執筆:Nori(薬Talk編集長・薬剤師)/調剤薬局勤務26年。管理薬剤師を経て、現在はチェーン薬局の本社部門で店舗運営支援を担当しています。
まず点数。イとロが逆です
注7 特定薬剤管理指導加算1
イ 特に安全管理が必要な医薬品が新たに処方された患者に対して行った場合 10点
ロ 特に安全管理が必要な医薬品に係る用法又は用量の変更、患者の副作用の発現状況等に基づき保険薬剤師が必要と認めて行った場合 5点
注9 特定薬剤管理指導加算3
イ 医薬品リスク管理計画に基づき製造販売業者が作成した……資料を当該患者に対して最初に用いて必要な指導等を行った場合 5点
ロ 調剤前に医薬品の選択に係る情報が特に必要な患者に対して必要な指導等を行った場合 10点
加算1のイは「新規処方」だけです
(2) イについては、新たに当該医薬品が処方された場合に限り、算定することができる。
(3) ロについては、次のいずれかに該当する患者に対して指導を行った場合をいう。
ア 特に安全管理が必要な医薬品の用法又は用量の変更に伴い保険薬剤師が必要と認めて指導を行った患者
イ 患者の副作用の発現状況、服薬状況等の変化に基づき保険薬剤師が必要と認めて指導を行った患者
問題は「新たに処方された」の範囲です。疑義解釈が2つの場面を名指しで否定しています。
問 特定薬剤管理指導加算1の「イ」について、以下の場合には算定できないと考えてよいか。
①患者としては継続して使用している医薬品ではあるが、当該薬局において初めて患者の処方を受け付けた場合
②同一成分の異なる銘柄の医薬品に変更された場合
(答)いずれもそのとおり。なお、いずれの場合においても、保険薬剤師が必要と認めて指導を行った場合には、要件をみたせば特定薬剤管理指導加算1の「ロ」が算定可能。
同一成分の銘柄変更も同じです。後発品への変更や、供給不安による銘柄切替。イは不可、ロは可能。——ここを取りこぼしている薬局は多いと思います。
何剤あっても、1回だけです
(5) 特に安全管理が必要な医薬品が複数処方されている場合には……処方箋受付1回につき1回に限り算定する。なお、イ及びロのいずれにも該当する場合であっても、重複して算定することはできない。
問16(答) ……1回の処方で「イ」又は「ロ」に該当する複数の医薬品が存在し、それぞれについて必要な指導を行った場合であっても、「イ」又は「ロ」のみ算定すること。
ハイリスク薬が3剤出ていても1回。そして新規の薬と用量変更の薬が同時にあっても、どちらか一方です。点数が高いイを選ぶことになります。
同じ処方でもロは取れます。ただし薬歴に理由が要ります
対象となる医薬品に関して患者又はその家族等に対して確認した内容及び行った指導の要点について、薬剤服用歴等に記載すること。なお、従来と同一の処方内容の場合は、「ロ」として特に指導が必要と保険薬剤師が認めた場合に限り算定することができるが、この場合において、特に指導が必要と判断した理由の要点を薬剤服用歴等に記載すること。
ここが個別指導で見られるところです。「毎回ロを算定しているが、薬歴が毎回同じ」——これは典型的な指摘パターンになります。
加算3のロは、3つの場面です
加算3は患者1人につき、当該医薬品に関して最初に処方された1回に限り算定します。ロ(10点)の対象は3つ。
・後発医薬品が存在する先発医薬品であって、一般名処方又は銘柄名処方された医薬品について、選定療養の対象となる先発医薬品を選択しようとする患者に対して説明を行った場合
・医薬品の供給の状況が安定していないため、調剤時に前回調剤された銘柄の必要な数量が確保できず、前回調剤された銘柄から別の銘柄の医薬品に変更して調剤された薬剤の交付が必要となる患者に対して説明を行った場合
・バイオ医薬品の一般名処方による処方箋の交付を受けた患者又はバイオ後続品の銘柄名処方による処方箋の交付を受けた患者に対して、バイオ後続品の品質、有効性、安全性等について説明を行った場合
2番目が実務でいちばん多いはずです。供給不安で銘柄が変わる——毎日起きています。説明していれば10点です。
そして1番目には、知っておくと得をする疑義解釈があります。
