【徹底解説】調剤業務の外部委託が薬機法改正で本格解禁!薬局の未来と実務ポイントまとめ

制度改正
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こんにちは、「薬Talk」編集長、薬剤師のNoriです!
2025年5月21日に公布された薬機法改正で、ついに「調剤業務の一部外部委託」が法制化されました。これは薬局現場に大きな影響を与える改正です。本記事では、現場目線で制度のポイントから今後の展望までわかりやすく深掘り解説します!

今回の法改正は2025年5月21日に公布されました。施行日は「公布後2年以内」とされており、2027年頃の施行が見込まれます。

内容日程
改正薬機法公布日2025年5月21日
施行予定日公布後2年以内(2027年頃予定)

今後、厚生労働省が省令やガイドラインを整備し、具体的な運用ルールが決まっていきます。


🔎 改正の背景と目的

今回の制度改正の背景には、薬局現場が抱えるいくつかの課題があります。

  • 薬剤師の人手不足
     近年、在宅医療や施設調剤の需要が高まり、薬剤師不足が深刻化しています。
  • 在宅医療・施設対応の拡大
     地域包括ケアの推進に伴い、薬局にも多様なサービス提供が求められています。
  • 対物業務(調剤作業)に偏った業務体制の見直し
     薬剤師本来の専門性である服薬指導や患者支援にもっと時間を割く必要があります。
  • 国家戦略特区(大阪など)での実証実験が成功
     特区では既に限定的に外部委託が試験導入され、安全性・品質ともに良好な実績が得られました。

つまり、「定型作業は外部委託、患者対応は薬剤師が」という役割分担を法制度として正式に認めよう、という流れです。


今回の外部委託解禁では、いきなり全ての調剤作業が外に出せるわけではありません。
かなり限定された範囲から慎重にスタートします。

  • まずは「一包化調剤」のみ
     患者ごとに服用タイミングをまとめて分包する「一包化」の調剤作業が対象となります。粉砕調剤や軟膏混合などは含まれません。

今後の運用状況を見ながら、委託対象が段階的に拡大される可能性があります(無菌製剤調製、在宅施設向けなど)。

  • 委託先は「薬局」であることが必須
     民間企業の調剤センターなどではなく、正式に許可を受けた薬局のみが受託できます。
  • 同一三次医療圏内での委託に限定
     現時点では遠方の薬局へ委託することはできず、医療圏内での地域連携を前提としています。
  • 委託契約が必要
     委託元薬局と受託薬局の間で、正式な契約書を締結する必要があります。
  • 手順書の整備
     具体的な作業手順・管理方法を文書化し、双方で共有します。
  • 記録保持義務
     作業記録を委託元・受託先それぞれが適切に保管し、監査に備えます。
  • 最終鑑査は受託薬局で実施
     一包化が完了した製剤を、受託薬局が責任を持って最終確認します。
  • 患者説明と同意取得は委託元が実施
     患者さんには外部委託の事実を説明し、あらかじめ同意を得ておく必要があります。
  • 都道府県知事が許可を与える
     各自治体が許認可・監査を行います。
  • 監査・報告体制の整備
     厚労省や自治体による定期的な指導監査も予定されています。

では、薬局現場の作業はどのように変わるのでしょう?

薬局内で全て実施

  • 処方箋受付
  • 調剤
  • 一包化
  • 鑑査
  • 服薬指導

一部作業を委託

  • 処方箋受付
  • 処方情報を電子送信(委託先へ)
  • 委託先薬局で一包化
  • 完成品を受け取り
  • 委託先で最終鑑査
  • 服薬指導

→ 一包化にかかる時間が減り、服薬指導・在宅支援に集中できる時間が増えます!


今回の改正は薬局運営にも大きな影響を与えます。

  • 調剤効率化
     一包化の作業負担が軽減される。
  • 服薬指導の時間確保
     患者対応に集中できる。
  • 在宅医療・施設対応の拡充
     訪問対応の余力を確保しやすくなる。
  • 調剤過誤リスクの低減
     専門の設備と人材による高精度の一包化。
  • 契約書・責任分担の明確化
     委託内容・責任範囲をしっかり文書化する必要あり。
  • ITシステム整備
     処方情報の安全な送受信インフラが必須。
  • 委託先の確保
     受託薬局との連携先探しも課題に。
  • 三次医療圏外では委託不可
     遠方との連携は現段階では不可。

今回の外部委託制度は、あくまで「第一段階」とも言えます。今後はさらに検討が進むでしょう。

  • 対象業務の拡大
     無菌製剤調製、注射薬混注、施設向け分包など
  • 医療圏の距離制限見直し
     三次医療圏外への委託解禁の可能性
  • AI調剤・ロボット技術の活用
     自動分包・自動監査の導入
  • 在宅専門薬局との連携モデル化
     地域多職種連携の強化

実際に制度が施行されるまでに、薬局としては以下のような準備が必要になります。

  • 改正薬機法の内容
  • 省令・ガイドラインの確認
  • 最新の厚労省通知へのアンテナを立てる
  • 受託薬局との契約内容整理
  • 調剤フローの設計・手順書作成
  • 監査時の対応準備
  • 処方情報の安全な電子送受信環境構築
  • セキュリティ強化
  • 委託先とのデータ共有方法の確立
  • 患者説明・同意取得スキル
  • 服薬指導スキル
  • 在宅医療・施設対応スキル

  • 2025年5月21日公布、施行は2027年頃予定
  • 一包化調剤から外部委託が開始される
  • 安全性・患者説明・契約整備が重要
  • 薬剤師の対人業務・在宅医療支援が本格強化へ

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