こんにちは、「薬Talk」編集長・薬剤師のNoriです!
今回は2025年6月に登場した新しいニキビ治療薬「ベピオウォッシュゲル5%」について、薬剤師目線でわかりやすく解説します。
「過酸化ベンゾイル製剤なのに“洗い流す”ってどういうこと?」
「ベピオゲルやローションと何が違うの?」
こんな疑問をもった方へ向けて、特徴・使い方・適する患者像まで、しっかりまとめました。服薬指導や患者説明のヒントにもなる内容ですので、ぜひ最後までご覧ください。
目次
📌 製品情報
項目 | 内容 |
---|---|
製品名 | ベピオウォッシュゲル5% |
有効成分 | 過酸化ベンゾイル(BPO)5% |
剤型 | 洗い流すタイプのゲル |
製造販売元 | マルホ株式会社 |
適応症 | 尋常性ざ瘡(にきび) |
発売日 | 2025年6月16日 |
💊 適応・用法・用量
- 適応症:尋常性ざ瘡(顔・胸・背中など)
- 用法・用量:1日1回、洗顔後に患部へ適量塗布し、5~10分後に洗い流す
→ いわゆる「ショートコンタクトセラピー」という使い方です。
🔍 従来製剤との違い(ゲル・ローションとの比較)
まずは表の前にポイントを説明します。
➤ 3製剤の違いを簡単に言うと:
- ベピオゲル・ローション:塗りっぱなし、BPO濃度2.5%
- ベピオウォッシュゲル:洗い流しタイプ、BPO濃度5%
副作用(赤み・乾燥など)や漂白リスクが気になる方には、洗い流すタイプのウォッシュゲルが適しています。
製品 | 剤型 | 濃度 | 使用方法 | 副作用頻度 | 保存 |
---|---|---|---|---|---|
ベピオゲル | ゲル | 2.5% | 洗い流さない | 37.3% | 冷所保存 |
ベピオローション | 乳剤性ローション | 2.5% | 洗い流さない | 11.9% | 冷所保存 |
ベピオウォッシュゲル | ゲル | 5.0% | 洗い流す(5〜10分後) | 15.8% | 室温保存可 |
※副作用頻度は国内臨床試験データより
🧑⚕️ どんな人にベピオウォッシュゲルが向いている?
- 刺激に敏感な方:短時間接触で刺激が軽減
- 脱色を避けたい方:洗い流すことでリスク低減
- 体幹部(胸や背中)にも使用したい方
- 小児(9歳以上):小児試験実施済みで安心
- 初めてニキビ治療薬を使う方:継続しやすい使用感
🧴 使用方法の詳細とコツ
- 使用タイミング:夜の洗顔後がベスト。お風呂の後でもOK。
- 塗布方法:
- 清潔な手で赤ニキビ部分に薄く塗る
- 顔は目・口・鼻周囲を避けて
- 体は胸・背中などへも塗布可能
- 放置時間:5〜10分(この間に歯磨きやスマホ操作をしてもOK)
- 洗い流し:15秒以上、水のみで十分(石鹸不要)
- その後のスキンケア:保湿剤は併用可能。ただし刺激物(レチノールやビタミンC誘導体など)は避ける
📏 使用量の目安
- 顔のみ:1回あたり1g前後(小豆〜パール粒大)
- 体幹部(背中など)含む場合:2~3g程度を目安に
※チューブから出る量を患者さんにも伝えられると◎
⚠️ 注意点とデメリット
- 皮膚刺激:初期は赤みや乾燥が出やすいが、1か月以内に軽快することが多い
- 接触皮膚炎:ジュクジュクやかゆみが強い場合は中止して受診
- 漂白リスク:塗布後に衣類や寝具に触れると色落ちの可能性あり
- 紫外線対策:使用中は日焼け止め必須。日焼けマシン・光線療法NG
- 粘膜には塗布しない:目・口・鼻など、粘膜や傷口は避ける
🔁 継続使用の重要性
BPO製剤は、赤ニキビだけでなく「マイクロコメド(毛穴詰まりの初期段階)」にも効果があります。
赤みが引いても、継続使用を促すことで再発防止につながります。
📝 まとめ
- ベピオウォッシュゲル5%は“洗い流す”新スタイルのBPO製剤
- 従来品に比べて刺激が少なく、漂白トラブルも軽減
- 顔・体両方に使え、小児にも適応あり
- 適切な使い方と継続指導で、ニキビ治療の強い味方に!
薬剤師としては、使用方法の丁寧な説明と、患者ごとのライフスタイルに合った剤型選びがカギです。
📚 参考文献
国内第3相臨床試験成績(医師講演資料)
ベピオウォッシュゲルBOOK(こばやし皮膚科クリニック監修)
マルホ株式会社 製品資料