リベルサスのメディカルダイエット〜痩せる?危険?薬剤師がやさしく解説!

メディカルダイエット
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こんにちは!「薬Talk」編集長、薬剤師のNoriです!

最近、患者さんからこんな相談が増えてきました。

「リベルサスっていう薬、ダイエットにいいって聞いたんですけど…」

「SNSでも流行ってますよね。私も使ってみたいなあと思って…」

確かに最近「メディカルダイエット」という言葉が話題になり、特にリベルサス(一般名:セマグルチド)が注目を集めています。でも、薬剤師の立場から見ると、ちょっと注意が必要な面も…。

今回は「リベルサスのメディカルダイエット」について、
・どうして痩せるの?(作用機序)
・本当に効果あるの?(ダイエット効果)
・どんな副作用があるの?
・なぜオススメしないの?

というポイントを、やさしく、わかりやすく解説していきます!


まずは基本情報をおさらいしましょう。

項目内容
商品名リベルサス
一般名セマグルチド
用途2型糖尿病治療薬
作用分類GLP-1受容体作動薬(経口剤)
日本での承認2021年

本来は糖尿病治療薬として使われています。注射では「オゼンピック(注射)」、海外では「ウェゴビー(高用量版)」という名前でも使われていますね。


リベルサスがダイエットに使われる理由は、
GLP-1というホルモンの働きをマネしてくれるからです。

食欲を抑えて、血糖値を下げるホルモン
→ 食事のあとに腸から分泌されます。

図でまとめます👇

リベルサスの作用機序(図解)

食事をとる

  ⇓

リベルサス(GLP-1作用)

  ⇓

  1. 脳(満腹中枢)に作用 → 食欲ダウン
  2. 胃の動きをゆっくり → すぐに満腹感
  3. インスリン分泌促進 → 血糖値を下げる
  4. グルカゴン分泌抑制 → 血糖値安定

*インスリン:血糖を下げるホルモン

*グルカゴン:血糖を上昇させる作用のあるホルモン


実際の臨床試験でも体重減少効果が示されています。

試験用量平均体重減少
STEP1試験(肥満対象)セマグルチド2.4mg/週(注射)約15%減少
PIONEER試験(リベルサス)7〜14mg/日(経口)約5〜8%減少

※リベルサスはあくまで糖尿病用量のため、ダイエット目的では低めの効果です。

つまり、
👉 「飲めば誰でもすぐに痩せる!」わけではありません
👉 食事管理+運動と組み合わせると効果が高まりやすい


リベルサスを飲むと、胃腸に強く作用するため、
消化器系の副作用が多く見られます。

主な副作用頻度
吐き気20〜40%
下痢10〜20%
便秘5〜15%
胃もたれ・胃痛5〜10%
食欲不振5〜10%

最初は少量から始め、ゆっくり増量するのが基本ですが、
途中で副作用に耐えられず中止する人も多いのが現実です。

また、以下のリスクも指摘されています。

  • 低血糖(他の糖尿病薬と併用時)
  • 膵炎のリスク
  • 胆石・胆嚢疾患のリスク
  • 甲状腺腫瘍(動物実験レベル)

SNSなどで

「リベルサスで楽して痩せよう!」
という宣伝を見かけますが、薬剤師としては強くおすすめしません

理由は:

  • そもそもダイエット目的で承認されていない(適応外使用)
  • 副作用リスクが高い
  • 自己判断で使用すると危険
  • 医師の管理下で行っても、体質によっては全く効かない場合もある

しかも、やめた後にリバウンドする人も少なくありません


✅ポイントまとめ
🔶 リベルサスは糖尿病薬。痩せる効果もあるが副作用も多い。
🔶 自己判断で飲むのは危険。医師の管理が必須。
🔶 ダイエットの基本は「食事」「運動」「生活習慣の改善」

薬剤師としては、
正しい知識を持ち、必要以上に「楽して痩せる薬」に頼らないでほしい
と心から思います。


最近は「医療用薬のダイエット利用」がどんどん話題になりますが、薬には「適応症」と「リスク」が常につきまといます。

SNSの情報は刺激的ですが、正確な医療情報をもとに、自分の身体としっかり向き合うことが大切ですね!

今回の記事が少しでも参考になれば嬉しいです✨

📚 参考文献リスト(リンク付き)

  1. 日本糖尿病学会 編『糖尿病治療ガイド 2024-2025』
     👉 日本糖尿病学会 公式サイト
  2. Novo Nordisk社 リベルサス添付文書(最新版 2025年版)
     👉 PMDA 添付文書検索:リベルサス
     (※検索画面に「リベルサス」と入力)
  3. PIONEER 1 trial (NEJM 2019; 379: 222-232)
     👉 PIONEER 1 NEJM 論文本文(英語)
  4. STEP 1 trial (N Engl J Med 2021; 384: 989-1002)
     👉 STEP 1 NEJM 論文本文(英語)
  5. 日本内科学会雑誌「GLP-1受容体作動薬の最新知見」
     👉 日本内科学会 公式サイト
     (※該当論文は会員限定、一般向けには要旨のみ)
  6. 厚生労働省 医薬品リスク管理計画 (RMP) 情報
     👉 PMDA RMP 情報
  7. 薬剤師会資料「メディカルダイエットと適応外使用の注意点」
     👉 日本薬剤師会 公式サイト
     (※個別資料は会員向けが多いため、要旨確認のみ)
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