脱水症状、あなたは大丈夫?薬剤師が教える正しい水分補給法

脱水
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こんにちは。「薬Talk」編集長、薬剤師のNoriです。

毎年夏が近づくと、「水分はちゃんととってますか?」と患者さんに聞く機会が増えてきます。
でも実は、脱水って夏だけの問題ではありません。高齢者や小さなお子さん、体調を崩したとき、飲みすぎた翌日…誰でも簡単に脱水になります。

今回はそんな「脱水」について、薬剤師の視点で、やさしく、でもしっかり解説していきます!


脱水とは、体の中の水分やナトリウムなどの電解質が不足している状態をいいます。
以下のようなケースで起こりやすくなります。

  • 汗を大量にかく(炎天下での作業・スポーツなど)
  • 下痢や嘔吐で水分と塩分が失われる
  • 利尿剤や糖尿病による頻尿
  • 高齢者や認知症の方が自発的に水分をとらない

見た目ではわかりづらいですが、体の中では水分バランスがどんどん崩れています。


【軽度の脱水】

  • のどの渇き
  • 口の中が乾く
  • 少しの頭痛
  • 濃い色の尿(濃い黄色〜オレンジ)

【中等度の脱水】

  • めまい、ふらつき
  • 筋肉のつり(こむら返り)
  • 集中力の低下、ぼんやり感
  • 全身のだるさ

【重度の脱水】

  • 血圧の低下、脈が速くなる
  • 意識がもうろうとする
  • 尿がほとんど出ない
  • 皮膚をつまんでも戻らない(皮膚の弾力低下)

少しでも脱水が疑われるときは、以下のように対応しましょう。

  1. 日陰や室内など、涼しい場所に移動する
  2. 衣類をゆるめて体温を下げる
  3. 経口補水液を少量ずつこまめに飲む
  4. 嘔吐や意識障害があればすぐに医療機関を受診

早めの判断が命を守ります。


水分補給は「のどが渇いたら飲む」では遅いこともあります。以下を習慣にしてみてください。

  • 起床後・入浴前後・就寝前にコップ1杯の水
  • 外出時は30分〜1時間おきに少量ずつ水を補給
  • スポーツや発汗が多いときは塩分も一緒に補給
  • 高齢者や子どもは時間を決めて定期的に飲む

また、カフェイン飲料やアルコールは利尿作用があるため、飲みすぎに注意が必要です。


お酒を飲むと、体の「水分をためておく仕組み」が弱くなり、尿としてどんどん水分が排出されてしまいます。
これがいわゆる「二日酔い」の原因のひとつです。

✔ 対策のポイント

  • 飲酒中に水をはさむ(チェイサー)
  • 就寝前にコップ1杯の水を飲む
  • 翌朝はみそ汁や経口補水液でリカバリー

アルコール性脱水を予防するには「お酒+水」が基本です。


ある高齢の患者さん。いつもは元気に話してくれるのに、ある日ふらつきとぼんやりした様子で来局されました。

声をかけると、「最近なんとなく水を飲むのが面倒で…」と。
ご家族に連絡を取り、病院へ。結果は中等度の脱水。

このように、薬剤師は「いつもとの違い」に敏感であるべきです。
「水、飲んでますか?」という声かけが、大きな命の分かれ道になることもあります。


脱水は、気温や年齢に関係なく、誰にでも起こるリスクがあります。
だからこそ、「こまめな水分補給」と「正しい知識」を持つことが何より大切です。

今日からできることはたくさんあります。
――のどが渇く前に、一口の水を。


WHO「Oral Rehydration Salts」

厚生労働省「熱中症関連情報」

日本救急医学会「市民向け熱中症対策ガイドライン 2021」

日本小児科学会「下痢症に対する経口補水療法」

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