執筆:Nori(薬Talk編集長・薬剤師)/調剤薬局勤務26年。管理薬剤師を経て、現在はチェーン薬局の本社部門で店舗運営支援を担当しています。
本サイトは、薬剤師をはじめとする医療従事者向けの情報提供サイトです。記載内容は告示・通知・添付文書などの原文を確認したうえでまとめています。一般の方が医薬品の使用を判断される際は、必ず医師・薬剤師にご相談ください。
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通知ではなく、法律の条文になりました
いちばん大きな変化はここです。これまで省令と通知で運用されていたものが、法律の条文に格上げされました。
薬局開設者、店舗販売業者又は配置販売業者は、指定濫用防止医薬品ごとに厚生労働省令で定める数量を超えて指定濫用防止医薬品を販売し、若しくは授与し、又は厚生労働省令で定める年齢に満たない者に指定濫用防止医薬品を販売し、若しくは授与してはならない。ただし、次の各号のいずれかに掲げるときは、この限りでない。
一 薬剤師等に販売し、又は授与するとき。
二 ……厚生労働省令で定める年齢以上の者その他厚生労働省令で定める者である場合において、……薬剤師又は登録販売者に、対面等により、第1項本文の規定による情報の提供を行わせるとき。
原則は「売ってはならない」。例外にあたるときだけ売れます。この向きで読むのが正確です。
そして第4項が効きます。「情報の提供ができない場合その他……適正な使用を確保することができないと認められる場合には、販売し、又は授与してはならない」。断る根拠が条文にあります。

成分は8つ。2つ増えました
令和8年厚生労働省告示第32号で指定されたのが、次の8成分です(いずれも外用剤を除き、水和物及びそれらの塩類を含む)。
| 成分 | 主な製品 | 従来からの指定 |
|---|---|---|
| エフェドリン | かぜ薬・鎮咳去痰薬 | あり |
| コデイン | 鎮咳去痰薬・かぜ薬 | あり |
| ジヒドロコデイン | 鎮咳去痰薬・かぜ薬 | あり |
| ジフェンヒドラミン | 睡眠改善薬・かぜ薬・鼻炎薬 | 今回から |
| デキストロメトルファン | 鎮咳去痰薬・かぜ薬 | 今回から |
| プソイドエフェドリン | かぜ薬・鼻炎用内服薬 | あり |
| ブロモバレリル尿素 | 解熱鎮痛薬・鎮静薬 | あり |
| メチルエフェドリン | かぜ薬・鼻炎用内服薬・鎮咳去痰薬 | あり |
ジフェンヒドラミンの追加が、いちばん影響が大きいと思います。睡眠改善薬に入っている成分です。かぜ薬・鼻炎薬にも広く配合されています。「うちの店の対象品目、こんなに増えたのか」となった店舗が多いはずです。
デキストロメトルファンも、鎮咳去痰薬の主力成分です。売り場のかぜ薬・咳止め・睡眠改善薬を、もう一度洗い直す必要があります。

数量の上限は「1包装・5日分」。かぜ薬だけ7日
告示第33号が、成分ごとに日数を定めています。
……厚生労働大臣が定める数量は、一包装であって、かつ、次の各号に掲げる医薬品ごとに、当該医薬品の用法及び用量からみて当該各号に掲げる日数分の数量を超えないものとする。
| 成分 | 日数 | 7日になる条件 |
|---|---|---|
| エフェドリン | 5日 | — |
| コデイン | 5日 | — |
| ジヒドロコデイン | 5日/7日 | かぜ薬 |
| ジフェンヒドラミン | 5日/7日 | かぜ薬 |
| デキストロメトルファン | 5日/7日 | かぜ薬 |
| プソイドエフェドリン | 5日/7日 | かぜ薬・鼻炎用内服薬 |
| ブロモバレリル尿素 | 5日/7日 | 解熱鎮痛薬 |
| メチルエフェドリン | 5日/7日 | かぜ薬・鼻炎用内服薬 |
エフェドリンとコデインだけ、7日の例外がありません。この2つは一律5日です。
そして「一包装であって、かつ」という書き方が重要です。1包装であることと日数分を超えないこと——両方を満たして初めて「数量の範囲内」になります。
これを超えるものが「大容量製品又は複数個」です。通知の定義はこうです。
厚生労働大臣が定める数量を超える数量(1包装容器に厚生労働大臣が定める数量を超える数量の製品又は複数個をいう。以下「大容量製品又は複数個」という。)の購入又は譲受けに該当する場合、その理由
2箱買えば、それだけで「複数個」です。そして通知は、さらに踏み込んでいます。
同一指定成分を含有する異なる製品を一つずつ販売する場合にあっても、複数個の販売に該当するものであること。
