地域支援・医薬品供給対応体制加算 ~2026年度調剤報酬改定~ をやさしく解説

制度改正
この記事は約7分で読めます。

「後発品の体制」と「地域支援の体制」が合体。後発品85%を満たさないと、地域支援の点数もまるごと取れなくなりました。

従来の地域支援体制加算が名称変更され、要件に「後発医薬品の使用割合」と「医薬品の安定供給体制」が組み込まれました。これに伴い、後発医薬品調剤体制加算は廃止されます。

いちばん大事な構造は「二階建て」です。1階の加算1(後発品+安定供給の土台)をクリアして初めて、2階の加算2〜5(地域医療への貢献)に進めます。

⚠ ここが最重要

後発医薬品の使用割合が85%を下回ると、加算1だけでなく加算2〜5もすべて算定できなくなります。「地域貢献の実績は十分なのに、後発品率で足元をすくわれる」事態に注意してください。

加算1が全薬局共通の土台。加算2・3は基本料1、加算4・5は基本料1以外が対象です。

新区分点数旧区分とのイメージ対象(基本料)
加算127点土台(旧・後発加算の要素を包含)全薬局
加算259点加算1 + 旧・地域支援1基本料1
加算367点加算1 + 旧・地域支援2基本料1
加算437点加算1 + 旧・地域支援3基本料1以外
加算559点加算1 + 旧・地域支援4基本料1以外
  • 特別調剤基本料Aを算定する薬局は、所定点数の100分の10を算定します。
  • 特別調剤基本料Bを算定する薬局は算定できません

▶ 加算2〜5は「重ねて取る」ものではない

加算2〜5は択一です。自局の基本料区分と実績に応じて、該当する1つの区分を届け出ます。加算1の27点が別に上乗せされるのではなく、加算2〜5の点数の中に土台分が含まれているイメージです。

「後発品85%以上」+「医薬品の安定供給に関する取組」をクリアすることが、すべての出発点です。

  • 後発医薬品の規格単位数量の割合が85%以上であること。
  • 旧「後発医薬品調剤体制加算」の要件がここに統合されました。これを下回ると加算2〜5も算定不可です。

流通改善ガイドラインの趣旨を施設基準に落とし込んだもので、新人薬剤師が「ふだんの業務でやっているか?」を意識すべき項目です。

  • 医薬品の安定供給に向けた計画的な調達・在庫管理を行う
  • 他の保険薬局へ医薬品を分譲した実績がある同一グループへの分譲は除く。伝票等を2年間保存)
  • 供給不安等で迅速な入手が困難なとき、入手可能な薬局を探して患者を紹介する/処方医に変更可否を照会する等の適切な対応をする
  • 重要供給確保医薬品のうち内用薬・外用薬は、1ヶ月程度の備蓄に努める
  • 原則として単品単価交渉を実施している
  • 卸への頻回配送・休日夜間配送・急配の過度な依頼を慎む
  • 温度管理を要する医薬品や、在庫調整目的の卸への返品を慎む
  • 地域の医療機関・薬局・関係団体と連携し、取り扱い品目の情報共有や事前の取り決めを行う(望ましい)

▶ 「備蓄」は自局の在庫であること

重要供給確保医薬品の1ヶ月備蓄は、薬局が現に在庫を持っていることを指します。卸が代わりに在庫を確保しているだけでは備蓄に当たりません

? 実務での未確定ポイント

「重要供給確保医薬品の1ヶ月備蓄」が、全品目を対象とするのか、自店舗で使用している医薬品でよいのかは、疑義解釈での明確化を待つ論点です。届出前に最新の疑義解釈を確認してください。

実績9項目のうち「いくつ満たすか」で点数が決まります。ただし“必須項目”の取りこぼしに注意。

加算2:9項目のうち、④かかりつけ薬剤師の実績を含む3項目以上 / 59点

加算3:9項目のうち7項目以上 / 67点

加算4:9項目のうち、④かかりつけ薬剤師+⑥在宅薬剤管理の両方を含む3項目以上 / 37点

加算5:9項目のうち7項目以上 / 59点

⚠ 数だけ揃えても取れない

加算2・4のベースラインは「項目数」だけでなく必須項目が決まっています。加算2は④かかりつけ薬剤師の算定実績が必須。加算4はそれに加えて⑥在宅薬剤管理(個人宅)の実績も必須です。

