4mgのまま)
2026年2月〜1日量1.5mgを超える高用量の投与は、臨床上やむを得ない場合を除き避けること
2026年6月〜本剤の承認された用量を超えて投与しないこと
出典:各時点の改訂指示通知より

「望ましい」→「やむを得ない場合を除き避ける」→「超えて投与しない」

16年かけて、例外の余地が消えました。いまは1.5mgが承認用量そのものなので、超えれば承認用量超過です。「やむを得ない場合」という逃げ道は、もうありません。

薬局で何が起きるか

問題は、旧用法で書かれた処方箋です。

「1回1錠 疼痛時 3〜4時間ごと 10回分」のような書き方は、旧添付文書にそのまま沿ったものでした。2026年6月2日より前なら、添付文書どおりです。いまは違います。

 1日量が1.5mg(3錠)を超えていないか——ここだけ見ればよい

 「疼痛時 3〜4時間ごと」のような回数上限のない書き方になっていないか

 超えていれば疑義照会。根拠は「2026年6月2日の用法・用量変更」と具体的に伝える

 あわせて腎機能を確認する(重度腎機能障害は警告の対象)

③がポイントです。「添付文書と違います」ではなく「6月2日に用法・用量そのものが変わりました」と言えば、話が早く済みます。長年この処方で問題がなかった先生ほど、変更を知らない可能性があります。

また、痛風発作の予防(1日0.5〜1mg)は変わっていません。緩解と予防を混同しないよう、どちらの目的の処方かを確認するのが先です。

併用禁忌も、3月に1つ増えています

用量の話に隠れていますが、2026年3月17日(医薬安発0317第1号 別紙25)で併用禁忌に1剤追加されました。

肝代謝酵素CYP3A4を強く阻害する薬剤:アタザナビル/クラリスロマイシン含有製剤/イトラコナゾール/リトナビルを含有する製剤/ダルナビルを含有する製剤/コビシスタットを含有する製剤/エンシトレルビル/ロナファルニブ/セリチニブ 等

P糖蛋白を阻害する薬剤:シクロスポリン 等

追加されたのがセリチニブ(ジカディア)です。

この併用禁忌には「肝臓又は腎臓に障害のある患者に使用する場合」という限定が付いています。肝腎機能が正常なら併用注意です。ここを読み飛ばすと過剰な照会になるので、条件つきの禁忌だと覚えておく必要があります。

実務でいちばん当たるのはクラリスロマイシンだと思います。ピロリ除菌のボノサップ・ラベキュアも、名指しで入っています。

まとめ

  • ◻️ 痛風発作の緩解は1回0.5〜1.0mgを1日1〜2回、1日1.5mgまで(=0.5mg錠で3錠)
  • ◻️ 変わったのは2026年6月2日(医薬薬審発0602第1号・医薬安発0602第1号)
  • ◻️ 旧用法の「1日3〜4mgを6〜8回に分割」は消えた
  • ◻️ 予防(1日0.5〜1mg)と家族性地中海熱は変更なし
  • ◻️ 1.5mgの根拠は「増やしても効きが同じで下痢が増えた」海外試験(低用量1.8mg/日 vs 高用量4.8mg/日)
  • ◻️ 1.8mgは0.5mg錠で3.6錠。割り切れる上限が1.5mg=3錠
  • ◻️ 警告は「望ましい」→「やむを得ない場合を除き避ける」→「超えて投与しない」と16年で例外が消えた
  • ◻️ 2026年3月17日に併用禁忌へセリチニブ追加(肝・腎障害患者に使用する場合)
  • ◻️ コルヒチン中毒は強制利尿でも血液透析でも除去できない

「1日3〜4mgを6〜8回」は、長く教科書に載っていた書き方です。覚えているほうが危ない改訂になりました。

参考にした一次資料

  • コルヒチン錠0.5mg「タカタ」添付文書(2026年6月改訂 第4版、用法変更・用量変更)
  • 2026年6月2日 医薬薬審発0602第1号・医薬安発0602第1号 別紙1(使用上の注意の改訂指示)
  • 2026年3月17日 医薬安発0317第1号 別紙25(併用禁忌の追加)
  • 2026年2月24日 医薬安発0224第1号 別紙1(警告の新設)
  • 2010年6月1日 薬食安発0601第1号 別紙6(用法・用量に関連する使用上の注意の新設)
  • 高尿酸血症・痛風の治療ガイドライン第3版(2022年追補版)※添付文書7.1が参照を求める文献1
  • Terkeltaub RA, et al. Arthritis Rheum. 2010;62(4):1060-1068(添付文書15.1.1の文献7)

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※ 本記事の制度・添付文書に関する記載はすべて原文を確認しており、広告主の影響を受けていません。

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