問 ……選定療養の対象となる先発医薬品を選択しようとする患者に対して説明を行った場合には、患者が先発医薬品を希望しているにもかかわらず、説明の結果、後発医薬品を選択して選定療養とならなかった場合も算定可能か。
(答)可能である。
説明した結果、患者が後発品に変えても算定できます。「選定療養にならなかったから取れない」ではありません。評価されているのは説明そのものです。
加算3のイは、RMP資材がなければ算定できません
問21 「イ」について、RMPに係る患者向け資材がない医薬品については算定できないのか。また、薬機法の再審査が終了し、RMPの策定・実施が解除された医薬品については算定の対象外になるのか。
(答)いずれの場合も算定不可。
問20 ……指導に使用した患者向けRMP資材を薬剤服用歴等に添付もしくは資材の名称等を記載する必要があるのか。
(答)患者向けRMP資材の薬剤服用歴等への添付及び資材の名称等の記載は不要であるが、指導の要点を薬剤服用歴等に記載すること。
資材がなければ取れません。RMPの提出品目と資材はPMDAのサイトで確認できます。再審査が終わってRMPが解除された薬も対象外です。
薬歴には資材の名称を書く必要はありません。ただし指導の要点は必要です。
薬歴に何を書けばいいのか
通知が求めているものを整理します。
| 算定するもの | 薬歴に必要な記載 |
|---|---|
| 加算1(イ・ロ共通) | 対象医薬品について確認した内容と行った指導の要点 |
| 加算1のロ 従来と同一の処方内容のとき | 上記に加えて「特に指導が必要と判断した理由の要点」 |
| 加算3(イ・ロ共通) | 対象となる医薬品が分かるように記載+指導の要点 |
| 加算3のロ 供給状況を踏まえた説明のとき | 薬歴に加えて、レセプト摘要欄に「必要な数量が確保できなかった薬剤名」 |
加算3のロの最後の一行は見落とされます。薬歴だけでなくレセプトの摘要欄にも書きます。
薬歴の見本(SOAP)
要件を満たす形の例です。そのまま使うのではなく、書くべき要素がどこに入るかを見てください。
① 加算1のイ(新規処方・10点)
S 「血をサラサラにする薬って聞きました。前に胃潰瘍をやったことがあるんですけど大丈夫ですか」
O エドキサバン30mg 新規追加(心房細動)。併用薬にNSAIDs・抗血小板薬なし。既往:胃潰瘍(10年前、治癒)。腎機能の記載なし。
A ハイリスク薬の新規開始。出血傾向のセルフモニタリングが必要。胃潰瘍既往あり消化管出血のリスクを本人が懸念。腎機能未確認だが、用量30mgは減量基準に沿う可能性あり。
P 本剤が特に安全管理の必要な薬であることを説明。①歯ぐきの出血、鼻血が止まりにくい、あざが増える、黒い便が出たらすぐ連絡 ②自己判断で中断しない(血栓リスク)③他院受診・抜歯の際は必ず申告 ④市販の痛み止めは相談してから。次回、出血症状の有無と便の色を確認する。
「確認した内容」=O と S、「指導の要点」=P。加算1のイはこれで足ります。
② 加算1のロ(用量変更・5点)
S 「量が増えました。前より少しお腹がゆるい日があります」
O メトホルミン 500mg→1000mg/日に増量。HbA1cの記載なし。下痢:週2回程度、生活に支障なし。食事量の変化なし。シックデイの説明歴あり(前回)。
A 増量に伴う消化器症状。頻度・程度から継続可能と判断。増量後は乳酸アシドーシスのリスク説明を再度行う必要がある。
P 増量に伴い①下痢・嘔吐・脱水時は自己中断してよい(シックデイ)ことを再確認 ②強い倦怠感、筋肉痛、過呼吸があれば直ちに受診 ③飲酒を控える。下痢が悪化する場合は連絡するよう指導。次回、下痢の頻度と体重を確認。
③ 加算1のロ(処方は同じ・5点)——理由の記載が要ります
S 「最近ふらつくことがあって。夜中にトイレに起きたときに一度転びました」
O 処方変更なし(ゾルピデム5mg 就寝前、継続)。転倒1回(2週間前、外傷なし)。他院で降圧薬が追加されていた(お薬手帳で確認)。
