痛風の予防と治療をやさしく解説|薬剤師が語る「薬Talk」保存版
こんにちは。「薬Talk」編集長のNoriです。
この記事をご覧になっているあなたは、もしかすると最近「足の親指がズキッと痛んだ」「健康診断で尿酸値が高めと言われた」「痛風って何に気をつければいいの?」――そんな不安や疑問を抱えていらっしゃるのではないでしょうか。
痛風は、ある日突然やってくる激しい痛みが特徴の病気ですが、その背景には日々の生活習慣や体質、そしてちょっとした油断が潜んでいます。
この記事では、薬剤師の立場から、痛風の原因・症状・治療法・予防法までをやさしく、わかりやすくお伝えします。
専門的な知識を押しつけるのではなく、「自分の体と向き合い、健康を守るためのヒント」として読んでいただけたら嬉しいです。
ご自身の体のために、大切なご家族のために、ぜひ最後までお付き合いくださいね。
目次
ある朝、足の親指が…の前に
こんにちは、「薬Talk」編集長Noriです。
ある日、薬局で患者さんに「俺、痛風だってさ。あれ、風が吹いても痛いんだろ?…窓開けんの禁止って嫁に言われたよ」と言われて笑ってしまいました。いや、ホントにその痛さは笑いごとじゃないのですが、その表現があまりに絶妙で、朝から元気をもらったんです。
でも、それと同時に「もっと多くの人に、ちゃんと痛風のことを知ってほしいな」と思いました。
ということで、今回は痛風の基本から、治療・予防・薬剤師の立場からのアドバイスまで、やさしく語っていきます!
痛風ってどんな病気?
痛風とは、血液中の「尿酸」が多くなり、体の中で結晶化して関節に炎症を起こす病気です。
とくに足の親指の付け根に強い痛みが現れることが多く、「風が吹いても痛い」ほどの激痛から「痛風」という名前がついています。
尿酸は「プリン体」という物質が分解されてできる老廃物。健康な人でも体内にありますが、量が多くなると問題になります。
痛風の原因って?
- 食べ物やお酒からプリン体を多くとりすぎる
- 激しい運動やストレス
- 脱水(水分不足)
- 腎臓の機能が弱っていて尿酸をうまく出せない
- 遺伝や体質も関係
痛風の症状
- 突然、関節(特に足の親指)が腫れて、赤くなって、ものすごく痛い
- 痛みは夜間に多く、1週間ほどで治まる
- 繰り返すと関節が変形したり、腎臓に悪影響を与えることも
尿酸値の検査と基準値
状態 | 尿酸値(mg/dL) | 説明 |
---|---|---|
正常 | 3.0〜6.0 | 問題なし |
注意 | 6.1〜7.0 | 増加傾向、生活改善が必要 |
高尿酸血症 | 7.0以上 | 痛風発作や腎障害のリスク |
※ 薬物治療の目安は「尿酸値7.0mg/dL以上」か、症状・合併症がある場合です。
痛風の治療法
① 発作時の痛みを抑える治療(急性期治療)
- NSAIDs(ロキソプロフェンなど)
- コルヒチン(初期発作に)
- ステロイド(プレドニゾロンなど)
薬剤 | 作用 | 特徴 | 注意点 |
---|---|---|---|
NSAIDs | 炎症抑制 | 即効性あり | 胃腸障害 |
コルヒチン | 白血球の活動抑制 | 早期に有効 | 下痢などの副作用 |
ステロイド | 強力な抗炎症 | 内服・関節注射 | 血糖・感染症注意 |
② 尿酸値を下げる治療(慢性期治療)
- アロプリノール
- フェブキソスタット
- ベンズブロマロン
薬剤 | 分類 | 特徴 | 服薬指導ポイント |
---|---|---|---|
アロプリノール | 尿酸生成抑制 | 腎機能で調整 | 副作用注意 |
フェブキソスタット | 同上 | 肝代謝型 | 肝機能検査 |
ベンズブロマロン | 尿酸排泄促進 | 尿量確保 | 腎結石に注意 |
③ 生活習慣の改善
- 水分を1日2L以上とる
- 適正体重を維持
- アルコールの量を減らす
- 野菜中心の食事
- ウォーキングなどの有酸素運動
痛風になりやすい人
- 高プリン食品・アルコールをよく摂る
- 肥満傾向
- 男性(特に30〜50代)
- 高血圧・糖尿病・脂質異常などの生活習慣病あり
- 家族に痛風患者がいる
編集長おすすめ!痛風予防のコツ
- 朝のコップ1杯の水でスタート
- 週3日以上の休肝日を作る
- 干物や白子などの頻度を見直す
- サバ缶を半分ずつ食べる習慣
- 水・お茶優先でジュースを減らす
薬剤師の投薬時のポイント
- 発作か予防か目的を明確にする
- 薬のタイミングと継続を指導
- 副作用説明(下痢・肝機能障害など)も丁寧に
- 生活面の助言も加える(例:「水分足りてますか?」)
プリン体の多い食品とアルコール
食品カテゴリ | 高プリン体食品例 | 低プリン食品例 |
---|---|---|
肉類 | レバー、砂肝、鶏もも | 豚ロース、鶏むね |
魚介類 | 干物、いわし、あん肝 | 鮭、タラ、アジ |
その他 | 白子、魚卵、煮こごり | 豆腐、納豆、卵、牛乳 |
アルコール | 尿酸への影響 | 薬剤師のコメント |
---|---|---|
ビール | 非常に高い | 週2回までに抑えたい |
日本酒 | 高い | 少量でも注意 |
焼酎・ウイスキー | 中 | 量に注意 |
ワイン | 低め | 夕食に1杯程度でOK |
おわりに
痛風は「ならない努力」がとても大切な病気です。
生活の見直しと、信頼できる医療者との連携が再発予防のカギ。
この記事が、皆さんのお役に立てばうれしいです。