こんにちは、『薬Talk』編集長、薬剤師のNoriです。
2024年10月、皮膚科外用薬に新しい選択肢が加わりました。
その名は ブイタマークリーム1%(有効成分:タピナロフ)。
これまでのステロイド外用薬やビタミンD製剤、免疫抑制薬とは全く異なるメカニズムを持つ薬です。
今回は、薬剤師として現場で押さえておきたい適応、作用機序、使用方法、副作用、服薬指導のポイントを整理しました。
目次
■基本情報
まずは薬の概要です。以下の表は製品名や薬価、包装など、処方監査や在庫管理に役立つ情報をまとめたものです。
項目 | 内容 |
---|---|
製品名 | ブイタマークリーム1%(VTM03-D04) |
有効成分 | タピナロフ 10mg/g |
製造販売元 | 鳥居薬品・丸石製薬 |
承認日 | 2024年6月24日 |
発売日 | 2024年10月29日 |
薬価 | 132.7円/g |
包装 | 15g×1本、15g×10本 |
保管 | 室温保存(有効期限24か月) |
保険 | 新医薬品14日制限(2025年8月末まで) |
💡 ポイント:新薬なので14日制限があり、長期処方は当面できません。
■適応症
適応はアトピー性皮膚炎(成人・12歳以上)と尋常性乾癬(成人)です。12歳未満の小児やその他の湿疹には使用できません。
適応疾患 | 対象年齢 |
---|---|
アトピー性皮膚炎 | 成人・12歳以上の小児 |
尋常性乾癬 | 成人 |
💡 ポイント:小児アトピーでも12歳未満は適応外です。
■作用機序(AhR活性化)
ブイタマーの特徴は「芳香族炭化水素受容体(AhR)」という新しい標的に作用することです。
以下はその流れを簡単に整理したものです。
ステップ | 作用 |
---|---|
AhR活性化 | 炎症性サイトカイン(IL-4、IL-17Aなど)を抑制 |
抗酸化作用 | NQO1発現促進による酸化ストレス軽減 |
バリア機能改善 | 経皮水分蒸散量の低下 |
💡 ポイント:炎症と皮膚バリア障害を同時に改善できる“二刀流”の作用です。
■用法・用量
1日1回、適量を患部に塗布します。アトピーでは8週間、乾癬では12週間以内に効果を評価します。
下の表はFTU(フィンガーチップユニット)を基準にした部位別の目安量です。
部位 | FTU | g換算 |
---|---|---|
顔全体 | 0.5FTU | 約0.25g |
両手 | 1FTU | 約0.5g |
両腕 | 3FTU | 約1.5g |
両脚 | 6FTU | 約3g |
胴体 | 8FTU | 約4g |
全身 | 12FTU | 約6g |
💡 ポイント:厚塗り不要。軽く均一に広げるだけで十分です。
■ 効果発現と継続使用の重要性
ブイタマーはステロイドのような即効型ではありません。
炎症抑制+バリア修復作用のため、効果が出るまでに数週間かかる場合があります。
臨床試験では、8週間(アトピー)・12週間(乾癬)で有効性が確認された例が多く、一定期間継続して使用することが重要です。
📌 指導例
「この薬はゆっくり効いてくるタイプです。すぐやめず、医師と相談しながら使い続けましょう。」
■副作用
臨床試験で比較的多く見られたのは毛包炎やざ瘡です。以下に発現率の目安をまとめます。
副作用 | 発現率 |
---|---|
毛包炎 | 13〜19% |
ざ瘡 | 8〜16% |
頭痛 | 11〜14% |
接触皮膚炎 | 5〜14% |
病状悪化(乾癬・アトピー) | 5〜10% |
💡 ポイント:全身的な重篤副作用は少ないですが、毛包炎・ざ瘡への注意が必要です。
■小児・妊婦・授乳婦での使用
各対象別の注意点をまとめました。
対象 | 注意点 |
---|---|
小児(12歳未満) | 使用不可 |
妊婦 | 有益性投与(動物試験で胎児毒性報告あり) |
授乳婦 | 有益性を考慮して投与 |
💡 ポイント:妊娠・授乳中は必要性を慎重に判断します。
■他剤との比較
現場での選択を意識して、主要外用薬との比較を整理します。
薬剤 | 作用機序 | 特徴 | 注意点 |
---|---|---|---|
ステロイド | 抗炎症 | 即効性が高い | 長期使用リスク |
プロトピック | T細胞抑制 | ステロイド回避に有用 | 塗布時刺激感 |
コレクチム | JAK阻害 | 比較的新しい | 感染注意 |
ブイタマー | AhR活性化 | バリア+炎症改善 | 毛包炎に注意 |
■服薬指導のポイント
- 1日1回、薄く均一に塗布(テカる程度)
- 擦り込まず、軽く広げるだけ
- 目・傷・粘膜には使用しない
- 開始後2〜3か月で効果を評価
- 毛穴のブツブツが出たら早めに報告
■編集長Noriのひとこと
ブイタマーは、ステロイド・プロトピック・コレクチムに続く“第4の外用薬”として期待されます。
炎症だけでなく皮膚バリアまで整えるという、新しい治療戦略の一角を担う存在です。
薬剤師としては適応・副作用・塗布量をしっかり押さえ、現場で即答できるようにしておきたいところです。
■参考文献
PMDA. 医薬品詳細情報:ブイタマークリーム1%
巣鴨千石皮ふ科. ブイタマークリーム1%について
KEGG. 薬品情報:タピナロフ
PMC. Tapinarof in the Treatment of Psoriasis and Atopic Dermatitis
QLifePro. ブイタマークリーム1% 医薬品情報
※本記事は薬剤師の知見に基づく一般的な医薬情報の解説です。
実際の使用や投与判断は、必ず医師または薬剤師にご相談ください。