【薬剤師が解説】その激痛、もしかして痛風?|原因・治療・予防までまるっと解説!

痛風・高尿酸血症
この記事は約5分で読めます。

こんにちは、「薬Talk」編集長、薬剤師のNoriです。

ある日、薬局のカウンターで患者さんに言われた言葉が忘れられません。

「先生、足の親指がパンパンに腫れて、風が当たるだけで飛び上がるほど痛いんです…」

そう、これこそ「痛風」特有の発作症状。かつては「美食家の病気」と言われてきたこの疾患も、いまや若年層や女性にも増加しており、予防と継続的なケアがますます重要となっています。

本記事では、薬剤師としての視点から、痛風の原因・症状・薬物治療の使い分け、そして再発防止のための生活習慣のアドバイスまで、実務で活かせる内容をわかりやすくお届けします。


痛風とは、血中に尿酸が過剰に蓄積され、関節内に結晶化して炎症を起こす病気です。特に足の親指の付け根に現れることが多く、「風が吹いても痛い」という表現通り、鋭い痛みを伴います。

尿酸値が7.0mg/dL以上で「高尿酸血症」と診断され、症状が現れた場合に「痛風発作」として扱われます。


  • プリン体の多い食品やアルコールの過剰摂取
  • 水分不足(脱水)
  • 肥満・運動不足
  • ストレスや急激な運動
  • 腎機能の低下
  • 遺伝的要因

特に食習慣と体質が密接に関係するため、薬だけに頼らず、生活改善が欠かせません。


  • 突然、関節が赤く腫れ、熱感と激痛を伴う(夜間・早朝に多い)
  • 初発は足の親指の付け根が多い
  • 発作は1週間前後で自然軽快するが、再発を繰り返すと関節変形や腎障害のリスクも

尿酸値(mg/dL)説明
3.0〜6.0正常範囲
6.1〜7.0増加傾向(生活改善を推奨)
7.0以上高尿酸血症(薬物治療検討)

※ 発作の既往や腎機能異常があれば、数値に関係なく治療が必要となる場合もあります。


① 発作時の治療(急性期)

薬剤特徴注意点
NSAIDs即効性あり、炎症を抑える胃腸障害・腎機能に注意
コルヒチン白血球の活動抑制下痢など副作用あり
ステロイド抗炎症作用が強力(内服・注射)感染・血糖上昇に注意

発作期には尿酸値を下げる薬は原則使用しません。まず炎症を鎮めることが優先です。


薬剤分類特徴・投与上の注意
アロプリノール尿酸生成抑制薬腎機能で用量調整、薬疹に注意
フェブキソスタット同上肝代謝型で併用薬に注意
ベンズブロマロン尿酸排泄促進薬尿量確保・腎結石リスクに注意

※ 服薬中止で再発するケースも多いため、継続投与が重要です。


痛風は「薬を飲んで終わり」ではありません。生活習慣の改善こそが、再発を防ぐ最大の対策です。ここでは、薬剤師として患者さんに伝えるべき具体的な改善ポイントを解説します。


  • 理由:尿酸は尿中に排泄されるため、水分不足は結晶化を促進します。
  • 💡指導例:「朝起きたらコップ1杯、日中も意識して水分をとりましょう」

  • 理由:プリン体が多く、尿酸の排泄も妨げる
  • 💡アドバイス:「週2〜3日の休肝日を」「ビールよりワイン・焼酎を少量で」

  • 理由:レバー・干物・白子などは尿酸の元になるプリン体が多い
  • 💡提案:「頻度と量を管理(例:魚卵は週1回まで)」

  • 理由:内臓脂肪の増加は尿酸産生と排泄障害を招く
  • 💡指導:「1ヶ月1〜2kg減を目安に、急激な減量は避ける」

  • 理由:肥満改善・インスリン感受性改善・ストレス軽減に効果
  • 💡提案:「ウォーキング30分/日」「週3回の軽運動がおすすめ」

  • 理由:野菜は尿のアルカリ化、低脂肪乳製品は尿酸排泄を促進
  • 💡例:「毎食、野菜を手のひら1杯」「牛乳・ヨーグルトを習慣に」

  • 理由:交感神経活性により尿酸排泄が妨げられる
  • 💡工夫:「6時間以上の睡眠」「湯船や軽い散歩でリラックス」

  • 理由:尿酸値の変動は自覚できないため、検査が重要
  • 💡指導例:「数値が安定しても、治療は継続が基本です」

痛風は一度発症すると、再発を繰り返すケースが非常に多くあります。その一方で、患者さん自身が「発作がない=治った」と誤解しやすい病気でもあります。

薬の継続、生活改善の支援、定期フォローの重要性を伝えるのは、私たち薬剤師の役割です。

「痛風、再発しないようにがんばりましょうね」――そのひと言が、患者さんの未来を守る一歩になるかもしれません。


  • 厚生労働省 e-ヘルスネット「痛風(高尿酸血症)」
  • 日本痛風・核酸代謝学会『高尿酸血症・痛風の治療ガイドライン 第3版』
  • MSDマニュアル家庭版「痛風」
  • 医学書院『治療薬マニュアル2024』
タイトルとURLをコピーしました