リリカ・タリージェの腎機能別用量|CCrの表と、透析後に追加投与があるのはリリカだけ【添付文書】

リリカ・タリージェの腎機能別用量|CCrの表と、透析後に追加投与があるのはリリカだけ【添付文書】 医薬品
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執筆:Nori(薬Talk編集長・薬剤師)/調剤薬局勤務26年。管理薬剤師を経て、現在はチェーン薬局の本社部門で店舗運営支援を担当しています。

リリカ(プレガバリン)とタリージェ(ミロガバリン)は、どちらもクレアチニンクリアランス(CCr)で用量が決まる薬です。ただし区切り方が違います。リリカはCCrを4段階に分け、透析患者には透析後の追加投与があります。タリージェは3段階で、透析患者は「重度」に含まれ、追加投与の設定はありません。添付文書の表を、処方監査で使える形に並べました。

CCrで調節する理由は、どちらも腎から排泄されるからです。リリカは「主として未変化体が尿中に排泄されるため、血漿中濃度が高くなり副作用が発現しやすくなるおそれがある」(9.2)。タリージェは「主として腎からの糸球体ろ過及び尿細管分泌により排泄される」(10.)と書かれています。

4段階リリカのCCr区分60・30・15で区切る+透析後補充
3段階タリージェのCLcr区分60・30で区切る。透析は重度に含む
15.3%4時間の透析で回収されたタリージェ投与24時間後から透析した試験。リリカは血漿中濃度が約50%に

リリカ:神経障害性疼痛のCCr別用量

CCr(mL/min)1日投与量初期用量維持量最高投与量
≥60150〜600mg1回75mg 1日2回1回150mg 1日2回1回300mg 1日2回
≥30〜<6075〜300mg1回25mg 1日3回
又は 1回75mg 1日1回
1回50mg 1日3回
又は 1回75mg 1日2回
1回100mg 1日3回
又は 1回150mg 1日2回
≥15〜<3025〜150mg1回25mg 1日1回もしくは2回
又は 1回50mg 1日1回
1回75mg 1日1回1回75mg 1日2回
又は 1回150mg 1日1回
<1525〜75mg1回25mg 1日1回1回25又は50mg 1日1回1回75mg 1日1回
血液透析後の補充用量—25又は50mg50又は75mg100又は150mg
リリカカプセル・OD錠 添付文書(2025年12月改訂 第8版)7.2。補充用量は「2日に1回、本剤投与6時間後から4時間血液透析を実施した場合のシミュレーション結果に基づく」

リリカ:線維筋痛症に伴う疼痛のCCr別用量

線維筋痛症は1日最高用量が450mg(神経障害性疼痛は600mg)です。そのためCCr 30以上の区分と透析後の補充用量は上限が低くなります。CCr 30未満の区分は、1日投与量の範囲は同じで、1回量の組み方が違います。

初期用量と「維持量」(1日300mg相当)の行は、神経障害性疼痛の表とまったく同じです。線維筋痛症は「300mgまで漸増した後、300〜450mgで維持」(6.)なので、添付文書の表には維持量の行に加えて「維持量(最高投与量)」(1日450mg相当)の行があります。下の表はその上限側の行です。

CCr(mL/min)1日投与量維持量(最高投与量)
※上限側の行
≥60150〜450mg1回225mg 1日2回
≥30〜<6075〜225mg1回75mg 1日3回
≥15〜<3025〜150mg1回100もしくは125mg 1日1回
又は 1回75mg 1日2回
<1525〜75mg1回50又は75mg 1日1回
血液透析後の補充用量—75又は100mg
同 7.2〈線維筋痛症に伴う疼痛〉。初期用量・維持量の行は神経障害性疼痛の表と同じなので省略

添付文書は、この表について「ここで示している用法・用量はシミュレーション結果に基づくものであることから、各患者ごとに慎重に観察しながら、用法・用量を調節すること」と書いています(7.2)。複数の用量があるときは低用量から始め、忍容性を確認してから増量します。

タリージェ:CLcr別用量

腎機能障害の程度(CLcr:mL/min)1日投与量初期用量有効用量(最低用量)有効用量(推奨用量)
軽度(90>CLcr≧60)10〜30mg1回5mg 1日2回1回10mg 1日2回1回15mg 1日2回
中等度(60>CLcr≧30)5〜15mg1回2.5mg 1日2回1回5mg 1日2回1回7.5mg 1日2回
重度(30>CLcr)
(血液透析患者を含む)
2.5〜7.5mg1回2.5mg 1日1回1回5mg 1日1回1回7.5mg 1日1回
タリージェ錠・OD錠 添付文書(2025年1月改訂 第9版)7.

