こんにちは、「薬Talk」編集長Noriです!
今日の薬局は朝からバタバタ。まだ白衣のポケットに朝コンビニで買ったパンが入ったまま(そしてお昼になってもまだ食べられていない)……そんな中、起きました。
目次
「ツロブテロール1枚だけ、今すぐ欲しいんです!」
小さなお子さんを連れたお母さんが処方箋を手に、開店直後の薬局に飛び込んできました。
「保育園に連れて行くのに、胸に貼ってないと登園できないんです~!とにかくツロブテロールだけ先にください!」と切迫した声。
これは…朝イチあるある「貼付剤だけ先にちょうだい」案件!!
薬剤師の脳内フル回転モードON
一瞬で脳内チェックリストが回ります。
- 処方箋は原本か? → YES
- 他の薬との相互作用は? → そもそもツロブテロール1枚だけの処方!
- 鑑査済ませられるか? → いける!在庫もOK!
- 患者の意図明確? → かなり明確!
というわけで、薬剤師スピードモード発動!
処方監査→調剤→鑑査を一気に済ませ、無事ツロブテロールテープ1枚、手渡し完了✨
お母さんは「本当に助かりました!」と深々と頭を下げ、ダッシュで保育園へ向かっていきました。
でもこれ、簡単そうで簡単じゃないんです
実はこういう「一部先渡し」、薬剤師的には慎重な判断が必要です。
✅ 渡してOKなケース(今回はこちら)
- 処方箋原本が提出されている
- 処方内容が単純で、相互作用などの懸念がない
- 薬がすぐ用意できて、鑑査も済ませられる
- 患者さんが“どうしても今すぐ必要”な理由がある
- 薬歴に「一部先渡し」として記録が残せる
❌渡しちゃダメなケース
- 処方の全体が未確認
- 他の薬との関係が未チェック
- 患者が自己判断で「これだけ欲しい」と言っている
- 一部だけ渡すことで、治療や服薬指導に支障が出る可能性がある
薬歴にもひとこと記録を!
この日の薬歴にはしっかりと、
「ツロブテロールテープ(1mg)×1枚のみ先渡し希望あり。保育園登園時に貼付必要とのこと。処方内容単独・相互作用なしのため、監査・鑑査後、速やかに渡薬。残薬・服薬アドヒアランス問題なし。」
と書き残しました。
「たかが1枚、されど1枚」
1枚の貼付薬でも、患者さんにとっては“その日の生活が回るかどうか”の大問題。
薬局って、単に薬を出す場所じゃないんだなあと、改めて感じた朝でした。
明日こそ、朝のパンが温かいうちに食べたいな(たぶん無理)。
それではまた、薬Talkの日記でお会いしましょう!明日こそ、朝のパンが温かいうちに食べたいな(たぶん無理)。
参考文献・情報源
- 日本薬剤師会『薬局における調剤業務の手引き』
- 厚生労働省「薬機法」関連資料
- 『調剤と情報』(南山堂)2023年6月号
- 日本小児科学会『小児の薬の使い方ガイドライン』
- ツロブテロールテープ製品添付文書(PMDA)
※上記は2025年6月時点の公開情報をもとに作成しています。