フェントステープとフェンタニル3日用テープは適応が違います|慢性疼痛があるのは先発3剤だけ、規格は4.2mg=1.7mg=2mg

フェントステープとフェンタニル3日用テープは適応が違います|慢性疼痛があるのは先発3剤だけ、規格は4.2mg=1.7mg=2mg 医薬品
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執筆:Nori(薬Talk編集長・薬剤師)/調剤薬局勤務26年。管理薬剤師を経て、現在はチェーン薬局の本社部門で店舗運営支援を担当しています。

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フェンタニル貼付剤には3つのグループがあり、成分名も規格の数字も違います。そして慢性疼痛の適応を持つのは先発の3剤だけ——後発品は1品目もありません。だから慢性疼痛の患者さんでは、後発品への変更調剤ができません。さらに承認条件には、「薬局においては調剤前に当該医師・医療機関を確認した上で調剤がなされる」と書かれています。
3グループ貼付剤の系統3日用/1日用/クエン酸塩1日用
0品目慢性疼痛の適応がある後発品先発3剤のみが持つ
0.6mg/日換算のハブになる吸収量3日用4.2mg=1.7mg=2mg

まず、3つのグループに分かれています

混乱の元は、成分名が2種類あることです。

グループ成分名貼替製品規格
3日用フェンタニル3日毎
(約72時間)
デュロテップMTパッチ
フェンタニル3日用テープ「HMT」「トーワ」「テイコク」「ユートク」
ラフェンタテープ
2.1/4.2/8.4/12.6/16.8mg
1日用フェンタニル1日毎
(約24時間)
ワンデュロパッチ
フェンタニル1日用テープ「ユートク」
0.84/1.7/3.4/5/6.7mg
クエン酸塩
1日用
フェンタニルクエン酸塩1日毎
(約24時間)
フェントステープ
フェンタニルクエン酸塩1日用テープ「第一三共」「テイコク」
0.5/1/2/4/6/8mg

フェントステープだけ「フェンタニルクエン酸塩」です。だから規格の数字が他とまったく違います。ワンデュロパッチとフェントステープは、どちらも1日用なのに互換の規格がありません。

フェンタニル貼付剤 先発3剤の効能又は効果と承認条件。デュロテップMTパッチとワンデュロパッチは他のオピオイド鎮痛剤からの切り替えが効能全体にかかるが、フェントステープ成人は慢性疼痛だけに限定されている
PMDA 添付文書「4. 効能又は効果」「21. 承認条件」
フェンタニル貼付剤 先発3剤の効能又は効果の構造の違い。デュロテップMTパッチとワンデュロパッチは、ただし書きの他のオピオイド鎮痛剤から切り替えて使用する場合に限るが柱書きにあり、がんと慢性疼痛の両方に掛かる。フェントステープは成人でただし書きに慢性疼痛はが入っており、がんには掛からない。小児の効能はがんのみで非オピオイド鎮痛剤で治療困難な場合とされる。承認条件は3剤共通で、慢性疼痛の診断・治療に精通した医師のみが処方し、薬局は調剤前に当該医師・医療機関を確認する
PMDA 電子添文「デュロテップMTパッチ」「ワンデュロパッチ」(ヤンセンファーマ)/「フェントステープ」(久光製薬)の各「4. 効能又は効果」「6. 用法及び用量」「21. 承認条件」「22. 包装」(2026年9月28日閲覧)

慢性疼痛の適応があるのは、先発3剤だけです

ここが本題です。電子添文の「効能又は効果」を全品目つき合わせました。

製品がん疼痛慢性疼痛
デュロテップMTパッチ(3日用・先発)○○
ワンデュロパッチ(1日用・先発)○○
フェントステープ(クエン酸塩1日用・先発)○○
フェンタニル3日用テープ「HMT」「トーワ」「テイコク」「ユートク」○×
ラフェンタテープ(3日用)○×
フェンタニル1日用テープ「ユートク」○×
フェンタニルクエン酸塩1日用テープ「第一三共」○×

きれいに割れています。先発は全部持っていて、後発品は1品目も持っていません。

後発品の効能は、こう書かれています。

非オピオイド鎮痛剤及び弱オピオイド鎮痛剤で治療困難な下記疾患における鎮痛(ただし、他のオピオイド鎮痛剤から切り替えて使用する場合に限る。)

中等度から高度の疼痛を伴う各種癌における鎮痛

先発は、ここに1行多い。

非オピオイド鎮痛剤及び弱オピオイド鎮痛剤で治療困難な下記疾患における鎮痛(ただし、他のオピオイド鎮痛剤から切り替えて使用する場合に限る。)