また、異なる指定成分を含有する製品を一つずつ販売する場合にあっては、……数量を超えた販売に当たるものではないが、濫用防止の観点から、製品の組み合わせ等を踏まえ、必要に応じ購入理由などを確認した上で判断することが適当であること。
銘柄が違っても、同じ成分なら「複数個」。別の咳止めを1つずつ、は通りません。
18歳未満には、数量を超えて売れません
年齢は18歳です(施行規則第159条の18の6第2項)。整理するとこうなります。
| 数量の範囲内(1包装・5日/7日分以内) | 大容量製品又は複数個 | |
|---|---|---|
| 18歳以上 | 販売できる | 対面等の情報提供をすれば販売できる +購入理由の確認 |
| 18歳未満 | 対面等の情報提供をすれば販売できる +氏名の確認 | 販売できない |
18歳未満は「1箱まで」。これが結論です。そして18歳未満のときは氏名を確認します(施行規則第159条の18の5第1項第1号)。
年齢確認のやり方も、通知が書いています。
年齢の確認については、例えば対面での販売において外見等から、18歳以上である旨が明らかな場合など、販売を行う薬剤師等が確実に年齢を確認できる場合には、自己申告等による確認で差し支えないこと。
他方で、……外見等による年齢の確認が明らかに可能と言えない場合には、可能な限り自己申告に限らず、身分証の提示や登録済みの会員情報の活用などを行うことが適当であること。
また、年齢の確認の結果、18歳以上であることが確認できた場合であっても、高校生等である場合には、やりとりにおいて入念な確認を行うなど、制度趣旨を踏まえ薬剤師等により適切な対応を行うことが望ましいこと。
「18歳以上でも高校生なら入念に」。年齢だけで機械的に切る運用にはなっていません。
「対面等」に電話とチャットは入りません
ここは明確に書かれています。
……具体的な方法としては、販売を行う薬剤師等による購入希望者への声掛けや状況確認の実施が重要であるため、広く普及しそれらの担保が可能な方法であるいわゆるビデオ通話システムを用いた方法が想定されること。
また、これにより、相手の映像をリアルタイムで認識できない電話や書面を通じたやりとりのみによる方法、チャット等による方法は含まれないこと。
ネット販売では、ビデオ通話が必須になりました。電話もチャットも不可。専用システムでなくても、汎用のビデオ通話サービスで差し支えないとされています。
そしてオンラインで適切な使用が確保できないと判断したら、対面に切り替える——これも通知に書かれています。
陳列に「7メートル」という数字が入りました
第2類・第3類の指定濫用防止医薬品は、次のどちらかで陳列します(施行規則第218条の5)。
| 方法 | |
|---|---|
| ① | 指定濫用防止医薬品陳列区画の内部の陳列設備に陳列 ただし、鍵をかけた陳列設備等、購入者が直接手を触れられない設備に陳列する場合はこの限りでない |
| ② | 情報提供設備から7メートル以内の範囲に陳列し、その設備に薬剤師又は登録販売者を継続的に配置 |
②を選ぶと、人を置き続ける義務がセットになります。通知は「継続的に配置」の意味も書いています。
……当該薬剤師等は、原則として当該薬局等の情報提供設備のある場所において業務を行うこと。ただし、……一時的に情報提供のための場所を離れて業務を行う場合などにおいては、予め指定濫用防止医薬品販売等手順書にその旨を定め、当該業務が完了次第情報提供設備のある場所に戻るよう定めるなど……
7メートル以内の陳列を行うこととする場合には、継続的に配置される薬剤師等から目の届く距離として設定している趣旨を踏まえ、死角となる柱や壁、高い陳列棚等で完全に隠れて視認性に問題がある場合の裏側等への陳列は避けること。
7メートルは「目が届く距離」の目安です。距離を測って合格、ではありません。柱の陰や高い棚の裏はだめと明記されています。
空箱にするか、7メートルにするか
「7メートル以内なら手に取れる棚に置ける。②のほうが楽」と読みがちですが、法令上の求めは①(空箱)のほうが少ない場合があります。①の「指定濫用防止医薬品陳列区画」は、薬局等構造設備規則で定義されています。
指定濫用防止医薬品を陳列する陳列設備から一・二メートル以内の範囲(以下「指定濫用防止医薬品陳列区画」という。)に医薬品を購入し、若しくは譲り受けようとする者……が進入することができないよう必要な措置が採られていること又は鍵をかけた陳列設備その他……直接手の触れられない陳列設備を有すること。ただし、……七メートル以内の範囲に情報を提供するための設備を置き、当該設備に……薬剤師又は登録販売者を継続的に配置する場合は、この限りでない。
