薬剤師が教える!乳幼児の薬の飲ませ方とやさしいケアガイド

乳幼児
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こんにちは、『薬Talk』編集長、薬剤師のNoriです!

ある日の午後、薬局でお母さんが深いため息をついて言いました。
「ミルクに混ぜたんですけど、口に入れた瞬間に“ベーッ”って…。もう無理です〜」

…薬剤師の皆さん、きっと経験ありますよね。

乳幼児の服薬は「味」「量」「道具」「タイミング」など、あらゆる要素が障壁になります。
さらに厄介なのは、“一度失敗すると次から絶対に口を開けてくれない”ということ。

でも、薬と食べ物の“相性”を知っていれば、それを回避できるケースも多いんです。

この記事では、現場で役立つ

  • 乳幼児の服薬における基本的な注意点
  • 年齢別おすすめ服薬法
  • 薬剤別「混ぜていい/ダメな食品」一覧表(20品目/五十音順)
    をまとめました。

投薬時の説明・保護者指導・配布資料にも活用できる内容です。
よければブックマークしてお役立てください!


🔍ポイント説明
味覚が鋭い苦味・酸味を敏感に感じるため、ちょっとした風味でも拒否しやすい
嚥下が未熟とくに1歳未満は誤嚥のリスクがある。無理に飲ませるのは危険
“最初の印象”が超重要1回嫌な記憶がつくと、次回以降すべて拒否される可能性あり

年齢方法ワンポイント
新生児〜6か月シリンジで頬の内側へミルク直前に、少量ずつ投与がベター
6か月〜1歳ペースト状にしてスプーンで頬の内側に塗る方法は吐き出しにくくおすすめ
1〜3歳ヨーグルトやゼリーと混ぜて苦味は甘味でカバー。食後ではなく「空腹前」が◎

薬剤名(分類)味・特徴混ぜて良い食品混ぜてはいけない食品理由・注意点
アスピリン末(鎮痛・抗炎症薬)強い苦味なしすべて強い苦味で服薬困難
アスベリン散(鎮咳薬)苦味ありプリン・アイスオレンジジュース酸で溶解が変化
アレグラDS(抗ヒスタミン薬)甘味ありゼリー・アイス炭酸苦味強化
カロナール細粒(解熱・鎮痛薬)甘いが後味に苦味オレンジジュース特になし味カバー◎
クラバモックスDS(抗菌薬)苺味特になしヨーグルト・酸性飲料苦味強化
クラリスDS(抗菌薬)苦味あり・いちご味牛乳・練乳・ココア果汁・乳酸菌飲料酸で苦味UP
ジスロマックSR(抗菌薬)オレンジ風味アイス・ミルク酸性飲料苦味↑
ジスロマック細粒(抗菌薬)フルーツミックス味特になし酸性飲料苦味出現
セフゾン細粒(抗菌薬)甘い・いちご味そのままOK特になし味良好
テオドールDS(気管支拡張薬)甘い・すもも味特になしお茶・炭酸カフェインで副作用↑
トスフロキサシン細粒(抗菌薬)やや苦味ありオレンジジュース酸性飲料苦味UP
ビオフェルミンR(整腸剤)ほぼ無味ミルク・果汁酸性飲料活性低下
フロモックス細粒(抗菌薬)バナナ風味ヨーグルト乳酸菌飲料味変化
ペリアクチン散(抗ヒスタミン薬)甘いミント風味プリン・ヨーグルト乳酸菌飲料干渉の可能性
メイアクト細粒(抗菌薬)バナナ味・やや苦牛乳・ヨーグルトプリン・乳酸菌飲料酸で苦味↑
ミノマイシン顆粒(抗菌薬)少し苦い・オレンジ味チョコ・ガムシロ牛乳・乳製品Caで吸収↓
ムコダインDS(去痰薬)甘い・ピーチ味アイス・ヨーグルトお茶苦味強化
ラックビー微粒(整腸剤)やや甘ヨーグルト熱い飲料酵素失活
レボフロキサシン細粒(抗菌薬)やや苦味ありヨーグルト酸性飲料吸収阻害
ワイドシリン細粒(抗菌薬)ミックスフルーツ味牛乳・アイス酸味食品全般苦味強化

📎 補足

  • 混ぜる食品は「ごく少量」にし、直前に混ぜてください
  • 「1回で飲みきれる量」に調整するのが鉄則
  • 初回成功すれば、次回からもスムーズです

やりがちNG例なぜダメ?
哺乳瓶に混ぜる飲み残しが出て正確な服薬量にならない
熱湯に溶かす薬の分解・失活が起きる
甘い飲料に大量に混ぜる飲みきれず、残薬リスクが上がる

乳幼児の服薬は、保護者にとっても、薬剤師にとっても、ひと苦労。
でも、ちょっとした知識と工夫が、「飲めた!」につながる瞬間をつくれます。

私たち薬剤師が「それ、チョコクリームに混ぜると飲めるかもしれませんよ」と声をかけるだけで、救われるお母さんがいます。

そんな小さなサポートを、今日もあなたの現場で届けていけますように。


📚参考文献・出典一覧

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