こんにちは、『薬Talk』編集長、薬剤師のNoriです!
乳幼児に使う坐薬。
「どの順番で使えばいいの?」「入れてすぐ出ちゃった…」「吐き気止めと解熱剤、どっちが先?」と、迷うことって意外と多いんです。
この記事では、保護者の方や新人薬剤師さんがつまずきやすい「坐薬の正しい使い方」について、実際の現場でよくあるパターンを交えながら、やさしく解説していきます。
目次
坐薬の基本:種類と基剤の違いを知ろう
坐薬には、使う目的や薬の性質によってさまざまな種類があります。以下は乳幼児でよく使用される坐薬の代表例です。
坐薬名 | 主成分 | 基剤の種類 | 保存方法 | 主な用途 |
---|---|---|---|---|
アンヒバ®坐剤 | アセトアミノフェン | 脂溶性基剤(Witepsol®) | 冷所保存 | 解熱 |
ナウゼリン®坐剤 | ドンペリドン | 水溶性基剤(PEG系) | 室温保存可 | 吐き気・嘔吐の抑制 |
ダイアップ®坐剤 | ジアゼパム | 脂溶性基剤(Witepsol®) | 冷所保存 | 熱性けいれんの予防 |
坐薬の「基剤」は、使用順や吸収速度に関わる大切なポイント。水溶性と脂溶性では、使う順番に注意が必要です。
坐薬の使う順番|基本ルールをシンプルに!
- 基剤が異なる場合(水溶性→脂溶性)
→ 水溶性を先に、30分以上の間隔を空ける - 基剤が同じ場合(どちらも脂溶性など)
→ 緊急性が高い方を先に、5分以上の間隔を空ける
💡使用例で覚えよう!
パターン①:ナウゼリン+アンヒバ
→ ナウゼリン(水溶性)→30分後→アンヒバ(脂溶性)
パターン②:ダイアップ+アンヒバ
→ ダイアップ(脂溶性)→10分後→アンヒバ(脂溶性)
パターン③:ナウゼリン+ダイアップ
→ ナウゼリン(基剤:水溶性)→30分後→ダイアップ(脂溶性)
状態によっては順番が逆になることもあるため、医師の指示を優先してください。
坐薬と内服薬の効果の違い
成分名 | 剤形 | 効果発現時間(目安) |
---|---|---|
アセトアミノフェン | カロナール細粒(内服) | 約25分 |
アセトアミノフェン | アンヒバ坐剤 | 約90分 |
ドンペリドン | ナウゼリンDS(内服) | 約30分 |
ドンペリドン | ナウゼリン坐剤 | 約60分 |
坐薬の方が即効性があると思われがちですが、必ずしもそうではありません。吸収までの時間差にも注意が必要です。
ダイアップ坐剤の使用タイミング(熱性けいれん予防)
- 体温が37.5℃以上になったら1回目を挿入
- 8時間後に再度38.5℃以上なら、2回目を使用
- 効果はおよそ8時間持続
- 副作用: 眠気・ふらつき には注意しましょう
挿入のコツ:うまく入らない時は…
- 手を清潔にして坐薬を包装から出す
- 丸い方を先に肛門へ優しく挿入
- 肛門を30秒〜1分間軽く押さえる
- 挿入しづらい場合は、
- 体を横向きにしてリラックス
- ワセリンやベビーオイルで滑りをよくする
- 息を「ふーっ」と吹いてもらうと入りやすい
声かけやタイミングで、お子さんの緊張を和らげることも大切です。
まとめ|坐薬の基本を押さえて、安心して使おう
- 坐薬は「基剤の違い」と「病状の緊急度」で使用順を決めましょう
- 同じ基剤なら5分以上、異なる基剤なら30分以上空けるのが基本
- 効果の速さは「坐薬>内服」とは限らず、薬剤によって異なります
- 挿入の際は姿勢や潤滑剤の工夫でスムーズに
📚 参考文献・資料(リンク付き)
医薬品インタビューフォーム/添付文書(PMDA)
- アンヒバ®、ナウゼリン®、ダイアップ®など