区画とは、陳列棚から1.2メートル以内にお客さんが入れない範囲のことです。第1類医薬品陳列区画と同じ作りです。では、売り場に空箱だけを並べる「空箱陳列」はどちらに当たるのか。Q&Aが答えています。
……判断は、空箱や商品カードが陳列される場所ではなく、医薬品の実物を陳列する場所について、同条の規定に適合しているかを確認する必要がある。すなわち、……購入を希望する者等から直接手に触れられる位置に空箱や商品カード等の陳列を行い、医薬品の実物については購入を希望する者等から直接手の届かない場所に陳列する場合には、新薬機則第218条の5第1号に適合する陳列がなされていると解することができ、同条第2号の規定である情報提供設備への専門家の継続的な配置を法令上求められるものではない。
同じ問4は「一部の品目だけ空箱にしてよいか」も問うています。品目ごとに①と②を使い分ける店があることを前提にした問いです。並べると、こうなります。
| ①空箱(実物は区画内・鍵付き) | ②7メートル以内 | |
|---|---|---|
| 売り場に置くもの | 空箱・商品カード | 実物 |
| 実物の置き場所 | 客が1.2メートル以内に入れない場所か、鍵付き・手の触れられない設備 | 情報提供設備から7メートル以内。柱・高い棚の死角は不可(ミラーで視認性を確保すれば可:Q&A問5) |
| 人の条件 | 継続的な配置は法令上求められない | 情報提供設備に薬剤師等を継続的に配置。離れるときの手順を手順書に定める |
| 負担が出るところ | 実物の置き場(品目が増えるほど場所を取る) | 人(設備の場所から離れにくくなる) |
①は「置き場所」の負担、②は「人」の負担です。今回の改正で効いてくるのは、①の置き場所のほうだと思います。
コデイン類・エフェドリン類を含む咳止めを、以前の「濫用等のおそれのある医薬品」の時代から自主的に空箱やカウンター内にしていた店なら、その品目の陳列は5月以降もそのままで①を満たします。増えるのは、ジフェンヒドラミンとデキストロメトルファンを含む製品です。睡眠改善薬・かぜ薬・鼻炎薬・咳止めと範囲が広く、これまでと同じように全部を空箱にすると、カウンターの内側に実物を置く場所が足りなくなります。
そのため、従来の品目は①、追加2成分の製品は②のように品目で分けるのが現実的です。どちらを選んだかは、品目ごとに手順書に明示しておきます(医薬発1226第16号は、第1号と第2号のどちらで陳列しているかを手順書に明示するよう求めています)。
箱を見れば「大容量かどうか」が分かります
意外と知られていない部分です。表示で見分けられます。
一 内容量が……数量以下の指定濫用防止医薬品 要確認
二 内容量が……数量以下の指定濫用防止医薬品以外の指定濫用防止医薬品 要確認(ただし、要の文字を囲うこと。)
| 外箱の表示 | 意味 |
|---|---|
| 要確認 | 数量の範囲内(1包装・5日/7日分以内) |
| ㊟のように「要」を囲んだ 要確認 | 大容量製品。18歳未満には売れない |
「要」が囲ってあれば大容量製品です。箱を見ればその場で判断できます。これを覚えておくのがいちばん早い。
手順書の作成が義務になりました
指定濫用防止医薬品販売等手順書です(施行規則第159条の18の7)。作成しないという選択肢はありません。
| 記載する手順 |
|---|
| ① 販売又は授与の方法 |
| ② 情報提供および確認事項の確認 |
| ③ 陳列(①②のどちらの方法によるかを明示) |
| ④ 数量を超える購入・頻回購入で適正使用を確保できないと認められる場合の対応 |
| ⑤ その他適正な販売に関し必要と考えられる事項 |
④について、通知が具体的に求めていることが3つあります。
- 代表的な場面を想定して手順化する購入希望者の属性・希望数量など。フロー図の作成・活用が望ましいと書かれています
- 頻回購入を拾う仕組みを決める販売記録、申し送り、お薬手帳、会員情報。薬剤師等ごとに対応のばらつきが生じないよう具体的に
- 断るときの備えをするカスタマーハラスメント防止の観点から、法令により販売できない旨を予めフリップ等で示す
3つ目が現場思いです。「法律で売れないことになっています」と書いた紙を、あらかじめ用意しておく。厚労省がカスハラ対策として明記しているのは珍しいと思います。
「複数個の理由」は何と答えればいいのか
Q&Aが、想定される理由を挙げています。これを知らないと、判断がぶれます。
