スマホのマイナ保険証が使えないクリニックがある理由|医科診療所の対応は55.3%、原因はカードリーダーが本体だけでは読めないことでした

スマホのマイナ保険証が使えないクリニックがある理由|医科診療所の対応は55.3%、原因はカードリーダーが本体だけでは読めないことでした 薬局実務
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執筆:Nori(薬Talk編集長・薬剤師)/調剤薬局勤務26年。管理薬剤師を経て、現在はチェーン薬局の本社部門で店舗運営支援を担当しています。

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クリニックの受付で「スマホのマイナ保険証、使えますか」と聞いて、相手が「?」という顔をする。——珍しいことではありません。医科診療所のスマホ対応は55.3%で、半分弱はまだ使えないからです。しかも原因は、そのクリニックのやる気ではありません。顔認証付きカードリーダーが、本体だけではスマホを読めない世代だった——それだけです。自動精算機やWeb問診が入っていても、まったく別の話でした。
55.3%病院・医科診療所のスマホ対応率50,374 / 91,068施設
72.5%薬局の対応率44,121 / 60,856施設。薬局が一番進んでいます
802万件スマホへのカード搭載件数令和8年6月7日現在
スマホのマイナ保険証に対応している施設数。病院・医科診療所50,374、歯科診療所30,552、薬局44,121、合計125,047。オンライン資格確認の導入施設数は合計212,569
第212回社会保障審議会医療保険部会 資料3(令和8年6月18日)

まず数字です。半分弱は、まだ使えません

令和8年6月18日の社会保障審議会医療保険部会に、厚生労働省が出した資料があります。

病院・
医科診療所
歯科診療所薬局合計
スマホ対応済み施設数50,37430,55244,121125,047
(参考)オン資導入施設数91,06860,64560,856212,569

割り算するとこうなります。

薬局72.5%
病院・医科診療所55.3%
歯科診療所50.4%

歯科は半分ちょうど。医科診療所も55%。「使えなかった」ほうが、まだ多数派に近い状態です。

そして薬局が72.5%でいちばん進んでいます。ここは胸を張っていい数字だと思います。

対比として押さえておきたいのが、オンライン資格確認そのものはほぼ全施設に入っているという事実です。

顔認証付きカードリーダーは、医療DXの基盤となるオンライン資格確認を行うための重要なインフラとして普及を推進し、概ねすべての医療機関等へ導入が完了。

カードのマイナ保険証はどこでも使える。スマホだけが使えない。この差はどこから来るのか。

原因は、カードリーダーが「本体だけでは読めない」ことです

ここが答えです。厚労省の資料が、現行機の課題としてはっきり書いています。

今後搭載予定のスマホ用電子証明書の読み取りには一部機種しか対応していない(外付けの汎用カードリーダーが必要)

視覚障害者が一人でカードリーダー上の操作(顔認証、暗証番号の入力等)を行うことが困難

端末によって画面(特に同意ボタン)がバラバラで操作しづらい、高齢者にとっては文字が判読しづらい

顔認証やその他の場面でエラーが起きて受付に時間がかかる

「外付けの汎用カードリーダーが必要」。

つまり今の多くの施設では、スマホを読むには機械がもう1台要ります。顔認証付きカードリーダーで操作したうえで、別に置いた汎用カードリーダーにスマホをかざす——という2段構えです。

使えないのは、そのクリニックがDXに後ろ向きだからではありません。カードリーダーを買った時期がスマホ対応より前で、まだ2台目を足していない——ただそれだけです。

受付の方が「?」となったのも、無理はないと思います。自分の施設が対応していなければ、案内する機会がないからです。

第2世代(次期)顔認証付きカードリーダー3社の発売時期と特徴。キヤノンマーケティングジャパンは令和8年4月22日発売でテンキー一体化構造、パナソニックコネクトは令和8年8月予定で資格確認端末を内蔵、リコージャパンは令和8年10月予定で7インチディスプレイ搭載。共通して本体のみでスマートフォンの読取に対応し外付けの汎用カードリーダーが不要。令和7年度補正予算により一部費用の補助を実施し令和8年6月末日より申請受付開始予定
厚生労働省保険局「マイナ保険証の円滑な利用について」(令和8年6月18日 第212回社会保障審議会医療保険部会 資料3)8ページ

