【新薬解説】ベピオウォッシュゲル|塗って洗い流す新しいニキビ治療薬【2025年6月発売】

医薬品
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こんにちは、「薬Talk」編集長、薬剤師のNoriです!

今回は、2025年6月16日に新たに登場した「ベピオウォッシュゲル5%」について、薬剤師の視点からわかりやすくご紹介します。過酸化ベンゾイル製剤では珍しい“洗い流す”タイプの塗布剤で、これまでの製剤との違いや、使用の注意点、指導時に役立つポイントまでしっかりと解説していきます。


  • 販売開始日:2025年6月16日
  • 製造販売元:マルホ株式会社
  • 適応症:尋常性ざ瘡(にきび)
  • 使用方法:1日1回、洗顔後に患部へ適量を塗布し、5~10分後に洗い流す(ショートコンタクトセラピー)。
  • 使用可能部位:顔、胸、背中など体幹部

【初めて使用する際の説明ポイント】

薬局で患者さんに説明する際は、以下の内容を丁寧に伝えると効果的です。

  • 使用タイミング:夜の洗顔後が理想的。入浴中や就寝前でもOK。
  • 塗布方法:水分を軽く拭き取ったあと、赤ニキビやざ瘡のある部位に薄く塗る。
  • 待機時間中:スマホを見たり歯磨きするなど、普段の生活の中で自然に使える。
  • 洗い流し方:15秒以上を目安にしっかりと水で洗い流す(石鹸は不要)。
  • その後のスキンケア:保湿剤の併用が可能。ビタミンC誘導体やレチノールなど刺激性のあるものは控える。
  • 服やタオルへの付着注意:洗い流すとはいえ、塗布後に触れる布製品には脱色のリスクがあるため注意。

【ベピオシリーズ製剤比較】

項目ベピオゲル2.5%ベピオローション2.5%ベピオウォッシュゲル5%
剤型ゲルローション(乳剤性)ゲル
有効成分濃度BPO 2.5%BPO 2.5%BPO 5.0%
使用方法洗い流さず塗布洗い流さず塗布5〜10分後に洗い流す
副作用頻度37.3%11.9%15.8%
小児適応12歳未満対象外12歳未満対象外9歳以上で臨床試験済み
漂白リスク高め高め洗い流すことで軽減

【保存方法の違い】

従来のベピオゲル、ローションは冷所保存でしたが、ベピオウォッシュゲルは室温保存が可能となりました。

  • ベピオゲル・ローション:凍結を避け25℃以下で保存。
  • ベピオウォッシュゲル:室温(1~30℃)で保存可能。夏場は冷蔵庫での保存が望ましい。

【ウォッシュゲルの特長と利点】

皮膚接触時間が短縮されたため、副作用、脱色リスクが軽減されています。

  1. 皮膚刺激の軽減:接触時間が短いため、赤みや乾燥、ヒリヒリ感といった刺激性副作用が軽減されやすい。
  2. 脱色リスクの軽減:洗い流すため、衣類や寝具の脱色トラブルが起きにくい。
  3. 小児にも使用可:9歳以上の小児に対する臨床試験が行われており、従来製剤より適用範囲が広い。
  4. 体幹部にも使用可能:背中や胸などにも使用でき、特に夏季に有用。

【使用上の注意点】

  • 皮膚刺激症状:使用初期に赤みや乾燥、剥がれなどが出現することがありますが、多くは1か月程度で軽快します。
  • 接触皮膚炎:かゆみや腫れ、ジュクジュクした症状が現れた場合はアレルギーの可能性があるため中止し、医師へ相談。
  • 日光への配慮:使用中は日焼け止め対策を行い、日焼けマシンや紫外線療法は避けるよう指導。
  • 漂白リスク(飛散):塗布後にすぐ布製品と接触しないよう注意。
  • 粘膜・傷部への塗布不可:目・口・鼻・湿疹部には使用しない。

【薬剤師が伝えるべき使い分けの提案】

  • 刺激感が強い方:従来の製剤で刺激が強く続かなかった患者に。
  • にきび治療が初めての方:最初の選択肢として安全性が高い。
  • 小児(9歳以上)への導入:早期からのスキンケア習慣の確立に。
  • 衣類の脱色を避けたい方:背中・胸などの体幹部治療に適する。

【継続治療の重要性】

赤ニキビが消えた後も、毛穴の詰まり(マイクロコメド)の治療が必要です。治療の自己中断により再発するケースも多いため、継続使用の必要性を丁寧に説明しましょう。


【まとめ】

「洗い流す」新しいBPO製剤で、ニキビ治療に新たな選択肢を!

  • ショートコンタクトセラピーで刺激を軽減
  • 漂白トラブルを抑えた新スタイル
  • 小児・体幹部にも適用できる柔軟性

薬剤師としては、以下のポイントを押さえた服薬指導を意識しましょう:

  • 使用手順の具体的な説明(塗布後の過ごし方や洗い流し方)
  • 日光や漂白への注意喚起
  • 初期刺激とその経過、対応法
  • 継続使用の重要性と期待される効果

【参考文献】


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