想定される具体的な理由としては、家庭の常備薬として購入を希望する場合や、家庭内において自身や同一症状を訴える家族が使用するための医薬品の購入を希望する場合、長期の海外赴任や海外旅行に向け携行するために購入を希望する場合等が想定される。
また、異なる薬効の医薬品(かぜ薬と抗アレルギー薬等)を自身の異なる症状に対して用いるために購入を希望する場合などについては、濫用のおそれの観点から複数個の購入について問題がないと薬剤師等……
「常備薬」「家族の分」「海外赴任・旅行」「異なる症状に異なる薬効」。この4つが公式に例示されています。
ただしQ&Aは前置きを付けています。「濫用のおそれがあるか否かを薬剤師等が判断できる理由であることが重要」。理由を聞いて記録すれば終わり、ではありません。

売り場で確認すること
- ◻️ ジフェンヒドラミン・デキストロメトルファンを含む製品を洗い出した(睡眠改善薬・咳止め・かぜ薬)
- ◻️ 指定濫用防止医薬品販売等手順書を作成した(5項目)
- ◻️ 陳列を①区画内 or ②7メートル以内+人の継続配置のどちらにするか決め、手順書に明示した
- ◻️ ②を選んだ場合、柱・高い棚の陰に置いていない
- ◻️ ②を選んだ場合、担当者が一時的に離れるときの手順を定めた
- ◻️ 「要」を囲んだ表示=大容量製品だと、全員が知っている
- ◻️ 18歳未満には大容量・複数個を売らない/18歳未満は氏名を確認する
- ◻️ 同じ成分なら銘柄が違っても「複数個」だと共有できている
- ◻️ 情報提供に使うフリップを用意した(確認事項も同じ資材に載せてよい)
- ◻️ 断るときの掲示を用意した(カスハラ防止)
- ◻️ ネット販売がある場合、ビデオ通話で対応できる(電話・チャットは不可)
まとめ
- 2026年5月1日施行。「濫用等のおそれのある医薬品」は法律上の「指定濫用防止医薬品」になりました(薬機法第36条の11)
- 成分は8つ。ジフェンヒドラミンとデキストロメトルファンが加わりました(いずれも外用剤を除く)
- 数量は1包装かつ5日分。かぜ薬・鼻炎用内服薬・解熱鎮痛薬は7日分。エフェドリンとコデインは一律5日
- 18歳未満には大容量・複数個を販売できません。数量の範囲内なら対面等の情報提供をして販売でき、そのとき氏名を確認します
- 同一成分なら銘柄が違っても「複数個」。2箱買えばそれだけで該当します
- 「対面等」にビデオ通話は入るが、電話・チャットは入りません
- 陳列は区画内か、情報提供設備から7メートル以内+人の継続配置。死角への陳列は避けること
- 外箱の「要」が囲ってあれば大容量製品です
- 販売等手順書の作成が義務。断るときの掲示をカスハラ防止として用意することまで通知に書かれています
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※ 本記事の制度・添付文書に関する記載はすべて原文を確認しており、広告主の影響を受けていません。
出典
- 令和8年厚生労働省告示第32号(令和8年2月13日)薬機法第36条の11第1項の規定に基づき厚生労働大臣が指定する医薬品
https://www.mhlw.go.jp/content/11120000/001656065.pdf - 令和8年厚生労働省告示第33号(令和8年2月13日)施行規則第159条の18の6第1項の規定に基づき厚生労働大臣が定める数量
https://www.mhlw.go.jp/content/11120000/001655158.pdf - 厚生労働省医薬局長「指定濫用防止医薬品の販売等について」(令和7年12月26日 医薬発1226第16号)
https://www.mhlw.go.jp/content/11120000/001628299.pdf - 厚生労働省医薬局総務課「指定濫用防止医薬品の販売等に係る質疑応答集(Q&A)について」(令和8年1月30日 事務連絡)
https://www.mhlw.go.jp/content/11120000/001649556.pdf - 薬機法第36条の11/同施行規則第159条の18の2〜18の7、第209条の4、第218条の5
薬機法/施行規則
※ 本記事は2026年9月1日時点の告示・通知・条文の原文に基づいています。
※ 告示第32号のPDFは縦書きで一部の成分名が機械抽出できなかったため、成分名は同日付・同順の告示第33号(数量)の記載と突き合わせて確定しました。個別の判断は必ず告示原文でご確認ください。
※ 各製品が指定濫用防止医薬品に該当するか、また大容量製品に当たるかは、外箱の表示と製品の添付文書でご確認ください。

