後発医薬品調剤体制加算が撤廃|85%要件は地域支援・医薬品供給対応体制加算へ、猶予は令和9年5月まで【2026年度改定】

調剤報酬・制度改正
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執筆:Nori(薬Talk編集長・薬剤師)/調剤薬局勤務26年。管理薬剤師を経て、現在はチェーン薬局の本社部門で店舗運営支援を担当しています。

※ 本記事は令和8年度診療報酬改定の公表資料に基づきます。施設基準の詳細は施設基準通知をご確認ください。

後発医薬品調剤体制加算が撤廃されました。

加算1(80%以上)21点、加算2(85%以上)28点、加算3(90%以上)30点。長く薬局経営の柱のひとつだったこの加算が、令和8年度改定でなくなりました。

「30点まるごと減収か」と身構えますが、そう単純ではありません。後発品の使用割合は、新設された地域支援・医薬品供給対応体制加算の基礎要件に組み込まれたからです。

ただし、後発品割合が80%台前半の薬局には、期限付きの宿題が残ります。そこが本記事の要点です。

1. 何がなくなり、何ができたか

改定前改定後
後発医薬品調剤体制加算1(80%以上)21点
後発医薬品調剤体制加算2(85%以上)28点
後発医薬品調剤体制加算3(90%以上)30点
すべて削除
地域支援体制加算1〜4地域支援・医薬品供給対応体制加算1〜5に再編

改定資料には、見直しの理由がこう書かれています。

   後発医薬品の使用が定着しつつある一方、医薬品の供給不安により追加的な業務が生じている状況を踏まえ、医薬品の安定供給に資する体制について、新たな評価を新設する。

評価の軸が「後発品をどれだけ出したか」から「必要な医薬品を安定して供給できる体制があるか」へ移ったということです。供給不安に振り回されてきた現場からすると、方向としては納得できます。

2. 新しい加算の構造

加算対象点数
地域支援・医薬品供給対応体制加算1すべての薬局(新設の基礎部分)27点
同 2調剤基本料1の薬局59点
同 3調剤基本料1の薬局67点
同 4調剤基本料1以外の薬局37点
同 5調剤基本料1以外の薬局59点

構造はシンプルです。加算1が土台で、そこに従来の地域支援体制加算の要件(地域医療への貢献実績)を足したものが加算2〜5になります。

従来
(なし)加算1 27点
地域支援体制加算1加算2 59点
地域支援体制加算2加算3 67点
地域支援体制加算3加算4 37点
地域支援体制加算4加算5 59点

3. 実際の増減はどうなるか

後発品加算3(30点)を算定していた薬局で計算してみます。

改定前の合計改定後増減
地域支援体制加算1+後発品加算332+30=62点加算2 59点▲3点
地域支援体制加算2+後発品加算340+30=70点加算3 67点▲3点
地域支援体制加算3+後発品加算310+30=40点加算4 37点▲3点
地域支援体制加算4+後発品加算332+30=62点加算5 59点▲3点

後発品加算3を取れていた薬局なら、おおむね▲3点で収まります。「30点まるごと消える」ではありません。

問題は、後発品加算1(80%以上・21点)だった薬局です。

4. 後発品80%台前半の薬局が直面すること

地域支援・医薬品供給対応体制加算1の施設基準は、次の2つです。

  • 地域における医薬品の安定供給を確保するために必要な体制を有していること
  • 当該保険薬局において調剤した後発医薬品のある先発医薬品および後発医薬品を合算した規格単位数量に占める後発医薬品の規格単位数量の割合が85%以上であること

基礎要件が85%です。従来の後発品加算1は80%以上で算定できていましたが、新しい枠組みでは80〜84%の薬局は土台の加算1すら取れません。

加算1が取れなければ、加算2〜5も取れません。影響は27点どころではなく、59点・67点がまるごと消えます。

経過措置は令和9年5月31日まで

ただし猶予があります。

   令和8年3月31日において現に後発医薬品調剤体制加算1、2又は3に係る届出を行っている保険薬局については、令和9年5月31日までの間に限り、(1)のロに該当するものとみなす。

令和8年3月31日時点で後発品加算1〜3のいずれかを届け出ていれば、令和9年5月31日までは85%要件を満たしているものとみなされます。

つまり、80%台前半の薬局に与えられた猶予は約1年です。この間に85%へ引き上げなければ、令和9年6月から加算が丸ごと落ちます。

本部の立場で言えば、今すぐ全店の後発品割合を洗い出し、85%未満の店舗を特定して対策を打つ時期です。1年は、供給不安のある品目を切り替えるには決して長くありません。