中等度から高度の疼痛を伴う各種癌における鎮痛

中等度から高度の慢性疼痛における鎮痛

だから、慢性疼痛では変更調剤ができません

処方箋に「変更不可」の印がなくても、慢性疼痛で処方されている先発品を、後発品に変えることはできません。その後発品は、その効能を持っていないからです。

逆にいえば、がん疼痛なら変更できます。同じ薬・同じ患者でも、何の痛みに使っているかで判断が変わります。

この構造は効能差のある後発医薬品の典型例です。日本ジェネリック製薬協会のリストにも載っており、長期収載品の選定療養の判断材料としても、厚労省が名指ししているものです。

そして薬価基準収載品目リストの区分にも表れています。

製品加算対象の後発医薬品同一剤形・規格の後発品がある先発品
ワンデュロパッチ—○
フェンタニル1日用テープ「ユートク」後発品—
デュロテップMTパッチ/フェントステープ—印なし
フェンタニル3日用テープ各社/フェンタニルクエン酸塩1日用テープ「第一三共」印なし—

後発品の印が付いているのは、1日用テープ「ユートク」だけです。3日用テープ各社には後発品の印がありません。後発医薬品の使用割合を数えるときにも効いてきます。

承認条件に「薬局が調剤前に確認する」と書いてあります

慢性疼痛の適応を持つ3剤には、共通の承認条件が付いています。

慢性疼痛の診断、治療に精通した医師によってのみ処方・使用されるとともに、本剤のリスク等についても十分に管理・説明できる医師・医療機関・管理薬剤師のいる薬局のもとでのみ用いられ、それら薬局においては調剤前に当該医師・医療機関を確認した上で調剤がなされるよう、製造販売にあたって必要な措置を講じること。

読むと3つのことが書かれています。

  • 処方できるのは、慢性疼痛の診断・治療に精通した医師だけ
  • 使えるのは「管理薬剤師のいる薬局」——薬局側にも条件がかかっています
  • 薬局は、調剤前に医師・医療機関を確認する

実務では確認書で運用されています。処方医は製造販売業者の講習(e-ラーニング)を修了し、確認書の発行を受けます。医師と患者が処方時に署名し、患者さんが処方箋と一緒に確認書を持参します。

厚生労働省の薬局における麻薬管理マニュアルにも、この手順が書かれています。確認書が確認できない場合は、処方医が講習を修了した医師であることを確認したうえで調剤する、という運用です。

がん疼痛では、この確認は要りません。承認条件は慢性疼痛にかかるものです。ここでも「何の痛みか」で手順が変わります。

後発品には、この承認条件がありません。慢性疼痛の適応がないので、当然です。

規格の数字は、まったく対応しません

換算のハブは「定常状態における推定平均吸収量(mg/日)」です。ここで揃えると、対応が見えます。

推定平均吸収量3日用
デュロテップMT等
1日用
ワンデュロ等
クエン酸塩1日用
フェントス等
0.15 mg/日——0.5mg
0.3 mg/日2.1mg(12.5μg/hr)0.84mg1mg
0.6 mg/日4.2mg(25μg/hr)1.7mg2mg
1.2 mg/日8.4mg(50μg/hr)3.4mg4mg
1.8 mg/日12.6mg(75μg/hr)5mg6mg
2.4 mg/日16.8mg6.7mg8mg

4.2mg=1.7mg=2mg。数字はまったく似ていません。「同じmg数だから同じ」は完全に誤りです。

そしてμg/hr表記があるのは3日用だけです。ワンデュロパッチとフェントステープには μg/hr の記載がありません。「25μg/hrに相当するのはどれか」を聞かれたら、3日用4.2mg/1日用1.7mg/フェントス2mgと答えられるようにしておくと早いです。

もうひとつ。6.7mgと8mgは、初回貼付用量として推奨されていません。ワンデュロパッチは「初回貼付用量として5mgを超える使用経験はない」、フェントステープは「6mgを超える使用経験は少ない」と書かれています。

モルヒネ換算の基準が、製剤で違います

ここは見落としやすい。同じ吸収量0.6mg/日なのに、切替の基準になるモルヒネ量が違います。

ワンデュロパッチ1.7mgフェントステープ2mg
換算表の設定基準経口モルヒネ 90mg/日経口モルヒネ 60mg/日
換算表のモルヒネ経口剤(がん疼痛)45〜134 mg/日30〜89 mg/日
オキシコドン経口剤(がん疼痛)30〜89 mg/日20〜59 mg/日