第2世代が、もう出ています

この状況は、これから変わります。現行機の保守期限が令和8年3月末から順次来るため、入れ替えが始まっているからです。

・本体のみでスマートフォンの読取に対応(外付けの汎用カードリーダーが不要)

・操作手順やエラーの発生に関する音声案内機能を搭載

・顔認証制度の向上による顔認証エラーの低減

発売時期はメーカーごとに違います。

メーカー発売開始時期
キヤノンマーケティングジャパン令和8年4月22日(発売済み)
パナソニック コネクト令和8年8月24日(発売済み)
リコージャパン
PFU製「Caora 2」
令和8年10月1日(発売済み)

※ 厚労省の資料(6月18日)では2社が「予定」でした。発売日は各社の発表で確認しています。3機種とも、マイナンバーカードとスマホのマイナ保険証を1台で読めます。

そして補助があります。ここは自局に関わる話なので、経営側に共有する価値があります。

第2世代(次期)顔認証付きカードリーダーを導入する医療機関・薬局に対し、令和7年度補正予算により一部費用の補助を実施。令和8年6月末日より申請受付の開始予定。(別売りのテンキーの導入・資格確認端末の入れ替えについても、カードリーダーの導入と同時申請の場合には補助対象)

申請の受付は令和8年6月30日に始まりました。厚労省の事務連絡(同日付)によると、申請には購入時の領収書が必要で、申請期限は令和9年2月1日です。

テンキーと資格確認端末も、同時申請なら補助対象です。ばらばらに入れ替えると対象外になります。ここは順番の問題なので、知っているかどうかで金額が変わります。

スマホのマイナ保険証の対応状況。スマホ対応済み施設数は病院医科診療所50,374、歯科30,552、薬局44,121、合計125,047。オン資導入施設数は91,068、60,645、60,856、合計212,569。令和8年3月から訪問診療や訪問看護のマイナ資格アプリでも読み取り可能。第2世代カードリーダーはキヤノン4月22日、パナソニック8月、リコー10月、テンキーは10月発売予定。

自動精算機やWeb問診とは、まったく別の話です

ここが直感に反するところだと思います。自動会計もモバイル問診票も入っているのに、スマホのマイナ保険証だけ使えない。

層が違います。

誰が決めるか入れ替えの自由度
Web問診・自動精算機クリニックが選んだベンダー院長の判断で自由に導入できる
顔認証付きカードリーダー国が仕様を公表し、メーカーを公募認められた機種しか使えない。ハードの世代に縛られる

実際、次期リーダーの仕様は令和7年2月17日に厚労省が公表してメーカーを公募したものです。クリニックが「スマホ対応にしたい」と思っても、対応機種が発売されるまでは待つしかなかった。

DXが進んでいるかどうかと、スマホのマイナ保険証が使えるかどうかは、相関しません。後者は国のインフラ更新のスケジュールに乗っている話だからです。

「クリニックの機械はマイナポータルと連携しないの?」

連携しません。別のシステムです。ここも混同されやすいところなので、整理します。

誰が使う窓口か何が見えるか
オンライン資格確認等システム
(受付のカードリーダー)
医療機関・薬局が使う資格情報、薬剤情報、特定健診等情報。患者の同意を得て閲覧
マイナポータル患者本人が使う自分の薬剤情報、処方・調剤情報など。過去3年分

受付のカードリーダーは、マイナポータルを見に行っているわけではありません。オンライン資格確認等システムに問い合わせています。マイナポータルは、同じ大元のデータを患者本人向けに見せる窓口です。

