マンジャロとリベルサスの違い|「7mg錠2錠で14mg」は添付文書が避けろと書いています、そして全身麻酔での誤嚥に注意喚起

マンジャロとリベルサスの違い GIP/GLP-1受容体作動薬と、承認されている効能・効果 医薬品
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執筆:Nori(薬Talk編集長・薬剤師)/調剤薬局勤務26年。管理薬剤師を経て、現在はチェーン薬局の本社部門で店舗運営支援を担当しています。

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【はじめにお読みください】
本記事は、患者さんから相談を受ける機会のある方に向けて、マンジャロとリベルサスの糖尿病治療薬としての違いと、承認されている効能・効果の区別を整理したものです。適応外使用を推奨するものではありません。医療用医薬品は医師の診断と処方に基づいて使用されるものであり、自己判断での入手・使用は行わないでください。

前回はリベルサス(セマグルチド)を取り上げました。今回はマンジャロです。

ネット上では「リベルサスより効く」「注射するだけ」といった表現を目にします。しかし、この2剤を痩身効果の大小で比べること自体が、前提を誤っています。

マンジャロは、日本では2型糖尿病の治療薬です。そして同じ有効成分チルゼパチドを含む肥満症治療薬として、別にゼップバウンドが承認されています。この区別が、今回いちばん伝えたい点です。

マンジャロはどんな薬か

商品名マンジャロ皮下注アテオス
一般名チルゼパチド
薬効分類持続性GIP/GLP-1受容体作動薬
剤形・用法皮下注射・週1回
国内で承認されている効能・効果2型糖尿病

リベルサスがGLP-1受容体に作用するのに対し、マンジャロはGIP受容体とGLP-1受容体の両方に作用します。

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※ 本記事の制度・添付文書に関する記載はすべて原文を確認しており、広告主の影響を受けていません。

GIPとGLP-1、何が違うのか

どちらもインクレチンと呼ばれる消化管ホルモンで、食事に反応して分泌されます。共通しているのは、血糖値が高いときにインスリン分泌を促すという働きです。血糖依存的に作用するため、単独では低血糖を起こしにくいとされています。

リベルサスマンジャロ
一般名セマグルチドチルゼパチド
作用する受容体GLP-1GIP+GLP-1
剤形・用法錠剤・1日1回皮下注射・週1回
承認されている効能・効果2型糖尿病2型糖尿病

両剤とも、承認されている効能・効果は2型糖尿病です。肥満症の適応はどちらにもありません。

体重に影響が出る仕組み

インクレチン関連薬で体重が変化するのは、脂肪に直接作用するからではありません。次の作用の結果として、摂取量が変わることによります。

  • 胃内容物の排出が遅くなる
  • 満腹感が得られやすくなる
  • 食欲に影響する

したがって、食事内容が変わらなければ、期待した変化は得られません。この点は患者さんに説明しておく必要があります。

マンジャロとゼップバウンドは別の薬です

ここが最も重要な区別です。有効成分は同じチルゼパチドですが、承認されている効能・効果が異なります。

製剤有効成分国内で承認されている効能・効果
マンジャロチルゼパチド2型糖尿病
ゼップバウンドチルゼパチド肥満症

「マンジャロで痩せる」という表現がネット上で広まったのは、肥満症の適応を持つ製剤がまだ国内になかった時期の名残でもあります。現在は、肥満症の治療が必要な場合に用いる製剤が別に承認されています。糖尿病治療薬を承認外の目的で使う理由はありません。

ただしゼップバウンドにも使用条件があります。BMIや合併する健康障害に関する基準が定められており、食事療法・運動療法を行っても十分な効果が得られない場合に、医師が肥満症と診断したうえで検討される薬です。「体重を少し落としたい」という目的の薬ではありません。

リベルサスは服用方法が特殊です

実務上、いちばん確認が必要なのがここです。リベルサスは服用方法を守らないと吸収が安定しません。

  • 起床時、空腹の状態で服用する
  • コップ約半分(およそ120mL以下)の水で服用する
  • 服用後、少なくとも30分は飲食および他の薬剤の服用を避ける
  • 錠剤は割ったり、砕いたり、噛んだりしない

投薬時に確認したい4点——起床後すぐに服用できているか/水の量が多すぎないか/他の薬と一緒に飲んでいないか/朝食まで30分以上あけられているか。

用法・用量の詳細は添付文書をご確認ください。

週1回注射なら楽、とは限りません

マンジャロは週1回投与ですが、注射剤ならではの管理が必要です。

  • 決められた曜日に投与する
  • 注射部位を毎回変える
  • 保管方法(冷蔵など)を守る
  • 使用後の注入器の廃棄方法を確認する

また、低用量から開始し、段階的に増量する薬です。副作用の状況を見ながら医師が調整します。最初から高用量で使う薬ではありません。

副作用

インクレチン関連薬に共通して、消化器症状が高頻度で報告されています。

  • 吐き気・嘔吐・下痢・便秘・腹痛・消化不良・食欲低下

加えて、添付文書には以下のような重大な副作用等が記載されています。

  • 急性膵炎
  • 低血糖(他の糖尿病治療薬との併用時は特に注意)
  • 胆嚢・胆管に関する疾患

記載内容および頻度は製剤ごとに異なります。必ず該当製剤の添付文書をご確認ください。

リベルサスの飲み方を、添付文書の原文で確認します

「空腹時に水少なめで」とだけ覚えている人が多いのですが、条件は4つあります。

7.1 本剤の吸収は胃の内容物により低下することから、本剤は、1日のうちの最初の食事又は飲水の前に、空腹の状態でコップ約半分の水(約120mL以下)とともに3mg錠、7mg錠又は14mg錠を1錠服用すること。また、服用時及び服用後少なくとも30分は、飲食及び他の薬剤の経口摂取を避けること。分割・粉砕及びかみ砕いて服用してはならない。

