薬剤師32万人はいまどこにいるのか|管理薬剤師は4人に1人、企業だけが7.8%減っています【キャリア5方向】

薬局実務
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執筆:Nori(薬Talk編集長・薬剤師)/調剤薬局勤務26年。管理薬剤師を経て、現在はチェーン薬局の本社部門で店舗運営支援を担当しています。

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キャリアアップの形は、人によって違います。本社に行きたい人。在宅をやりたい人。OTCも売りたい人。企業に移りたい人。自由に働きたい人。——どれも正解です。ただ「その道に何人いるのか」を知らないまま動くと、見込みを外します。厚生労働省の統計で、薬剤師329,045人がいまどこにいるのかを見ました。管理薬剤師は49,537人。薬局薬剤師の4人に1人です。そして企業に行く道だけが、はっきり細くなっています。
32.9万人届出薬剤師数令和6年12月31日現在
4人に1人薬局薬剤師のうち管理薬剤師49,537人 / 197,437人
−7.8%医薬品関係企業だけが減少2年で2,902人減
令和6年の薬剤師統計。総数329,045人、薬局の従事者197,437人で60.0%、医療施設63,290人、医薬品関係企業34,184人は7.8%減、店舗販売業は17.2%減、介護保険施設は11.5%増、介護医療院は27.3%増
厚生労働省「令和6(2024)年 医師・歯科医師・薬剤師統計の概況」表15

まず、みんなどこにいるのか

2年に1度の統計です。令和6年12月31日現在で329,045人。前回から5,355人(1.7%)増えています。

従事先人数割合前回比
薬局197,43760.0%+3.5%
 うち勤務者(管理者以外)132,08540.1%+5.1%
 うち勤務者(管理者)49,53715.1%+2.5%
 うち開設者・法人代表15,8154.8%―
医療施設63,29019.2%+1.3%
 うち病院57,59517.5%+1.8%
 うち診療所5,6951.7%△3.1%
医薬品関係企業34,18410.4%△7.8%
 うち製造販売業・製造業24,1027.3%△6.5%
 うち店舗販売業5,0901.5%△17.2%
 うち卸売販売業4,9591.5%△3.3%
衛生行政機関・保健衛生施設6,9062.1%△0.3%
大学5,0111.5%+2.2%
介護保険施設1,2170.4%+11.5%
その他・無職20,9766.4%+2.4%

この表から、進路を考えるうえで効く事実が3つ読めます。

①管理薬剤師は「4人に1人」です

薬局の勤務者は181,622人。そのうち管理者が49,537人——27%です。

管理薬剤師になること自体は、希少なキャリアではありません。4人に1人が就いています。だから「管理薬剤師になれば次がある」とはならない。ここが「止まった」と感じる正体です。

②企業に行く道だけが、細くなっています

全体が増えているなかで、医薬品関係企業だけが2,902人(7.8%)減りました。

介護保険施設+11.5%
薬局+3.5%
病院+1.8%
製造販売業・製造業△6.5%
店舗販売業△17.2%

店舗販売業が17.2%減。ドラッグストアで「薬剤師として」届出をしている人が、2年で1,056人減りました。登録販売者への置き換えが進んでいると読むのが自然です。

企業に行きたいなら、いま椅子は減っています。不可能ではありませんが、「いつか行ければ」で動ける道ではなくなりました。

③いちばん伸びているのは介護保険施設です

人数は1,217人と少ないですが、伸び率は+11.5%で全カテゴリ最大です。介護医療院にいたっては+27.3%。

在宅・施設の方向に、実際に人が動いています。これは肌感覚ではなく統計に出ている変化です。

5つの方向と、それぞれの入口

数字を踏まえて整理します。「どれがいいか」ではなく「何を取りに行くか」で選ぶものだと思っています。

方向取りに行くもの手放すもの
①本社部門へ効く範囲。全店に届く患者さんとの距離。「ありがとう」が減る
②在宅・施設へ薬剤師として踏み込める領域時間の自由。移動と急変対応
③OTCも扱う受診前の人に関われる処方箋業務の比重。接客・販売の要素
④企業へスケールと専門性椅子が減っている。年齢の壁が現実にある
⑤自由に働く時間と場所昇進と退職金。継続的な経験の積み上げ

①本社部門へ——求人票に載らない道

報酬改定、薬事、価格交渉、教育、システム。店舗数がある会社にしか存在しません。

「本社勤務」で募集されることは、ほとんどありません。店舗採用から異動するのが普通です。だから外から見えない。私自身、移って3年目まではラウンダーでした——その経緯は管理薬剤師で止まっていた私が、本社で報酬改定と価格交渉を任されるまでに書きました。