A 処方は前回と同一だが、転倒の訴えと他院での降圧薬追加があり、ふらつき・転倒リスクが上昇している。——これが「特に指導が必要」と判断した理由。
P ①服用後はすぐ就床し、途中で起きるときは手すり・照明を使う ②降圧薬追加後の起立性低血圧の可能性を説明 ③転倒が続く場合は処方医に相談するよう指導。処方医へ転倒の情報提供を検討(次回まで経過観察)。
④ 加算3のイ(RMP資材・5点)
S 「初めて使う薬です。注意することはありますか」
O ○○錠 新規処方(RMP策定義務あり/患者向け資材あり)。併用薬に相互作用該当なし。
A RMP対象品目の初回処方。資材に基づく重点的な説明が必要。
P 患者向け資材を用いて説明。①初期症状(○○・○○)が出たら直ちに受診 ②併用してはいけない薬 ③自己判断で中止しない。資材を渡し、次回持参してもらうよう依頼。
資材の名称を書く必要はありません(疑義解釈 問20)。指導の要点があればよいという整理です。
⑤ 加算3のロ(供給不安で銘柄変更・10点)
S 「いつもと形が違うけど、同じ薬なんですか」
O アムロジピンOD錠5mg「○○」→「△△」へ変更。前回銘柄は供給不安により必要数量を確保できず。成分・規格は同一。
A 調剤前に銘柄変更の説明が必要な場面。外観の変化により服薬中断・重複のおそれ。
P ①成分・量は同じで効果は変わらないことを説明 ②錠剤の色・刻印が変わることを実物で示す ③手元の残薬と混ざらないよう分けて保管するよう指導 ④次回また銘柄が変わる可能性があることを伝えた。
※ レセプト摘要欄:必要な数量が確保できなかった薬剤名を記載(アムロジピンOD錠5mg「○○」)
最後の1行を忘れないでください。供給状況を踏まえた説明で加算3のロを算定する場合、レセプトの摘要欄への記載が求められています。
SOAPそのものの書き方は薬歴のSOAPはどう書くかにまとめました。Sがメモ帳になっていないか——そこが分かれ目です。
まとめ
- 加算1はイ10点・ロ5点、加算3はイ5点・ロ10点。イとロの高低が逆です
- 加算1のイは「新たに処方された場合に限り」。「当該薬局で初めて受け付けた」も「同一成分の銘柄変更」もイは不可。ただしロは算定可能です(疑義解釈 問17)
- ハイリスク薬が何剤あっても、受付1回につき1回。イとロの重複算定もできません
- 処方が同じでもロは算定できます。条件は「特に指導が必要と判断した理由の要点」を薬歴に書くこと
- 加算3のロは3類型——選定療養の対象品を選ぼうとする患者への説明/供給不安による銘柄変更の説明/バイオ後続品の説明
- 説明の結果、患者が後発品を選んで選定療養にならなくても算定できます(疑義解釈 問22)
- 加算3のイは、患者向けRMP資材がなければ算定不可。再審査が終了しRMPが解除された医薬品も対象外です
- 薬歴にはRMP資材の名称は不要、指導の要点は必要。供給不安で加算3のロを取る場合はレセプト摘要欄に「確保できなかった薬剤名」を記載します
出典
- 厚生労働省保険局医療課医療指導監査室「保険調剤の理解のために(令和8年度)」※特定薬剤管理指導加算1・2・3の留意事項および疑義解釈
https://www.mhlw.go.jp/content/001713154.pdf - 厚生労働省告示「診療報酬の算定方法」別表第三 調剤報酬点数表 10の3 服薬管理指導料(注7・注8・注9)
https://www.mhlw.go.jp/web/t_doc?dataId=84aa9729&dataType=0&pageNo=31 - PMDA「医薬品リスク管理計画(RMP)提出品目一覧」
https://www.pmda.go.jp/safety/info-services/drugs/items-information/rmp/0001.html
※ 本記事は2026年9月9日時点の告示・通知の原文に基づいています。
※ 薬歴の記載例は筆者が作成したものです。通知が求める記載事項を満たす形を示したもので、そのまま転記する用途を想定していません。実際の記載は患者ごとの状況に応じてください。
※ 個別の算定可否は地方厚生(支)局にご確認ください。