通常の用法・用量は、初期用量1回5mg 1日2回から1週間以上の間隔をあけて5mgずつ増やし、1回15mg 1日2回です。年齢、症状により1回10mgから15mgの範囲で適宜増減します(6.)。軽度の行は通常の用量と同じで、減量が必要になるのはCLcr 60未満からです。

覚え方としては、中等度は1回量を半分(1日2回のまま)、重度は中等度の1回量を1日1回。1日量で見ると、軽度の1/2と1/4です。ただし確認は必ず表で行います。

透析で何が違うのか

リリカタリージェ
透析患者の扱いCCrに応じた1日用量に加えて、血液透析の後に追加投与(7.2)重度(30>CLcr)に含める。追加投与の設定なし(7.)
過量投与時の透析「血液透析により除去されることから、発現している症状の程度に応じて血液透析の実施を考慮すること」(13.2)「血液透析により15.3%が除去される」(13.2)
透析の試験(16.6)4時間の血液透析で血漿中濃度が約50%まで減少、透析クリアランス192mL/min(16.6.3)投与24時間後から4時間の血液透析で、投与量の15.3%が透析液中に回収(16.6.1)
各添付文書の 7.・13.2・16.6。2剤の試験は測ったもの(血漿中濃度の低下と、透析液への回収率)も条件も違うので、数字を直接比べることはできません

なぜリリカだけ透析後に補充するのか。添付文書に理由そのものは書かれていませんが、薬物動態の項から読める範囲では、リリカは4時間の透析で血漿中濃度が約半分になるほど透析で抜けます。補充用量は、これを前提に「2日に1回、投与6時間後から4時間透析」した場合のシミュレーションで決められています(7.2の注)。タリージェは透析患者を重度に含めるだけで、補充の設定はありません。

処方監査では、透析患者でリリカが処方されたら透析日の補充分が処方に入っているかを見ます。補充用量は、その時点の投与段階(初期・維持・最高)に合わせて「25又は50mg」「50又は75mg」「100又は150mg」です。逆にタリージェで「透析後に追加」の指示があれば、添付文書の表には無い使い方なので、処方意図を確認します。なお、タリージェ重度の「1日1回」を透析の前後どちらで飲むかは、添付文書に記載がありません(16.6.1の「投与24時間後から透析」は試験の条件で、用法ではありません)。

腎機能以外に見ること

リリカタリージェ
中止するとき少なくとも1週間以上かけて徐々に減量(7.1、8.2)徐々に減量するなど慎重に(8.4)
運転めまい・傾眠・意識消失のおそれがあるため、自動車の運転等に従事させない(リリカ8.1、タリージェ8.1)
体重体重増加。定期的に体重計測(リリカ8.3、タリージェ8.2)
高齢者CCrを参考に調節。めまい・傾眠等による転倒・骨折(リリカ9.8、タリージェ9.8)
併用注意の特徴オピオイド系鎮痛剤(呼吸不全、昏睡の報告)、血管浮腫を起こす薬剤(ACE阻害薬等)、チアゾリジン系薬剤(末梢性浮腫)などプロベネシド(OAT1・OAT3及びUGTの阻害)、シメチジン(MATE1・MATE2-Kの阻害)で本剤の血中濃度が上昇すると考えられる
両剤共通の併用注意ロラゼパム、アルコール(飲酒)(リリカ・タリージェとも10.2)
腎・心の重大な副作用心不全・肺水腫(11.1.2)、横紋筋融解症(急性腎障害に注意、11.1.3)、腎不全(11.1.4)。重度のうっ血性心不全の患者は9.1.1腎機能障害(11.1.3)
授乳授乳を避けさせる(9.6)授乳の継続又は中止を検討(9.6)
各添付文書の 7.〜10.2

処方監査のチェックリスト

  • □ CCr(またはCLcr)が分かるか。処方箋の検査値欄、お薬手帳、本人への聞き取り。表はCCr(mL/min)なので、検査値欄のeGFR(mL/min/1.73m²)をそのまま当てはめない(これは添付文書外の注意)
  • □ リリカ:CCr 60・30・15のどの区分か。1日量が表の範囲に収まっているか
  • □ タリージェ:CLcr 60未満なら中等度(1日5〜15mg)、30未満・透析なら重度(1日2.5〜7.5mg)
  • □ 透析患者のリリカは、透析後の補充分の指示があるか
  • □ 中止・減量のときに急にやめていないか(離脱症状)
  • □ 運転をする人か。めまい・ふらつき・体重増加の説明
  • □ タリージェ:シメチジン・プロベネシドの併用

まとめ

  • リリカはCCr 60・30・15で4段階。透析患者は透析後に補充(表はシミュレーションに基づく)
  • 線維筋痛症は1日最高450mg。CCr 30以上の区分と透析後補充は上限が低く、30未満は1日量の範囲が同じ
  • タリージェはCLcr 60・30で3段階。透析患者は重度に含み、追加投与の設定はない(投与24時間後から4時間の透析で15.3%回収)
  • どちらも中止は徐々に。運転・転倒・体重増加の説明はセットで
  • 後発品(プレガバリン)は、当該製品の添付文書で用量表を確認

出典

  • リリカカプセル25mg・75mg・150mg/リリカOD錠25mg・75mg・150mg 添付文書(PMDA 671450_1190017F1029_3_07、2025年12月改訂 第8版)6.、7.、8.、9.、10.2、11.1、13.、16.6
  • タリージェ錠・OD錠2.5mg・5mg・10mg・15mg 添付文書(PMDA 430574_1190026F1028_1_13、2025年1月改訂 第9版)6.、7.、8.、9.、10.、11.1、13.、16.6
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