5. 加算1の「安定供給の体制」とは何か

イの要件として、次の内容が示されています。

  • (1) 医薬品の安定供給に向けた計画的な調達や在庫管理を行うこと
  • (2) 他の保険薬局に医薬品を分譲した実績があること(同一グループは含めない
  • (3) 医薬品供給不安等により迅速な入手が困難な場合は、入手可能な薬局を探し、在庫を確認の上、患者を紹介や、処方医に処方変更の可否を照会する等適切な対応をすること
  • (4) 重要供給確保医薬品のうち内用薬・外用薬は1ヶ月程度の備蓄をするよう努めること
  • (5) 原則として、単品単価交渉の実施をしていること
  • (6) 卸売販売業者への頻回配送・休日夜間配送・急配に係る過度な依頼を慎むこと
  • (7) 温度管理を要する医薬品や在庫調整を目的とした返品を慎むこと
  • (8) 地域の医療機関・薬局・医療関係団体と連携し、取り扱う品目についての情報共有や事前の取り決めを行っておくことが望ましい

(2)の分譲実績で「同一グループは含めない」と明記されているのが重要です。チェーン内でのやり取りは実績になりません。地域の他社薬局との関係を作っておく必要があります。

(6)(7)も目を引きます。卸への過度な依頼や、在庫調整目的の返品を慎む——薬局側の行動規範が施設基準に書き込まれました。供給網全体の負担を減らそうという意図が読み取れます。

6. 加算2〜5の実績要件も変わりました

従来の地域支援体制加算の実績要件(処方箋1万枚当たりの年間回数)にも変更があります。特に新設項目に注目してください。

要件基本料1基本料1以外
① 夜間・休日等の対応実績40回以上400回以上
② 麻薬の調剤実績1回以上10回以上
③ 調剤時残薬調整加算および薬学的有害事象等防止加算の算定実績20回以上40回以上
④ 服薬管理指導料1のイ・2のイ(かかりつけ薬剤師)の算定実績20回以上40回以上
⑤ 外来服薬支援料1の実績1回以上12回以上
⑥ 単一建物診療患者が1人の在宅薬剤管理の実績24回以上24回以上
⑦ 服薬情報等提供料に相当する実績30回以上60回以上
⑧ 小児特定加算の算定実績1回以上1回以上
⑨ 研修認定を取得した薬剤師の多職種連携会議への出席1回以上5回以上

必要な数はこうです。

  • 加算2(59点):④を含む3つ以上
  • 加算3(67点):①〜⑨のうち7つ以上
  • 加算4(37点):④・⑥を含む3つ以上
  • 加算5(59点):①〜⑨のうち7つ以上

加算2・4では④(かかりつけ薬剤師の算定実績)が必須です。かかりつけ薬剤師の体制を持たない薬局は、そもそも加算2以上に進めません。

③に新設された残薬調整の加算が、④にかかりつけ薬剤師が入っている点にも注目です。今回の改定で新設・再編された項目が、そのまま体制加算の実績要件になっています。制度全体が連動しています。

7. 今すぐ確認すること

  • ◻️ 全店の後発医薬品割合を出し、85%未満の店舗を特定した
  • ◻️ 85%未満の店舗について、令和9年5月31日までの引き上げ計画を作った
  • ◻️ 同一グループ外への分譲実績があるか確認した(グループ内は不可)
  • ◻️ 重要供給確保医薬品の備蓄状況を確認した
  • ◻️ 単品単価交渉を実施しているか確認した
  • ◻️ ④かかりつけ薬剤師の算定実績を確保できる体制があるか確認した
  • ◻️ ③の新設加算(残薬調整・有害事象防止)の算定を積み上げる運用を作った

まとめ

  • 後発医薬品調剤体制加算1〜3はすべて削除
  • 後発品割合は地域支援・医薬品供給対応体制加算1の基礎要件(85%以上)に組み込まれた
  • 後発品加算3を取れていた薬局はおおむね▲3点で収まる
  • 80〜84%の薬局は加算1すら取れない。加算2〜5も連動して落ちる
  • 経過措置は令和9年5月31日まで。猶予は約1年
  • 分譲実績は同一グループを含めない。地域の他社薬局との関係が要る
  • 加算2・4は④かかりつけ薬剤師の算定実績が必須

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出典

※ 施設基準の詳細および経過措置の適用については、施設基準通知の原文をご確認のうえ、届出先にご相談ください。

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