④かかりつけ薬剤師の実績は研修認定薬剤師がいないと積み上がりにくく、認定の未取得者が多いと上位区分を取りこぼすリスクに直結します。

①〜⑧は「処方箋1万枚あたりの年間回数」、⑨は「薬局あたりの年間回数」で数えます。

実績要件基本料1基本料1以外
① 夜間・休日等の対応実績40回以上400回以上
② 麻薬の調剤実績1回以上10回以上
③ 調剤時残薬調整加算・薬学的有害事象等防止加算の実績20回以上40回以上
④ かかりつけ薬剤師による服薬管理指導の実績(服薬管理指導料1・2のイ)【加算2・4で必須】20回以上40回以上
⑤ 外来服薬支援料1の算定実績1回以上12回以上
⑥ 在宅薬剤管理の実績(単一建物診療患者1人の場合)【加算4で必須】24回以上24回以上
⑦ 服薬情報等提供料に相当する実績30回以上60回以上
⑧ 小児特定加算の算定実績1回以上1回以上
⑨ 研修認定薬剤師による多職種連携会議への出席実績1回以上5回以上

読み方の例:基本料1の薬局で、③20回以上・④20回以上・⑤1回以上を満たせば「④を含む3項目」となり加算2(59点)。さらに7項目まで積み上げれば加算3(67点)に上がります。

土台として、ここに挙げた実績に加えて加算1の施設基準(後発品85%+安定供給体制)を満たしていることが大前提です。

後発品率と一部の実績にだけ「みなし」措置あり。実績全体には経過措置がない可能性が高い点に注意。

⚠ 後発品85%要件の経過措置

2026年3月31日時点で後発医薬品調剤体制加算1・2・3を届け出ている薬局は、2027年5月31日までは後発品85%の基準を満たすものとみなされます。

⚠ 実績③④の「みなし」(届出は2027年6月まで)

③(調剤時残薬調整加算・薬学的有害事象等防止加算)と④(かかりつけ薬剤師)の実績は、2027年6月1日までに行う届出では、改定前の旧項目の算定回数とみなして判断してよいとされています。

  • ③ → 旧・重複投薬相互作用等防止加算+在宅患者重複投薬相互作用等防止管理料の合計
  • ④ → 旧・かかりつけ薬剤師指導料+かかりつけ薬剤師包括管理料の合計

⚠ 実績要件そのものには経過措置がない可能性

過去の改定と異なり、今回は実績要件全体への経過措置が設けられない可能性が指摘されています。「6月になってから慌てる」のではなく、今のうちから実績を積み上げておくのが安全です。

自分の薬局でまず確認すること

  • ☐ 後発医薬品の使用割合が85%以上か(直近3か月で月次フォロー)
  • ☐ 他薬局への分譲実績の記録を残しているか(グループ内は除外。伝票等2年保存)
  • ☐ 重要供給確保医薬品を自局在庫として備蓄しているか
  • ☐ 単品単価交渉を実施しているか(様式85で「行っていない」に該当していないか)
  • ☐ 実績9項目のうち何項目クリアしているか、自局の基本料区分での必須項目(④/④+⑥)を押さえているか
  • ☐ ④を満たすための研修認定薬剤師が確保できているか
  • ☐ 後発品の積極調剤・連携薬局の連絡先などの掲示が最新になっているか

本記事は2026年度(令和8年度)調剤報酬改定の答申資料・厚生労働省「令和8年度診療報酬改定の概要【調剤】」等をもとに、新人薬剤師・調剤事務向けに要点を整理したものです。一部に疑義解釈の明確化を待つ論点があります。

※ 算定の最終的な可否は、厚生労働省の点数表・施設基準の原文、最新の疑義解釈、および地方厚生(支)局の判断によります。実務での適用にあたっては必ず原文・最新情報をご確認ください。

タイトルとURLをコピーしました