フェントステープのほうが、低いモルヒネ量から2mgに乗ります。「ワンデュロ1.7mgとフェントス2mgは同じ」と単純に置き換えると、換算の前提がずれます。

両方に共通するのは、どちらも「3日用4.2mg(25μg/hr)」を基準にしていることです。3日用製剤が、換算のハブになっています。

慢性疼痛の換算表には、がん疼痛にはない薬剤が入ります。ワンデュロパッチの慢性疼痛の表にはコデイン経口剤とトラマドール/アセトアミノフェン配合錠が並び、代わりにオキシコドンが入っていません。

そして共通の注意が1つ。「本剤初回貼付後少なくとも2日間は増量を行わないこと」——血中濃度が定常状態に達するのに時間がかかるためです。

デュロテップMTパッチとフェントステープの初回貼付用量の換算基準点。デュロテップは経口モルヒネ90mg/日・経口コデイン270mg/日以上・1日貼付型1.7mgに対し本剤4.2mg。フェントスは経口モルヒネ60mg/日・3日貼付型4.2mgに対し本剤2mg、慢性疼痛はコデイン180mg/日以上。初回はデュロテップ16.8mg、フェントス8mgが推奨されない。切替え時の使用方法例とレスキュー量。

フェントステープだけ、がん疼痛で初回から使えます

「フェンタニル貼付剤は必ず他のオピオイドから切り替える」——これは正確ではありません。

製剤切替限定のかかり方
デュロテップMTパッチ
ワンデュロパッチ
効能全体に「他のオピオイド鎮痛剤から切り替えて使用する場合に限る」
フェントステープ「ただし、慢性疼痛は他のオピオイド鎮痛剤から切り替えて使用する場合に限る」
→ がん疼痛は0.5mgから開始できる

フェントステープは、がん疼痛ならオピオイド未使用の患者に0.5mgから始められます。他の2剤にはこの道がありません。

ただし条件が付いています。「経口オピオイド鎮痛剤に比べ本剤による治療が有益であると考えられる場合(経口投与が困難な患者、経口剤による副作用発現のおそれがある患者、多剤併用等により貼付剤の投与が望ましい患者等)」——誰にでも、ではありません。

そして慢性疼痛では、フェントステープも切替限定です。初回から貼る道はありません。

小児適応も、フェントステープだけです

年齢フェントステープの用量
6歳以上0.5/1/2/4/6mgから選択(8mgは推奨されない)
臨床試験では2mgを超える使用経験がない
2歳以上6歳未満0.5/1/2mgから選択
成人に比べ血中濃度の上昇と傾眠の発現割合の増加が認められている

小児は「がん疼痛」だけ、かつ「他のオピオイドから切り替え」に限られます。小児の慢性疼痛の適応はありません。

1日あたりの薬価で並べると

吸収量0.6mg/日で揃えて、1日あたりに直します(令和8年8月13日適用)。

製品薬価1日あたり
デュロテップMTパッチ4.2mg2,778.2円/枚(3日分)約926円
ワンデュロパッチ1.7mg831.0円/枚831円
フェントステープ2mg900.5円/枚約901円
フェンタニル3日用テープ4.2mg「ユートク」2,092.7円/枚(3日分)約698円
フェンタニル1日用テープ1.7mg「ユートク」462.4円/枚462円
フェンタニルクエン酸塩1日用テープ2mg「第一三共」456.8円/枚457円

先発3剤は、1日あたりでほぼ横並びです。831円〜926円。剤形の違いは、費用ではなく貼替の手間と適応で選ぶことになります。

そして後発品は約半額です。ただし——慢性疼痛では使えません。安いほうを選べるのは、がん疼痛の場合だけです。

もう一点、目を引く数字があります。3日用テープの「HMT」「トーワ」「テイコク」は、先発のデュロテップMTパッチより薬価が高いのです。

デュロテップMTパッチ2.1mg(先発) 1,567.4円
フェンタニル3日用テープ2.1mg「HMT」等 1,649.6円
フェンタニル3日用テープ2.1mg「ユートク」 1,104.8円
同じ2.1mgでも3通りの薬価。先発より高い品目がある

16.8mgでも同じです。デュロテップMT 8,956.6円に対し、「HMT」「トーワ」「テイコク」は9,294.8円。安くなると思って変更すると、逆になります。

