高尿酸血症治療薬の作用機序・使い分け・副作用と対処法|薬剤師が現場で活かせる解説つき!

痛風・高尿酸血症
この記事は約4分で読めます。

こんにちは、「薬Talk」編集長Noriです!

「フェブリク?ユリス?どれが安全なの?」
「SJSが怖くてアロプリノール出したくないけど、結局何を選べば…?」

――こんな迷い、現場では日常茶飯事。
本記事では、高尿酸血症治療薬を作用機序別に整理し、副作用・相互作用・対処法・薬剤ごとの適応患者像まで徹底解説します。

服薬指導や疑義照会、医師への提案に役立つ知識をこの1本に凝縮しました。


分類薬剤名作用機序特徴・注意点
尿酸生成抑制薬アロプリノール(ザイロリック)
フェブキソスタット(フェブリク)
トピロキソスタット(トピロリック)
キサンチンオキシダーゼ阻害で尿酸生成を抑える腎機能・心血管リスクに応じて使い分け
尿酸排泄促進薬ベンズブロマロン(ユリノーム)
ドチヌラド(ユリス)
尿細管URAT1阻害で尿酸排泄促進肝機能・結石・併用薬に注意が必要

解説
尿酸生成を抑える薬か、尿酸を出す薬か、基本はこの2択。その上で「腎機能」「肝機能」「併用薬」「年齢」を見て選びましょう。


  • 作用:キサンチンオキシダーゼ阻害 → 尿酸生成を抑制
  • 選ばれる患者:腎機能が良好で、コストを抑えたい人
  • 副作用:重篤な皮膚障害(SJS/TEN)、肝障害、薬疹
    • 対処法:HLA-B*5801陽性なら避ける/初期の発疹で即中止
  • 相互作用:アザチオプリン・6-MPの代謝を抑制 → 骨髄抑制↑
    • 対処法:併用禁忌/やむを得ない場合は6-MPを1/4量に+厳重モニター

  • 作用:選択的キサンチンオキシダーゼ阻害(非プリン型)
  • 選ばれる患者:腎機能低下例(eGFR<50)、アロプリノール不耐
  • 副作用:肝機能障害、まれに心血管イベント(心不全・心筋梗塞)
    • 対処法:心疾患既往ありでは避ける/肝機能定期検査
  • 相互作用:アザチオプリン・6-MP・テオフィリンなど代謝抑制
    • 対処法:併用禁忌 or 代替薬提案(ユリス等)

  • 作用:キサンチンオキシダーゼ阻害(国産の選択肢)
  • 選ばれる患者:フェブリク類似の効果を求める場合
  • 副作用:肝機能障害(軽度〜中等度)
    • 対処法:AST・ALT定期確認/フェブリクと同等の対応
  • 相互作用:アザチオプリン・6-MPでの骨髄抑制リスクあり
    • 対処法:同上

  • 作用:URAT1阻害 → 尿酸排泄促進
  • 選ばれる患者:尿酸排泄量が少なく、肝機能良好な人
  • 副作用重篤な肝障害、尿路結石
    • 対処法:肝機能定期検査/水分摂取指導1日2L+尿pH管理
  • 相互作用
    • サリチル酸:URAT1刺激 → 効果減弱
    • ワルファリン:代謝酵素阻害 → 出血リスク↑
    • 対処法:他剤選択 or INRモニター徹底

  • 作用:選択的URAT1阻害(OAT1/3やABCG2にほぼ作用せず)
  • 選ばれる患者:腎・肝機能のいずれかに不安があり、高齢者・多剤併用患者
  • 副作用:軽度肝酵素上昇(頻度は非常に低い)
    • 対処法:定期検査/発現時は中止+肝機能評価
  • 相互作用臨床上重大な相互作用なし(現時点)
    • 対処法:併用薬が多くても比較的安心

状況・背景おすすめ薬剤理由・補足
腎機能障害あり(eGFR<30)フェブリク・ユリス腎排泄少なく使用可
心疾患の既往ありユリス・アロプリノールフェブリクは回避
肝機能障害ありアロプリノール・フェブリクユリノームは禁忌級
コスト重視アロプリノール最も安価な選択肢
尿中尿酸排泄量が低いユリノーム・ユリス排泄促進が有効

※表内の選択はあくまで一例です。併用薬・生活状況なども加味して選択しましょう。


  • 開始時の痛風発作リスクには事前説明+予防薬処方(コルヒチンなど)
  • 排泄促進薬時は水分摂取2L/日以上を強く指導(結石予防)
  • 肝・腎機能モニタリングが必要な薬剤では検査予定の確認を忘れずに
  • 併用薬(アザチオプリン、ワルファリンなど)の影響を早めに疑義照会!

医師は患者全体像から処方を選んでいますが、薬剤師は「なぜこの薬?」「他の選択肢は?」と考える専門職です。

高尿酸血症治療薬は、地味だけど副作用も相互作用も奥が深い分野
今日の服薬指導が、患者さんの将来の痛風発作を1つ減らすかもしれません。


  1. 日本痛風・尿酸核酸学会. 高尿酸血症・痛風の治療ガイドライン 第3版
  2. ユリス錠 インタビューフォーム(帝人ファーマ)
  3. フェブリク錠 適正使用ガイド(日本化薬)
  4. アロプリノール・ユリノーム 添付文書・IF
  5. PMDA 医薬品医療機器総合機構 医薬品情報
  6. Micromedex(2024)相互作用データベース

タイトルとURLをコピーしました