だから「マイナポータルと連携していないからスマホが使えない」ではありません。読み取る機械が対応していないだけです。

なお、この画面で薬剤情報が見えてもお薬手帳を提示したことにはなりません。理由はマイナ保険証をかざしても、お薬手帳を提示したことにはなりませんに書きました。

薬局で聞かれたら、こう答えます

「スマホでの受付は、対応した機械を置いている施設だけなんです。まだ半分くらいの医療機関は機械が対応していなくて、順次入れ替わっているところです。カードのほうはどこでも使えますので、しばらくはカードも持っておかれると確実です。」

「その病院が遅れている」という言い方をしないのが大事だと思います。実際、機械の世代の問題であって、施設の姿勢の話ではありません。

  1. 自局がスマホ対応か把握する外付けの汎用カードリーダーがあるか。無ければ現状は非対応です
  2. 受付ステッカーを掲示する厚労省が受付ステッカー・患者案内用リーフレット・職員向けリーフレットを用意しています
  3. スタッフ全員が「対応・非対応」を即答できるようにする聞かれて「?」になるのがいちばん体験を損ないます
  4. 入れ替え時期と補助を経営側に共有する保守期限が令和8年3月末から順次。テンキー・資格確認端末は同時申請で補助対象

2番目は今日からできます。ステッカーが貼ってあれば、患者さんは聞かずに済みます。

まとめ

  • スマホのマイナ保険証に対応しているのは125,047施設。オンライン資格確認の導入は212,569施設なので、対応率は58.8%です(令和8年3月29日現在)
  • 病院・医科診療所55.3%、歯科診療所50.4%、薬局72.5%。使えなかったのは珍しいことではありません
  • 原因は現行の顔認証付きカードリーダーが本体だけではスマホを読めないこと。外付けの汎用カードリーダーが必要だと厚労省の資料が明記しています
  • 第2世代は本体のみでスマホを読めます。キヤノンMJ(令和8年4月22日)、パナソニック コネクト(8月24日)、リコージャパン(10月1日)の3社とも発売済みです
  • 令和7年度補正予算で導入費用の一部が補助されます(令和8年6月30日から受付中、申請期限は令和9年2月1日)。テンキーと資格確認端末も、同時申請なら対象です
  • 自動精算機やWeb問診とは層が違います。あちらはクリニックが選ぶベンダー、こちらは国が仕様を公表して公募したハード。DXの進み具合とは相関しません
  • 受付のカードリーダーはマイナポータルを見ていません。オンライン資格確認等システムです。マイナポータルは患者本人が見る窓口で、別のレイヤーです

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株式会社メディカルリソースが運営する薬剤師専門サービスです(2000年設立)。転職だけでなく「派遣」を扱っているのが特徴で、有料職業紹介(13-ユ-010743)と労働者派遣(派13-010770)の両方の許可を持っています。拠点は全国12支店。運営元は日本調剤グループです——選ぶ材料になるので書いておきます。

「派遣」は、常勤か辞めるかの二択しかないと思っている人ほど知っておく価値があります。いま動く予定がなくても相場は交渉材料になりますし、地域差は大きい——厚労省の偏在指標で見ると、足りない地域ほど条件は動きます。在宅に移りたい方は「力を入れています」を届出で見分ける方法もどうぞ。

※ 本記事の制度・添付文書に関する記載はすべて原文を確認しており、広告主の影響を受けていません。

出典

※ 本記事は2026年9月2日時点で公表されている厚生労働省資料の原文に基づいています(第2世代カードリーダーの発売日と補助の受付状況は2026年10月27日に確認)。
※ 施設数は令和8年3月29日現在、スマホへのカード搭載件数は令和8年6月7日現在の数値です。対応施設は日々増えています。
※ 第2世代カードリーダーの発売時期・補助の詳細は変更されることがあります。導入の際は最新の案内をご確認ください。
※ 自局が対応しているかは、設置しているカードリーダーの機種とベンダーにご確認ください。

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