門前薬局等立地依存減算▲15点とは|対象になる薬局・ならない薬局を条件から整理【2026年度改定】

調剤報酬・制度改正
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執筆:Nori(薬Talk編集長・薬剤師)/調剤薬局勤務26年。管理薬剤師を経て、現在はチェーン薬局の本社部門で店舗運営支援を担当しています。

※ 本記事は令和8年度診療報酬改定の公表資料に基づきます。施設基準の該当性判断は個別性が高いため、最終的な確認は届出先にお願いします。

令和8年度改定で、門前薬局等立地依存減算(▲15点)が新設されました。

調剤基本料1が47点ですから、15点減は約3割減にあたります。該当すれば経営に直接効きます。

ただ、この減算には重要な経過措置があります。そこを含めて、誰が対象になり、誰がならないのかを整理します。

1. 結論:既存の薬局は当面対象外です

先に安心材料から書きます。経過措置にこうあります。

   令和8年5月31日において現に保険指定を受けている薬局については、当面の間、門前薬局等立地依存減算の施設基準に該当しないものとする

令和8年5月31日時点で保険指定を受けていれば、当面この減算は適用されません。今営業している薬局が、ある日突然15点引かれるという話ではありません。

対象は令和8年6月1日以降に新規開設する薬局です。つまりこれは、これからの出店に対する規制です。既存店の経営問題ではなく、新規出店戦略の問題として読むべき改定だと考えています。

ただし「当面の間」という書き方である以上、将来的に外れる可能性は残ります。移転や指定の取り直しをする場合の扱いも含め、注意は必要です。

2. 減算の対象になる2つのパターン

施設基準は、(1)か(2)のいずれかに該当する薬局です(特別調剤基本料Aを算定しているものを除く)。

パターン(2):医療モール型(シンプル)

わかりやすいのでこちらから。次の両方に該当する場合です。

  • 特定の保険医療機関に係る処方箋による調剤の割合(処方箋集中率)が85%を超える
  • 保険医療機関と同一の敷地内または建物内に所在する

医療モール内・医療ビル内の薬局で、集中率が高い場合が該当します。

ここで注意したいのが集中率の計算方法です。今回の改定で、医療モール内(医療ビレッジ内を含む)の複数の医療機関は、1つの医療機関とみなして処方箋集中率を計算することになりました。

これは大きな変更です。これまで「モール内に3つの医療機関があるから、集中率は分散している」と整理できていたケースが、まとめて1つとして計算されるようになります。集中率が一気に跳ね上がる可能性があります。

パターン(1):都市部の密集型(3条件すべて)

こちらはイ・ロ・ハのいずれにも該当する場合です。3つ全部を満たして初めて減算されます。

都市部に所在し、かつ水平距離500m以内に他の保険薬局がある
特定の保険医療機関に係る処方箋の割合が85%を超える
下記①〜③のいずれかに該当

「都市部」とは特別区・政令指定都市の地域を指します。ただし半径500m以内に他の保険薬局が無い地点は除かれます。地方都市の薬局は、この時点で対象外になります。

ハの①〜③(ここが今回の肝)

200床以上の保険医療機関の敷地境界線から水平距離100m以内の区域内に所在し、その区域内および当該医療機関の敷地内に他の保険薬局が2以上所在する
当該薬局の周囲50mの区域内に、他の保険薬局が2以上所在する
当該薬局の周囲50mの区域内に所在する他の保険薬局が、②に該当する

③に注目してください。これは「自局の周囲50m以内に、②に該当する薬局がある」という条件です。つまり自局の周りに2軒なくても、隣の薬局の周りに2軒あれば該当し得ます。

薬局が密集している地域では、連鎖的に対象が広がる構造になっています。「うちの半径50mには1軒しかないから大丈夫」と単純に判断できません。

3. 自局が該当するかの確認手順

新規開設を検討している場合、この順で確認すると整理しやすいと思います。

  1. 開設日はいつか
    令和8年5月31日以前に保険指定を受けていれば、当面対象外
  2. 処方箋集中率は85%を超えるか
    超えなければ、(1)(2)どちらにも該当しません。まずここで切れます
    ※医療モール内の複数医療機関は1つとみなして計算
  3. 医療機関と同一敷地内・建物内か
    該当すれば、集中率85%超と合わせてパターン(2)で減算
  4. 都市部(特別区・政令指定都市)か
    違えばパターン(1)には該当しません
  5. 水平距離500m以内に他の薬局があるか
  6. ハの①〜③に該当するか
    200床以上の病院から100m以内で他局2以上/自局周囲50mに他局2以上/周囲50mに②該当薬局がある

実務上、最初に見るべきは集中率です。85%以下に収まっていれば、立地条件を細かく調べる必要がありません。

4. あわせて変わった調剤基本料

この減算は、調剤基本料の見直しとセットで理解する必要があります。

面分業を推進する方向の引き上げ

  • 調剤基本料147点に引き上げ
  • 調剤基本料3ハ(同一グループ月40万回超・集中率85%以下):37点に引き上げ

いずれも集中率が低い=面分業をしている薬局が評価されています。減算と引き上げの両輪で、同じ方向を向いています。

都市部の小規模薬局に新しい区分

調剤基本料2に、次の要件が加わりました。

   都市部において、処方箋受付回数が600回超1,800回以下かつ処方箋集中率が85%超

これまで受付回数1,800回以下なら調剤基本料1だった都市部の薬局が、集中率次第で調剤基本料2(30点)になります。

ただしこちらにも経過措置があります。当面の間、既存の薬局(令和8年5月31日までに開設し、改定後も継続して処方箋受付回数1,800回以下の薬局に限る)には適用されません。

「同一グループ300薬局以上」の基準は廃止

調剤基本料3ロ・ハについて、「同一グループの保険薬局の数が300以上」という基準は廃止されました。今後は処方箋受付回数と集中率で判定されます。

5. この改定が示していること

改定資料には、この見直しの背景が率直に書かれています。

『患者のための薬局ビジョン』の策定から10年が経過したものの、処方箋集中率が高い薬局(いわゆる門前薬局)の割合はむしろ増加しました。集中率95%以上の薬局は2015年の14.0%から2024年には17.3%へ、85%以上は32.5%から39.3%へ。目標としていた「立地から機能へ」の移行は進んでいません。

今回の減算は、これ以上の門前型・モール型の新規出店を抑えるという明確な意思表示です。既存店を罰するのではなく、これから作る薬局の立地選択を変えさせる設計になっています。

出店を検討する立場から見れば、「集中率85%を超えない立地」を最初から狙うことが、そのまま減算回避になります。逆に言えば、門前一等地の価値は制度的に下がり続けます。

まとめ

  • 門前薬局等立地依存減算は▲15点。調剤基本料1(47点)の約3割にあたる
  • 令和8年5月31日時点で保険指定を受けている薬局は、当面対象外
  • 対象は令和8年6月1日以降の新規開設。実質的に出店規制
  • 該当パターンは2つ。医療機関と同一敷地・建物内で集中率85%超、または都市部の密集条件+集中率85%超
  • ③の連鎖規定により、密集地では自局の周囲に2軒なくても該当し得る
  • 医療モール内の複数医療機関は1つとみなして集中率を計算する点に注意
  • 最初に確認すべきは集中率85%。ここを超えなければ立地条件を調べる必要はない

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出典

※ 施設基準の該当性は、距離の測り方や医療機関の病床数など個別の事実関係によって判断が分かれます。出店計画にあたっては、施設基準通知の原文をご確認のうえ、届出先にご相談ください。

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