市販の睡眠薬で眠れますか|添付文書の答えは「不眠症の診断を受けた人は服用しないでください」でした

市販の睡眠薬で眠れますか|添付文書の答えは「不眠症の診断を受けた人は服用しないでください」でした OTC・健康管理
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執筆:Nori(薬Talk編集長・薬剤師)/調剤薬局勤務26年。管理薬剤師を経て、現在はチェーン薬局の本社部門で店舗運営支援を担当しています。

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「市販の睡眠薬って、ちゃんと眠れるんですか」——薬局でよく聞かれます。答えは添付文書に書いてあります。ドリエルの「してはいけないこと」に、こうあります。「日常的に不眠の人」「不眠症の診断を受けた人」は服用しないでください。つまり本当に眠れなくて困っている人は、対象外です。そもそも睡眠薬ではなく「睡眠改善薬」で、中身はアレルギーの薬でした。
対象外不眠症の診断を受けた人「してはいけないこと」に明記
2〜3回効かなければ受診の目安連用しないと明記
50mgジフェンヒドラミン塩酸塩2錠中。抗ヒスタミン薬です

名前からして「睡眠薬」ではありません

パッケージに書いてあるのは「睡眠改善薬」です。睡眠薬ではありません。ここは字面どおりの意味があります。

一時的な不眠の次の症状の緩和:寝つきが悪い、眠りが浅い

「一時的な」——ここが全てです。効能は一時的な不眠に限られていて、不眠症は入っていません。

添付文書は、どういう場面を想定しているかも書いています。

○ストレスが多く、眠れない
○疲れているのに、神経が高ぶって寝つけない
○心配ごとがあって、夜中に目が覚める
○不規則な生活で、睡眠リズムが狂い、寝つけない

「明日プレゼンで緊張して眠れない」「時差ボケ」「夜勤明け」。そういう原因がはっきりしていて、数日で終わる不眠が想定されています。

ドリエルの添付文書における、してはいけないこと。妊婦・15才未満・日常的に不眠の人・不眠症の診断を受けた人は服用不可。他の催眠鎮静薬やかぜ薬、抗ヒスタミン剤含有の内服薬との併用不可。1回2錠を超えると逆に眠れなくなることがある
PMDA 一般用医薬品 添付文書「ドリエル」(第2類医薬品)

いちばん大事なのは「してはいけないこと」です

(1)妊婦又は妊娠していると思われる人。

(2)15才未満の小児。

(3)日常的に不眠の人。

(4)不眠症の診断を受けた人。

(3)と(4)。

毎晩眠れない人。病院で不眠症と言われた人。この薬を飲んではいけない人として名指しされています。

「市販の睡眠薬で眠れますか」という問いに、添付文書はこう答えています。——「あなたが本当に眠れない人なら、この薬は使えません」。

同じ「してはいけないこと」の最後と、「相談すること」の4番目には、こうあります。

寝つきが悪い時や眠りが浅い時のみの服用にとどめ、連用しないでください

2〜3回服用しても症状がよくならない場合は服用を中止し、この説明書を持って医師、薬剤師又は登録販売者に相談してください

2〜3回で見切りをつける薬です。1箱飲み切る前に受診の判断をする設計になっています。

中身はアレルギーの薬です

成分はジフェンヒドラミン塩酸塩50mg(2錠中)。抗ヒスタミン薬です。眠くなる副作用のほうを、主作用として使っている薬——添付文書がそう説明しています。

ドリエルの効きめ成分(ジフェンヒドラミン塩酸塩)は、皮ふのかゆみをしずめたり、くしゃみや鼻水などのアレルギー症状をおさえる目的で広く使われていますが、服用により眠気をもよおすという作用があります。ドリエルはこのジフェンヒドラミン塩酸塩の持つ眠気の作用を応用してつくられた医薬品です。

仕組みも書かれています。視床下部後部のヒスタミンニューロンが覚醒を維持していて、そのヒスタミンの働きを抑えることで眠くなる。

ここが処方薬との決定的な違いです。眠らせる仕組みが違います。

作用(添付文書 18.1)効能・効果
OTC(ジフェンヒドラミン)ヒスタミンによる覚醒の維持を邪魔する一時的な不眠の緩和
ゾルピデム(マイスリー)ω1受容体に選択的に結合し、GABAA系の抑制機構を増強効能は不眠症(統合失調症及び躁うつ病に伴う不眠症は除く)
スボレキサント(ベルソムラ)覚醒を促進するオレキシンA・Bの受容体への結合を阻害効能は不眠症
ラメルテオン(ロゼレム)メラトニンMT1・MT2受容体のアゴニスト効能は不眠症における入眠困難の改善

ドリエルの添付文書は、翌日に残ることも「その他の注意」に書いています。

翌日まで眠気が続いたり、だるさを感じることがあります。

「効かないから2倍飲む」が、いちばん危ない

これは薬局で必ず伝えてほしいところです。

1回2錠を超えて服用すると、神経が高ぶるなど不快な症状があらわれ、逆に眠れなくなることがあります。

増やすと逆効果と、添付文書が明記しています。「効かないからもう1錠」は、いちばんやってはいけない使い方です。

副作用の欄も見てください。

めまい、頭痛、起床時の頭重感、昼間の眠気、気分不快、神経過敏、一時的な意識障害(注意力の低下、ねぼけ様症状、判断力の低下、言動の異常等)