麻薬としての取り扱いは、全部同じです

適応も薬価も違いますが、麻薬としての扱いは共通です。

  • 投与日数は30日が限度。外用フェンタニルは告示で名指しされています(麻薬は原則14日ですが、これは例外側)
  • 鍵をかけた堅固な設備に保管。手提げ金庫・スチールロッカー・机の引き出しは不可
  • 帳簿は品名・剤型・規格別に口座を設ける。3日用と1日用、ワンデュロとフェントスはすべて別口座
  • 慢性疼痛で払い出すときは、備考欄に「慢」と記載して目的を明確にする(マニュアルに明記)
  • 患者から返却されたものはすべて廃棄。薬局内で廃棄し、30日以内に「調剤済麻薬廃棄届」
  • 事故届に数量基準はありません。1枚でも届出

帳簿の「慢」の記載は、まさにこの適応差のためにある仕組みです。詳しくは麻薬の廃棄届は2種類、手続きが正反対ですにまとめました。

処方箋を受けたときに見る順番

  1. がん疼痛か、慢性疼痛かここですべてが分かれます。確認書があれば慢性疼痛。処方元の診療科と併用薬も手がかり
  2. 慢性疼痛なら、確認書と処方医を確認する承認条件に「調剤前に当該医師・医療機関を確認した上で調剤」と明記。確認書がなければ、講習修了医か確認する
  3. 慢性疼痛なら、後発品への変更はしない後発品に慢性疼痛の適応はありません。変更可の処方箋でも変えられません
  4. グループと規格を確認する3日用/1日用/クエン酸塩1日用。4.2mg=1.7mg=2mg。数字合わせは危険
  5. 初回か、継続かを確認する初回なら2日間は増量しない。フェントス以外は切替限定
  6. 帳簿は規格別の口座へ。慢性疼痛は「慢」投与日数は30日まで

薬局で確認すること

  • ◻️ 慢性疼痛の適応があるのは先発3剤だけだと、スタッフ全員が知っている
  • ◻️ 慢性疼痛では後発品に変更しない運用になっている(変更可の処方箋でも)
  • ◻️ 確認書の受け取り・確認の手順がある
  • ◻️ 確認書がないとき、処方医が講習修了医か確認する手順がある
  • ◻️ 4.2mg=1.7mg=2mgの対応表を、調剤室に貼ってある
  • ◻️ 3日用と1日用を取り違えない仕組みがある(棚の分離・表示)
  • ◻️ 麻薬帳簿を規格別に口座を分けて記載している
  • ◻️ 慢性疼痛の払い出しに「慢」を記載している
  • ◻️ 投与日数30日の上限を把握している
  • ◻️ 後発品の薬価が先発より高い品目があることを知っている(3日用テープ)

まとめ

  • 3つのグループがあります。3日用(フェンタニル)/1日用(フェンタニル)/クエン酸塩1日用(フェントステープ系)
  • 慢性疼痛の適応があるのは、デュロテップMTパッチ・ワンデュロパッチ・フェントステープの3剤だけ。後発品は1品目もありません
  • だから慢性疼痛では、後発品への変更調剤ができません。がん疼痛なら変更できます
  • 承認条件に「薬局においては調剤前に当該医師・医療機関を確認した上で調剤がなされる」と書かれています。実務は確認書で運用
  • 規格の数字は対応しません。吸収量0.6mg/日で 3日用4.2mg=1日用1.7mg=フェントス2mg
  • モルヒネ換算の基準が違います。ワンデュロ1.7mgは経口モルヒネ90mg/日、フェントス2mgは60mg/日を基準に設定
  • フェントステープだけ、がん疼痛で0.5mgから開始できます。慢性疼痛は3剤とも切替限定
  • 小児適応もフェントステープだけ(2歳以上・がん疼痛・切替限定)
  • 1日あたりの薬価は先発3剤でほぼ横並び(831〜926円)。3日用テープは先発より高い品目があります

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※ 本記事の制度・添付文書に関する記載はすべて原文を確認しており、広告主の影響を受けていません。

出典

※ 本記事は2026年8月30日時点の電子添文および薬価基準収載品目リストの原文に基づいています。効能・効果および用法・用量は改訂されます。調剤の際は当該製剤の電子添文をご確認ください。
※ 換算表は製剤ごとに設定が異なります。本記事の対応表は「定常状態における推定平均吸収量」で揃えた整理であり、切り替えの可否と用量は処方医の判断によります。
※ 確認書の運用は製造販売業者が定めるものです。最新の手続きは各社の案内をご確認ください。

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