【ついに薬局で治験薬の交付が可能に?】分散型治験(DCT)時代の新たな薬局の役割とは

医療情報
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こんにちは、『薬Talk』編集長、薬剤師のNoriです!

薬局や薬剤師の“これからの役割”について、今とても大きな変化が起きようとしています。
皆さん、「治験薬を薬局で受け取れる時代が来る」と聞いたら驚きませんか?

これまでは治験薬=病院内で管理されるものでしたが、厚生労働省は「GCP省令(治験のルール)」を見直し、薬局での治験薬交付を可能にする方向で動き始めました。
今回は、この制度改正の背景と、私たち薬局薬剤師がどう関わっていくのか、やさしく・わかりやすく解説します。


今までは「GCP省令」により、治験薬は治験実施医療機関(病院など)での交付が必須とされていました。
つまり、どれだけ遠くても、被験者(患者さん)は治験を行う病院に出向く必要があったんです。


時代は変わりました。

・遠隔診療
・ウェアラブル機器
・オンラインでのデータ共有

こうした医療の分散化・オンライン化により、「治験ももっと柔軟でいいのでは?」という流れが進んでいます。

→ これが「DCT(Decentralized Clinical Trials)」=分散型治験。

DCTでは、被験者がわざわざ大病院まで行かず、近隣の診療所や薬局など地域のインフラを活用して治験を受けられるのが特徴です。


厚労省は、薬局の以下の点に着目しました。

✅ 全国に約6万3000軒の薬局がある
✅ 地域に根差した薬剤師が身近にいる
✅ 治験薬管理の訓練を積めば、安全な服薬支援ができる

都市部への薬局集中や薬剤師のマンパワーを活かし、治験薬交付という新しい役割を薬局に担ってもらおうという狙いがあります。


薬局が担うのは、以下のような役割です:

項目内容
治験薬の管理温度・湿度などの保管条件を守る
被験者への服薬指導プロトコルに沿って正しく交付・説明
被験者の健康状態の確認副作用の有無などを聞き取り、記録
CRC(治験コーディネーター)的対応逸脱がないかのチェックと報告

また、「地域薬剤師会」や「薬局チェーン本部」単位で製薬企業と契約し、加盟薬局が治験薬交付を担う形も検討されています。


今回の改正で対象になるのは、生活習慣病治療薬(経口薬)などです。
注射剤など院内処方が原則のものは除外される見込みです。


副作用などの有害事象が発生した場合、薬局から安全性情報を報告する体制も整えられます。
薬局での治験薬交付は、単に“渡すだけ”ではなく、医療チームの一員としての自覚と責任が求められる重要な業務です。


今回の動きは、薬局にとって大きなチャンスでもあります。

💡 処方箋依存からの脱却
💡 製薬企業との新たな連携
💡 薬剤師の専門性が評価される場の拡大

治験依頼者である製薬企業からの契約に基づき治験薬交付を行えば、研究開発費からの収益が期待でき、薬局の事業多角化にもつながります。


今後、パートナー薬局(仮称)となるためにはGCPに関する教育を受けた薬剤師が必要です。
でもこれは、薬剤師が医薬品開発の現場に直接関われるチャンスでもあります。

「薬局が治験を担う」
そんな未来は、もうすぐそこまで来ています。


  • 厚生労働省 医薬品審査管理課 資料
  • GCP省令(医薬品の臨床試験の実施の基準に関する省令)
  • 日本薬剤師会・日本保険薬局協会発表コメント
  • 製薬協DCT関連提言集
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