「ねぼけ様症状」「言動の異常」。副作用の欄に、意識障害として並んでいます。高齢者は「相談すること」の1(2)に挙がっていて、理由も書かれています。

高齢者。(高齢者では眠気が強くあらわれたり、また反対に神経が高ぶるなどの症状があらわれることがあります。)

そして緑内障・前立腺肥大・排尿困難は「相談すること」です。同じジフェンヒドラミン塩酸塩の医療用(レスタミンコーワ錠)では、閉塞隅角緑内障と前立腺肥大等は禁忌で、理由は「抗コリン作用」と書かれています(2.1・2.2)。

見落とされやすい併用の落とし穴

本剤を服用している間は、次のいずれの医薬品も使用しないでください

他の催眠鎮静薬、かぜ薬、解熱鎮痛薬、鎮咳去痰薬、抗ヒスタミン剤を含有する内服薬等(鼻炎用内服薬、乗物酔い薬、アレルギー用薬等)

かぜ薬と一緒に飲めません。総合感冒薬にはクロルフェニラミンなどの抗ヒスタミン薬が入っているからです。乗物酔い薬もアレルギー薬も同じ理由です。

「風邪で眠れないから、かぜ薬とドリエルを両方」——これは添付文書上できない組み合わせです。

飲酒も不可、服用後の運転操作も不可。翌日まで眠気が続く場合は、それが消えるまで運転しないと書かれています。

2026年5月から、販売のルールが変わりました

ここは薬剤師・登録販売者向けの話です。

ジフェンヒドラミンは、2026年5月1日から「指定濫用防止医薬品」の対象成分に追加されました。睡眠改善薬も、この枠組みに入ります。

18歳未満への大容量製品・複数個の販売ができない、18歳未満には氏名の確認が必要、陳列にも決まりがある——販売時の対応が変わっています。詳細は指定濫用防止医薬品は8成分になりましたにまとめました。

「眠れない」と言って毎回買いに来る人には、この観点からも声をかける理由があります。連用しないでくださいと添付文書が書いている薬です。

結局、どう答えるか

「市販の睡眠薬で眠れますか」に対する、私の答えです。

  1. いつから眠れないかを聞く数日なら対象。「ずっと」なら添付文書上は対象外です
  2. 原因が思い当たるかを聞く緊張・時差・夜勤なら合っています。理由なく眠れないなら受診を勧める場面
  3. 年齢・緑内障・前立腺肥大・排尿困難を確認するいずれも「相談すること」。高齢者は眠気が強く出たり、反対に神経が高ぶったりすることがあります
  4. かぜ薬・鼻炎薬・酔い止めを飲んでいないか確認する抗ヒスタミン薬が重なります。「してはいけないこと」に名前が挙がっています
  5. 2〜3回で効かなければ受診、と伝えて渡す飲み切る薬ではありません

1番目だけでも聞いてください。「ずっと眠れないんです」と返ってきたら、その時点でこの薬ではないことが決まります。

受診を勧める根拠も添付文書にあります。ドリエルは不眠症の診断を受けた人は服用しない薬で、上の表の処方薬は効能が不眠症の薬です。毎晩眠れない人は市販薬の対象から外れます。不眠症かどうかを決めるのは医師の診断です。

まとめ

  • 「睡眠薬」ではなく「睡眠改善薬」です。効能は「一時的な不眠の次の症状の緩和:寝つきが悪い、眠りが浅い」だけ
  • 「日常的に不眠の人」「不眠症の診断を受けた人」は服用しないでください——「してはいけないこと」に明記されています。本当に眠れない人は対象外です
  • 中身はジフェンヒドラミン塩酸塩50mg(2錠中)。アレルギーの薬の眠気を主作用として応用したもの。覚醒を邪魔しているだけです
  • 連用しない。2〜3回効かなければ中止して相談。飲み切る薬ではありません
  • 1回2錠を超えると「神経が高ぶり、逆に眠れなくなる」と添付文書が明記。増量は逆効果です
  • かぜ薬・鼻炎薬・乗物酔い薬とは併用不可。抗ヒスタミン薬が重複します。「風邪で眠れないから両方」が一番危険
  • 高齢者は逆に神経が高ぶることがあり、緑内障・前立腺肥大・排尿困難は相談項目。副作用に「ねぼけ様症状」「言動の異常」があります
  • 2026年5月1日から、ジフェンヒドラミンは指定濫用防止医薬品です。販売時の対応が変わりました

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※ 本記事の制度・添付文書に関する記載はすべて原文を確認しており、広告主の影響を受けていません。

出典

※ ドリエルの添付文書は2026年11月1日にPMDA掲載の原文と照合しました。
※ 同じ「睡眠改善薬」でも、製品により成分・用法・注意事項が異なります。
※ 眠れない状態が続く場合は、自己判断で市販薬を続けず、医療機関にご相談ください。

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