入口の見分け方:面接で「直近3年で本社に移った人は何人ですか」と聞く。実例が挙がらなければ、その道は用意されていません。

②在宅・施設へ——統計が伸びている唯一の方向

介護保険施設の従事者が+11.5%。数少ない「増えている」カテゴリです。薬局側でも在宅は加算・体制の両面で評価が厚くなっています。

入口の見分け方:「在宅に力を入れています」は誰でも言えます。届出で確かめられます——手順は在宅未経験から在宅の薬局へ移るときに書きました。

③OTCも扱う——ただし届出は減っています

ここは注意が要ります。店舗販売業に従事する薬剤師は5,090人で、2年で17.2%減りました。

ただしこれは「主に従事している施設」の届出です。調剤併設のドラッグストアで働く薬剤師は「薬局の従事者」に入ります。OTCに関わる薬剤師が減ったのではなく、「OTC専任」の枠が減っていると読むのが正確でしょう。

そして薬剤師でなければ売れないものがあります。要指導医薬品、第1類医薬品。緊急避妊薬もここに入りました。登録販売者に置き換えられない領域は、はっきりしています。

入口の見分け方:調剤併設か、OTC専門か。調剤基本料の区分を見ると、その店が処方箋にどれだけ依存しているかが分かります(求人票の読み方)。

④企業へ——いま椅子が減っています

製造販売業・製造業が24,102人(全体の7.3%)で、2年で1,684人減。卸も減っています。

甘い見通しは書きません。薬局から未経験で入る枠は、もともと限られています。そのうえ全体が縮んでいる。「いつか」では届きません。

ただし薬局での経験が効く職種はあります。安全性情報(PV)、学術・DI、営業支援。「現場で何が起きるか知っている」ことが強みになる領域です。

⑤自由に働く——足りない地域ほど交渉できます

パート、派遣、単発、複数掛け持ち。この選択が現実的なのは、薬剤師が地域によって明確に足りていないからです。

厚労省の偏在指標を47都道府県分まとめました(薬剤師はどこが足りないのか)。足りない地域ほど、条件は交渉できます。

手放すものも書いておきます。昇進、退職金、そして「経験の積み上げ」です。単発を続けると、施設基準や在宅のような継続してこそ身につく仕事から遠ざかります。

どれを選ぶにしても、共通していること

  1. その道に何人いるか調べるこの記事の表がそれです。人数が少ない=狭き門。減っている=いま動かないと閉じます
  2. 「力を入れています」を届出で確かめる地方厚生局が公表しています。言葉ではなく届出を見る
  3. 面接で実例の人数を聞く「可能性はあります」は、実例がないという意味のことがあります
  4. 戻れることを忘れない薬剤師免許は消えません。合わなければ調剤に戻れます。失うのは時間だけです

4番目が、いちばん言いたいことです。

統計には「無職の者」11,975人という欄もあります。3.6%。それでも免許は残っている。私たちは、退路のある挑戦ができる職業です。

まとめ

  • 届出薬剤師数は329,045人。薬局60.0%、医療施設19.2%、医薬品関係企業10.4%です(令和6年12月31日現在)
  • 管理薬剤師は49,537人=薬局勤務者の27%。4人に1人です。希少なポジションではないので、そこが終点に見えるのは当然でした
  • 全体が増えるなかで、医薬品関係企業だけが7.8%減。とくに店舗販売業は17.2%減です。企業を目指すなら「いつか」では届きません
  • いちばん伸びているのは介護保険施設で+11.5%(介護医療院は+27.3%)。在宅・施設の方向に実際に人が動いています
  • 本社部門は求人票に載りません。店舗採用からの異動が普通なので、外から見えない道です
  • OTCは要指導医薬品・第1類という「薬剤師でなければ売れない領域」がはっきりしています
  • 合わなければ戻れます。統計には無職11,975人の欄もありますが、それでも免許は残ります

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株式会社メディカルリソースが運営する薬剤師専門サービスです(2000年設立)。転職だけでなく「派遣」を扱っているのが特徴で、有料職業紹介(13-ユ-010743)と労働者派遣(派13-010770)の両方の許可を持っています。拠点は全国12支店。運営元は日本調剤グループです——選ぶ材料になるので書いておきます。

「派遣」は、常勤か辞めるかの二択しかないと思っている人ほど知っておく価値があります。いま動く予定がなくても相場は交渉材料になりますし、地域差は大きい——厚労省の偏在指標で見ると、足りない地域ほど条件は動きます。在宅に移りたい方は「力を入れています」を届出で見分ける方法もどうぞ。

※ 本記事の制度・添付文書に関する記載はすべて原文を確認しており、広告主の影響を受けていません。

出典

※ 本記事の人数・割合は令和6年12月31日現在の届出によります。前回比は令和4年との比較です。
※ 「主に従事している施設・業務」の届出なので、調剤併設ドラッグストアの薬剤師は「薬局の従事者」に含まれます。
※ 各方向の向き不向きは個人の状況によります。本記事は統計から見える傾向を整理したものです。

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