7.2 本剤14mgを投与する際には、本剤の7mg錠を2錠投与することは避けること。

7.3 投与を忘れた場合はその日は投与せず、翌日投与すること。

7.2が見落とされます。14mgは14mg錠1錠で出すもので、7mg錠2錠で代用してはいけません。吸収が用量に比例しないためです。在庫がないときに「7mgを2錠で」と考えたくなりますが、それは添付文書が明確に避けろと書いている使い方です。

7.3も明記されています。飲み忘れたらその日は飲まず、翌日から。あとで気づいて「食後だけど飲む」は、この薬では違います。

「水は約120mL以下」「服用後30分は飲食も他の薬もだめ」「割らない・砕かない・噛まない」「飲み忘れたら翌日」——この4つが指導の核です。

リベルサスとカナグルは、そもそも系統が違います

「リベルサスとカナグルの違い」もよく調べられますが、比べる軸が違います。働く場所が別だからです。

リベルサスカナグルマンジャロ
系統経口GLP-1受容体作動薬SGLT2阻害薬GIP/GLP-1受容体作動薬
成分セマグルチドカナグリフロジンチルゼパチド
剤形錠(1日1回)錠(1日1回)週1回 皮下注
働く場所膵臓・胃
インスリン分泌↑/胃排出↓
腎臓
糖の再吸収↓
膵臓・胃
GIPとGLP-1の両方
効能2型糖尿病2型糖尿病/2型糖尿病を合併する慢性腎臓病2型糖尿病

カナグルだけが腎臓に働き、腎の効能を持っています。リベルサスとマンジャロは膵臓・胃に働く同じ方向の薬です。

併用できるのか——答えは分かれます

リベルサスとカナグル(SGLT2阻害薬)は、併用注意として添付文書に載っています。つまり併用は想定されています。

糖尿病用薬(ビグアナイド系薬剤、スルホニルウレア剤、速効型インスリン分泌促進剤、α-グルコシダーゼ阻害剤、チアゾリジン系薬剤、DPP-4阻害剤、SGLT2阻害剤、インスリン製剤 等)
低血糖症の発現に注意すること。

一方、同じ方向の薬どうしは別です。

8.11 本剤はセマグルチド(遺伝子組換え)を含有しているため、ウゴービ等他のセマグルチド(遺伝子組換え)含有製剤と併用しないこと。

8.12 本剤とDPP-4阻害剤はいずれもGLP-1受容体を介した血糖降下作用を有している。両剤を併用した際の臨床試験成績はなく、有効性及び安全性は確認されていない。

マンジャロとの併用について、添付文書に直接の記載はありません。ただしどちらもGLP-1受容体を介して働きます。8.12がDPP-4阻害剤について「臨床試験成績はない」と書いている以上、同じ理屈がGIP/GLP-1受容体作動薬にも及ぶと読むのが自然です。

そして後述のとおり、添付文書はこの2つをまとめて扱っている箇所があります。

【2026年5月改訂】全身麻酔での誤嚥が注意喚起されました

これは比較的新しい情報です。手術の前に、聞き取るべき項目が増えました。

GLP-1受容体作動薬又はGIP/GLP-1受容体作動薬を投与中の患者において、術前の絶食指示を遵守したにもかかわらず、全身麻酔又は深い鎮静下で誤嚥が生じた症例が報告されている。本剤は胃内容排出遅延作用があり、胃内容物残留リスクが高まるおそれがある。

「絶食を守っていたのに誤嚥した」——ここが怖いところです。胃排出が遅れるので、通常の絶食時間では胃が空になっていない可能性があります。

そして注目してほしいのは主語です。「GLP-1受容体作動薬又はGIP/GLP-1受容体作動薬」——リベルサスもマンジャロも、まとめて対象にされています。

薬局でできることは、手術・内視鏡の予定を聞いたら、この薬を飲んでいることを必ず伝えるよう指導することです。患者さんは「糖尿病の薬」としか認識していません。

胃を切った人では、そもそも効きが落ちます

他剤での治療を考慮すること。本剤は主に胃において吸収されるため、有効性が減弱する可能性がある。

リベルサスは胃で吸収されます。だから空腹時指定があり、だから胃切除後は効きにくい。「なぜ空腹時なのか」の答えがここにあります。注射のマンジャロにはこの制約がありません。

まとめ

  • マンジャロもリベルサスも、承認されている効能・効果は2型糖尿病
  • 違いは作用する受容体(GIP+GLP-1/GLP-1)と剤形・用法
  • 体重への影響は、食欲や胃排出への作用の結果
  • 肥満症の適応を持つのはゼップバウンド(同じチルゼパチド製剤)。使用には条件があります
  • リベルサスは服用方法の指導が要。マンジャロは注射手技・保管・廃棄の指導が要

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参考

※ 本記事は執筆時点の公開情報に基づく一般的な情報提供です。承認状況・添付文書の内容は変更される場合があります。個別の治療方針は医師の診断に基づきます。自己判断での使用・中止は避け、医師・薬剤師にご相談ください。

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